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70話 魔法が使えない俺と帰郷のワケ

フェンリルは、よくわからん一言を呟いて息絶えたね。


魔物って喋れるらしい、タメになったよ。


それにしてもひやひやしたね!おっさんが何故か馬車から出てくるんだもの、サリスはちゃんと、馬車にいるように言っとけよなー。


「おっさん、無事?」

「あ、ああ、助かったよ。君は・・・」

「ご主人様ー!やりましたのですー!!」


うご!今クレマと話してるのに、ニナが顔面にダイブしてきたんだけど!?


アンジェとミュラも突進してきて、うお、重い・・・


「たくやさんはやっぱり最強ですね!!」

「たくやくーん!流石だよ!ちゅきちゅき!!」

「あ・・・私も・・・いや、お前ら!クレマ様の前で何をやってるんだ!!」

「だー!早く行くぞー!」


サリスはクレマを馬車に乗せて、再びカサブラに向けて進み始めますよと。


◇◆◇


とりあえず歩き続けて夜。安全なところを確保して今日は一旦休憩して、また明朝から出発。


馬車に用意されてる飯を食って、これから寝ようかなってところだね。


フェンリルとの戦闘に疲れたからか、みんなもう寝ちゃってるよ。俺しか火の番する人いないし・・・まあいいけどさ。


周囲を照らして、パチパチ音を立てる火をぼーっと眺めながら、眠気が来るまでじっとしてるんだけど、寝たら危ないよなあ。


ん?おっさん馬車で寝てると思ってたけど、降りてきて俺の方に近づいてくるなぁ。


てか、俺の横座ってくるし。


「寝なくていいの?おっさん疲れてるでしょ?」

「不眠は慣れてるんだ。夜空を眺めたくてね」


態々夜空がみたいなんて、ロマンチストなのかな?


「たくや君、悪かったね。君を見くびってたよ」

「あー、まあいいよ。次から俺らに任せて馬車にいてよ。あとなんで馬車から出てきたのさ?」

「ふむ、そうだな。逃げたくなかったから、かな」


逃げたくないも何も、俺らが護衛してんのによく分からない事を言うな、この人。


まー、子供に守られるのが癪だったのかな?


「逃げるは恥だけど、役に立つよ」

「・・・そうかな?私はあまりそうは思えないな」

「なに?おっさんは何かから逃げたの?」


俺が質問したら、無言になっちゃったよ。なんか言いにくいことでもあるのかね?勿体ぶられるのは好きじゃないんだけどなぁ。


「私はね、元々貴族じゃないんだよ。王都騎士研究部にいたんだ」

「え?ロビがいるあそこ?意外なんだけど」

「ああ、ロビ君ね。彼女は私の元助手だよ。今は立場が逆だけどね」


へー意外。貴族って生まれながらとかじゃないんだ。ということは婿?


じゃあ、なんでこの人貴族になったんだろう?玉の輿?


てか、逃げる云々と関係ないし。


「昨日まで王都にいたのは、魔法研究をしてたからだよ。一応貴族なのにね。勿論地主としての仕事もやっていた。妻の両親はもうなくなってるし、14の娘に仕事を任せるのは、申し訳ないからね」

「へー娘さんいるんだ。娘さん置いてきてまで研究したかったの?あ、奥さんも一応いるか」

「・・・妻は死んだよ、持病でね」

「そっか」


奥さんいるなら、なおさら娘一人置いてったらダメでしょ。多分お手伝いさんとかいるんだろうけどさ。


「妻が死んで、娘と反りが合わなくなって、逃げて王都で研究に没頭してたってわけさ。で、明後日にカサブラで大事な目的があるから、このタイミングで娘に向き合おうって思ってな。だから、娘と重なったんだ。子供が目の前で傷つくのが嫌だっただけさ」


あれか、自分の子供と俺らを重ねたって言いたいんだな?いやー、舐められたもんだね。


あー、だから出発の時つんけんしてたの?なるほどね。


「んまあ、気持ちは分かるけどさ、仮にも冒険者やってんだから俺らに任せていいよ。おっさんは、俺らの心配じゃなくて、娘とその目的の事だけ考えなよ」


「そうだな」って言ってまた黙っちゃった。んー、もうちょっと優しい言葉掛ければよかったかな?


でも、俺って人を慰めるなんて柄でもないし、難しいね。気まずいし、話題変えるか。


「ねえ、その目的ってのは何なのさ?」

「ああ、それは・・・娘の誕生日なんだ。プレゼントを渡したくてね」

「おー、おめでとう。んじゃ、仲直りできるといいね」

「ああ、ありがとう」


随分と優しい顔するなあ。厳格そうな感じだけど、普通にいい人なのかもね。


他人の話を聞いたら眠くなってきた。ちょっと仮眠して明日に備えるかな。







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