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51話 魔法が使えない俺と裏切り者のおっさん

里に付いて束の間、ミュラの兄とお話してると、補佐を名乗る龍人族のおっさんが出てきたところ。


クランから貰った邪悪を探知する魔道具に反応して、このおっさんが不敵な笑みを浮かべた感じです。なんだこいつ。


「ハハハ・・・、まさかバレてしまうとはね。そうさ、私がこの里に来るよう、ガングニールに伝えたのだ」

「な!まさか!!」

「そんな!!なんで!?」


兄は勿論、ミュラと他の龍人族も驚きとショックな様子。


そりゃそうでしょ、ずっと仲間だと思ってた里の奴らから裏切者が出てきたんだからね。


「ふん、私はただ強いものに付きたいだけだ。これからこの大地は魔王様の土地となる!当然だろう!?お前らを手土産にすれば、仲間入り出来ると踏んだだけの事さ」


うわーくず―。自己保身で家族同然のやつら売るとか、こいつとんでもねえな。一回シバくか?


剣を抜こうと思ったんだけど、兄のフォーが止めて俺を見つめ始めた。やめろってことかな?


「貴様はもう仲間ではない。裏切者は俺が首を跳ばす」

「抜かせガキ。私は手に入れたのだ。最強の力をな!!」


赤い何かをポケットから取り出して、口の中に突っ込むおっさん。


そしたら、もともと人間割合が高かったからだが、どんどん逆鱗やら翼やら尻尾やら顔やら、爪だのが主張されてって、ドラゴン割合が多めのドラゴン人間に変身してしまった。


人間体を捨てて、魔物になったってことかな?そんな簡単に人を捨てられるって、なかなか大したタマだね。


「ああ・・・力がみなぎるぞ!!これが魔王様の力!!!」

「下がれ皆、こいつは俺が裁く」

「兄さん!私も・・・!」

「いや、これは里長である俺の責任だ」


龍人族たちと俺らが見守る感じで、裏切者の断罪が始まったのだった。人って愚かだね。


「では、龍人族通例、1対1の儀礼戦闘という訳だな」


儀礼戦闘?なにそれ?ミュラに聞いてみるか。


「龍人族の習わしで、誰が里で一番かを決める風習だよ。勝った方が里長になるんだ」


なるほど、じゃあ兄はあのおっさんに勝ったことがあるってことか。


まあ、そしたら勝てるんじゃない?知らんけど。


「ならば、私が勝ったらこの里を貰うって事だいいな?」

「問題ない。俺は絶対に負けん」


怒りを昂らせた兄・フォーは前に出て、おっさんの目の前まで歩いていくのを、俺らは黙って見てる。


おっさんとフォーを囲むように、龍人族の奴らが集まって懇願するような眼差しで見てる様子だね。


いやー、是非ともフォーには勝ってほしいけどなぁ。なんだ?アンジェが袖引っ張ってくるけども


「たくやさん、フォーさん勝てますでしょうか?」

「里長ってことは一番強いんでしょ?大丈夫だと思うけど」

「ニナは緊張なのですよー」

「まあ、彼が負けても私が勝てばいいからな!」

「おい」


俺らもとりあえず、フォーを見守りながら、里長とおっさんの一騎打ちを見届けようかね。


ミュラは少しフォーに近づいて、握り拳を強く握りながら、鼓舞するように兄の背中を応援した。


「にいさん・・・絶対勝って!!」


そしたら、フォーは妹の掛け声に反応して振り向いて、笑顔を向ける。


「当たり前だ!」


こんなん見せられたら、もう勝つしかないっしょ兄!!


がんばれ!がんばれ!


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