52話 魔法が使えない俺と選手交代
フォーとバケモンおじさんとの戦いは熾烈を極めているところ。でも、フォーの方が少し不利かも。
しかも結構おっさん余裕そうだし。
フォーは自慢の肉弾戦でおっさんに食ってかかるも、それをいなしながらカウンターを狙っていく感じ。
おっさんの異形に変形した手は、一撃一撃に魔力が込められているようで、黒い炎を纏ってフォーを切り裂きに掛かるような挙動。
フォーに宿る赤い魔力を拳に乗せながら応戦しているも、なかなか一撃を決めるに至らない。
あれ1発でもくらったら危ないんじゃない?
ギリギリ避け続けてるけど、おっさんに群杯が上がってるみたいだし、そろそろ厳しいかもね。
「フォーよ、お前が私に勝てると思っているのか?私はまだ、3割の力しか出してないぞ?」
「はぁはぁ、なんだと?戯言を!」
「ほれ、そろそろ終わらせるか?」
うわ、翼が闇の炎?に変わって、膨大な禍々しい魔力が溢れて出し始めると、超スピードフォーに突っ込む。
「ぐっ!このぉ!!」
「おら!まだまだ!!」
おっさんのラッシュになんとか対応して、かわしたり防いだりしているものの、ジリジリとフォーが後退してく。
ありゃもうだめやな。そろそろ加勢に入ろうかなぁ、でもルールで一騎打ちだし。
隙が生じたフォーはのけぞった瞬間を見計らって、おっさんのラッシュが彼を襲う。
全身にダメージが入り、割と早めの連撃で次第に傷口が増える。
「はやい!早すぎる!!」
「これが、魔王の力なのか!?」
「さ、里長!!も、もう!!」
とか対決を見守る龍人族達は、目に映ってる場面を見て驚愕してるみたい。
そんなに早いか?
「うっぐぅ・・・!!」
「さっきまでの威勢はどうした!?これで終わりだぞ!!!」
立つ力が残ってないのか、フォーは血だらけで片膝をついたよ。これはまずいね。
「この村は俺のものだ!!!」
っておっさんが止めの一撃を喰らわせるところ。
その時、ミュラが兄の前に入り、おっさんの一撃を受け止めてフォーを守ってしまった。
あー、これってルール破っちゃったんじゃないかなぁ。
「ミュラ!何故!!」
「当たり前じゃん、兄さんには死んでほしくないよ」
「しかし、勝負が・・・」
「一騎打ちに割り込んだな?ミュラ。反則で私の勝ちだ」
やっぱりなー。割り込んだことで、兄は負けてしまった。
でも、しょうがないよね、家族が死ぬのってきついし。
しかしだ、これで里がおっさんの手中に収まっちゃったよ。どーすっかこれ。
「はは!では、この里は私のものだ!!それとも、私に挑む奴がいるか!?いないよな!?」
もう勝った喜びで昂っちゃってるよあのおっさん。
加えて、里で一番強いと言われてる兄が負けたんだし、龍人族の奴らも意気消沈って感じ。
んじゃ、しょうがないか。
「おーいおっさん!俺が相手するよー」
「は?人間のお前がか??」
「おう、おっさん俺より弱いし」
なんとなくうざいから挑発しとく、まあちょっとした作戦かな?
「た、たくやくん!だめだよ!里の人間でもないのに!!」
「そうだ!首を突っ込んでは!」
「え?勝てばこの里貰えるんでしょ?じゃあ、このおっさんぶっ倒して、フォー達に返すよ。任せなって」
俺の言葉を聞いて、かなり頭にきてる様子のおっさんは、みるみる翼の魔力を上げてく。
アンジェとニナ、サリスはやっぱりねって顔をしていて、止める気配はなさそう。
「たくやさん、やっちゃってください!」
「ご主人様ならちょちょいのちょいなのです!」
「まあ、骨くらいは拾ってやるぞ?」
って感じで背中を押してくれたと。そして、おっさんの怒りを爆発させそうな顔をまじまじ見る俺。
「てことで、今からお前倒すけどいいよね?答えは聞いてないけど」
「・・・はは!いいだろう!人間ごときが私に歯向かうその愚かさ!身をもって知れ!!」
という事で、龍人族の代表として、俺がおっさんと里取り合戦を始めることになった感じ。




