77話 魔法が使えない俺と雪溶け
戦闘狂凍結ドラゴンのトリシューラの首を、合計三本飛ばしたことで見事討ち取った俺。
首を失ったトリシューラの胴体と、地面に落ちてるでかい頭は、まるで雪のように粒子になって、空から降る雪と逆に天に昇ってくみたいだね。
っと、おっさんらとアンジェ達は大丈夫かな?・・・大丈夫そうだね。
「おーい、みんな無事ー?」
「たくやさん!!私達は平気です!」
「ニナたちも魔物バコバコ倒したのですー!!」
良かった良かった!地面に座ってるおっさんとサレビアも平気そうだね。
まあ、ミュラは寒さで縮こまって、サリスは相変わらず高笑いしながら死体蹴りしてるけど・・・
「おっさんとサレビアも平気?」
二人は立ち上がって、頭を俺に下げたよ。そんな感謝なんていいのに。
「本当にありがとう。たくや君のお陰で私達は生きている。また、少年に助けられてしまったな」
「ありがとうございます!あなたがここまで強い冒険者なんて・・・少し好きになりそうです・・・」
「はえ?」
サレビアの一言で、アンジェ、ミュラ、クレマが目をギロっと俺に向けてくる。いや、俺悪くないじゃん・・・
「だ、ダメです!たくやさんは私のモノですから!!!」
「そうだよ!!私と結婚するんだから!!」
「サレビア、父親としてそれはどうかと」
「いや、冗談よ・・・」
冗談でそんなこと言うなっての。・・・お?
「あれ、雪止んでない?」
降ってた雪は、気付いたら止んでて、しかも足元の雪も無くなっててるね。
「そうですね、あ、積もった雪もどんどん溶けてますよ!」
「うー、雪が無くなっちゃうのです・・・」
「わー!やっと暖かくなってきたよー!!もう寒いのはいやだー!」
「っくしょん!!!」
雲は晴れて、普段通りの太陽が顔をだ。そして、雪は完全に消え下から緑の蕾畑が、崖一面に現れたね。
ただの草原かな?それとも開花時期が遅いのかなあ。んま、花とか全然、興味ないけど。
ちらっと親子を見てみたら、おっさんは安堵の表情を浮かべてて、サレビアは表情が綻んで涙を流してるよ。
「ああ、良かった無事で」
「おっさん?」
とりあえず、万事解決して良かったね。
◇◆◇
村に戻って俺らは本日、おっさんの豪邸に泊まることになったね。王都の城とまではいかないけど、ここはここですげえ居心地いいなぁ。
俺も貴族になろうかな?
一件が終わって、村に帰った俺らを迎えたのは、白い殺風景の建物群とはうって変わって、至る所に良い匂いがしそうな綺麗な花が、満遍なく咲いてる、彩って言葉が相応しい村になってたよ。
広大な魔法の花畑も問題なく、満開に咲き誇ってたみたいで、村中の人は大歓声を上げながら、収穫作業に勤しんでた。農家って大変だなあ。
花の村って名前の通り、建物にも蔓を通して、所々赤、青、黄色、紫って感じで、カラフルな外装が鮮やかに装飾されてて、これはこれで見栄え悪くないかも。
やっぱり、雪は無い方がいいね。こんな虹色の村を真っ白の空虚に染めちゃうなんて、俺嫌だね。
で、俺は今部屋に一人。
女性陣はというと、いや、しょうがないんだけどさ。
くしゃみ連発してたから、悪い予感はしてたんだけど、風邪で寝込んじゃった。みんなサリスの看病に勤しんでるから、ここには誰も居ないし、多分ここに来ることはないんじゃないかな?
まあ、風邪くらいで3人も看病するって、どんだけ過保護なんだって話だけどさ?心配性で優しいんだね、みんな。
「うーん、ちょっとまだ早いけど、そろそろ寝ようかなあ。あ、一応サリスの状態を・・・」
独り言を呟いた時に、ふと俺の気配探知がお知らせした。
どうやら、サレビアが外出したっぽい?夜なのに、どっか用事?
ちょっとしてから、続いておっさんも外に出たみたい。うーん気になる。
『気配遮断』して、ついてって見ようかな?




