74話 魔法が使えない俺と俺、参上!
「ぐぅ!!させん!!させんぞおおおおお」
父親が私を守るために、魔法で守ってくれてる。
でも、だめ。
どんどん手が、身体が凍りつき始めてる。
父親が死ぬ。
「な、何で来たの!?邪魔しないでっていったでしょ!」
顔は見えないが、微かに笑ったように見える。
「当たり前・・・だろう!!親、だからなあ!ぐぬっ!!」
「父親面するなって・・・何回も・・・」
本当は言いたくないのに、口から出てしまう。
「・・・申し訳なかった。私、いや、俺は逃げたんだ。現実から、サレビアから・・・!だが、もう逃げたくないんだ!!許さなくてもいい、恨んでもいい!死んでもお前をまもって・・・!!!」
違う、謝るのは私の方。
父親は私を見てくれているのに、私は直視できていない。
情けない、自分が!
「『イラプション!』」
「っ!サレビア!!」
生き残って、ちゃんと謝らないと!
ここで死んだら、謝れないからぁ!!
「まだ言えてない!私が言いたいこと!!だから!生き残るの!!あなたを殺させないから!!」
「・・・サレビア。ぬおおおおおああああああ!!!」
限界を超える魔力をひり出して、ドラゴンの攻撃を二人で防ぐ。
でも、この!!このままじゃ・・・!
「サレビア!もういい逃げろ!!このままでは!」
「いや!絶対に嫌!!!逃げたくない!!」
このままじゃ、2人揃って凍ってしまう。いやだ!絶対にいや!!!!
「そろそろお遊びもここまでだな。貴様らの家族ごっこ、見てて滑稽だったぞ?」
「ごっこじゃない!」
「私達は家族だから!お前なんかじゃ分からないんだ!!!」
「はぁー、死ね」
相手の魔法が倍以上に強くなる。
凍る、視界が真白に。
死にたくない、死にたくないのに!!魔力が、もう・・・!
身体が・・・!
誰か、誰か・・・!
「セーーーーーーフ!!!!!間に合ったぁああああっぶねええ!!!よっと!!」
瞬きの瞬間、目の前の絶望色の光景が、現実に引き戻される。
何が、起こったの?
あれ、身体が、凍ってない!?
魔法は?
あれ!?どういうこと!?!?
・・・あの男の子はさっき家にいた冒険者?
「たくやさーーーん!!!大丈夫ですかーーーー!!!」
「ご主人様ーーーー!!!ニナはここなのですよーーー!!!」
「さーーーーーむいんだけどーーー!!!!!」
「ぶわっくしょ、ぶわっくしょん!!!!!」
あの人たちも、ここに来たのね。
すごい、気が抜けちゃった。
「は、あはは」
「は!サレビア!大丈夫か!!」
「うん大丈夫。えと、あの人が助けてくれたの?」
「よかった。・・・そうだ、彼が俺達を助けてくれたんだ」
少年は余裕そうな顔をしながら、私達に振り向いた。
絶望なんて跳ね返すほどの、自身に満ちた顔。
彼は一体・・・
「俺!参上!!ってね」
・・・ふざけてるの?彼。
「やー、無事でよかったよおっさん!・・・とサレビア?だっけ?よく耐えたね。後は俺がやっちまうから、そこで待っててよ」
ああ、なんて安心するんだろう。
彼の声を聴くだけで、どんな逆境も引っくり返せる。不思議な自身が湧いてくるわ。
「おーい!お前!魔王の配下なんだって?今から倒すけどいいよね?答えは聞いてないけど!」
「なんだ貴様らは。クカカ、あんな魔法を無効化したところで、我を倒せると思っているのか?思い上がるなよ人間」
「は?思い上がってるのお前なんじゃない?ふつーに首三つとかキモイから、一本にしてやるよ!あ、でも左右対称に二本に・・・まあいいや!これから死ぬ奴に言うことなんてないね!」
あの少年、凄い煽ってる・・・
ドラゴンも流石に怒ってる様子を隠しきれてない。
身体は白いのに、赤くなってる感じがする。
彼の仲間の女性たち?が追い付いて、私と父親に近づいてきた。
「えっと!サレビアさん!大丈夫ですか!」
「うん、大丈夫。ありがとう」
「ギリギリセーフなのですー!」
「私達が来たからにはもう安心だな!!あのドラゴンをすぐ倒してやるからな!」
「間に合って良かったよー!」
銀髪の女性と獣人の女の子、騎士の女性と・・・ドラゴンっぽい女性がそれぞれ私達を気遣ってくれてるみたい。
「みんなー!二人の事守っといてねー!!」
「え、彼一人で平気なの!?」
信じられない!まさか、一人であの化け物と戦う気⁉無謀にもほどが・・・
「平気ですよ」
「そうなのですよご主人様は」
「最強だからね!」
「ま、私程じゃないがな!!」
すごい自信。ここまで言うなら、もしかしたら本当に・・・
ドラゴンが翼を広げ、私達に風圧を押し付けて、威嚇してくる。
でも、彼は一切怯むことなくドラゴンに向き合ってる。
「人間!思い知らせてやろう。我は魔王配下『トリシューラ』。氷漬けにして粉砕してやるわ」
「あ?まあ、夢を語ることは誰にもできるからね!んじゃ、いきますか!」
その瞬間、少年は消えた。
瞬きした時には、もうドラゴン目の前まで近づいてた。
なんて速さ、信じられない。
彼は本当に人間なの?




