69話 魔法が使えない俺とフェンリル
護衛任務中、急に現れたフェンリルをこれから倒すとこ。
フェンリルって白と青のでかい、尻尾が二股になってる狼が、馬車の進行方向を塞いで、襲いに掛かる感じなんだけど、マジででかいなぁ。
馬車を運転してるあんちゃんもビビってるよ。
しかも、身体から冷気みたいなの出てて、すげえ冷たそう。
あ、サリスが馬車から出てきた。
「敵か!?これは!フェンリルか!!王都騎士50人で倒せるレベルだぞ!!私が倒してやる!!!」
「おーい、勝手に突っ込むんじゃないよー」
「うおおおお!ガラティーーー・・・」
貴族の前で良いところを見せたいのかな?めちゃくちゃやる気じゃん。
いや、元からあんなもんか。
いつものバカでかい魔力の剣で、フェンリルを叩っ斬ろうとするんだけど、フェンリルの二股の尻尾で塞がれると。
んで、尻尾に触れたところから、光り輝く大剣がどんどん氷漬けになってくね。
うわー、寒そー。
「な!私の聖剣が!!氷漬けに!?さむ!寒い!寒い寒い!!!」
「サリスー!一回引けー!」
「な!騎士に引けというのかたくやは!!そんなこと認めてられ、寒い寒い寒い!!!」
やられそうだし、そろそろ俺らも加勢しないとダメだな。どんどん剣が氷塊になってきてるし。
「サリスさんって、いつもああなってませんか?」
「やめなよアンジェ、良いところ見せたいんだよー」
「サリスは可哀想なのです」
女性陣の言葉は、あのフェンリルより冷たいのかもしれないね。
「よし、行くぞみんな!」
「はい!たくやさん!『業火灰燼天より来たる、炎の痛みを知れ!フレア・イラプション!』」
「やー!!ニナのパンチを喰らうのですよー!」
「よーし!やるぞー!『フィアンマ・ブレス』!ごおー!」
アンジェの超巨大火属性魔法、ニナの拳に炎を灯しての高速突進、ミュラの口から繰り出す炎の息吹で、サリスの助けに入ったね。
その甲斐もあって、フェンリルは一歩退いて、氷漬けの聖剣を溶かして、なんとかサリスを青白狼から引き剥がす事に成功したな!
それでも、フェンリルにダメージが入ってる様子はあまり見えないなぁ。
「大丈夫ですか!サリスさん!?」
「わー!!助かったー!!冷たかったー!!・・・コホン、まああのままでも大丈夫だったがな!感謝はしとこう!!」
「サリス?ありがとうぐらい、ちゃんと言えよ?」
ともあれ、振り出しには戻ったけど、身体中に吹雪を纏ってるあの獣にどーやって近づくかって感じ?
まあでも、あの吹雪ごと叩っ斬れば済む話かな?
・・・は!?
貴族のおっさん!なんで馬車から降りてきてんの!?
「外はどうなっているんだ?・・・フェンリルだと!?子供では無理だ!逃げろ!」
「ざけんなおっさん!なんで外出てきてんだよ!」
「私にも、魔法の心得がある!下がりなさい!『フレイム・ドライブ』」
おっさんから放たれる3つの炎の塊が、フェンリル向かって飛んでいくけど、吹雪のシールドで容易く消されたよ。
フェンリルの目線がクレマに移ると、咆哮と共に口から氷の魔法光線を放ちやがる!
やべ!おっさん氷漬けになっちまうぞっと!!
・・・セーフ!!なんとか受け止めれたな!
まあ、俺の魔殺でこっちにダメージが来ることはなさそうだな。普通に魔法を消してるっぽいし。
ったく!なんでこのおっさんは出てきたかなぁ?
「とりあえず!あんたは馬車に戻れ!こっちでやっとくから!」
「・・・しかし、お前らでは・・・」
「いいから!あんなん即やれるっつーの!!」
あーいえばこーいうし、馬車に戻る気配も無いし、埒があかねえや!
「たくやさん待っててください!『イフリートプリズン!』」
「ご主人様に!何するのですかー!キーック!」
「その大きい口閉じさせるから!!『サラマンド・テール!』」
アンジェが繰り出す炎獄が、フェンリルの吹雪と相殺して、ニナから繰り出される烈火の蹴りが、フェンリルの顔を蹴り上げる。
んで、ミュラの燃える尻尾が狼の口を塞ぐようにして、上から叩きつけられて、ついには冷凍ビームが停止したよ。
「サンキューみんなー!!あ、おっさん?そんなに馬車乗りたく無いなら、そこでジッとしててよ」
俺はクレマを背にして『縮地』と『空蹴術』で、フェンリルに突っ込むと。
フェンリルが二股の尻尾で、俺に迎え撃とうするけど、尻尾は燃える大剣によって弾かれる。
「ははは!!どうだ!!アンジェの魔法を纏った炎の剣だぞ!!!凍らないぞ!!かっこいいだろぉ!?!?」
「サリスさん、あまり無理しないでくださいね?そんなに持続しないんですから」
「わ!火が消える!!やめろ!やめろぉ!!」
相変わらず騒がしいなぁ。まあ、助けてくれたことには感謝しとくか。
「サリスありがとさん!んじゃー、狼狩りだな!『鳥襲刹牙!』」
高速接近からの抜剣により、フェンリルに横薙ぎっと!
3.2.1ぶった斬り!!
フェンリルは血しぶきをあげて、倒れたね。
浅い息で、ギリ生きてるみたいだから、トドメでも刺そうかな?
ん?フェンリルがなんか、喋ってないか?
「もう・・・け・・・せん、ト・・・ラさま・・・」
んー、何言ってんだろ?




