44話 魔法が使えない俺と龍人族の女の子ミュラ
クランとついでにサリスとの戦闘が終わって、今ドラゴニス・マウンテンに来たところ。
山登りって結構大変だね、岩が転がってる坂道をひたすら登って組んだからさ。でも、一応登れる道がある事にびっくりだよ。
それにしたって、自然が一つもねえなあ。岩しかないし、岩石の絶景しか見えないよ。
「なぜ私は弱いんだ!なぜ勝てないんだ!!おかしいだろ!!」
「ねえまだ言ってるの?」
「さ、サリスさんも強くなってると思いますよ?」
「ご主人様にボコボコなのですー!」
サリスは登山中、ずっと俺に負けたことをブツブツ言っている。いや、負けず嫌いは良いことなんだけど、ここまでしつこく言われるのもなあって思っちゃうね。
「と、とりあえず、山に着いたんですし、これからどこにその龍眼玉があるか、探しましょう」
「探すのですー!」
アンジェとニナが何とか話題を変えようとしてくれてるけど、サリスは変わらないなあ。どうすんのこの人?
「私はこんなに頑張ったのになぜ・・・あれ、ドラゴンか!?ドラゴンだよな!?!?」
「ドラゴン?そんなわけ・・・ほんまや」
俺らの目線上に、空を佇むドラゴンの姿。首が5個だの2個だのあるような化け物じゃなくて、純粋なよくイメージに浮かぶドラゴン。これだよなーこれこれ。ゲテモノじゃなくて、こういうシンプルなのがいいよねえ。
「たくやさん!こっちに敵対心があるみたいですし、やりますか?」
「ドラゴン退治なのですー!」
「うーん、まあやっちまうか」
俺らが決意を固めているときに、サリスが前に出て「フン!」と鼻を鳴らしながら、ドラゴンを眺め始めたんだけど。いや、なに?
「私に任せろ。ドラゴンくらい、私の聖剣カリバ・・・」
「やめろって、マジで抹殺されるから。名前変えろ」
「うるさいうるさいうるさいうるさい!!!私の聖剣の名前を愚弄するな!!!」
「愚弄してねえよ」
俺らが馬鹿な事言ってる間に、ドラゴンは口元に火炎弾を作り出して、今にもこっちに吐き出してきそうだ。まあ、あれくらいなら俺が・・・
「下がって!」
え?なんだこの人?
俺らの前に現れて、ドラゴンを一撃で倒す、褐色の女の子。はえーすごい強いやん!
ドラゴンは倒れて、褐色は着地。女の子はこちらを振り向いて駆け寄ってた。
見た感じ、露出が多めで赤い布と、肌には赤い文様とか尻尾とか角とかが生えてるね。・・・尻尾!?角!?人!?
「君たち危なかったね!大丈夫かい!?」
「助けて頂いて、ありがとうございます!」
「サンキューなのです!!」
「まあ!私は全然助けなどいらなかったがな!!」
各々彼女に感謝を伝えて、褐色露出は「どういたしまして」とニコッと笑ってきた。可愛いんだけど、尻尾と角が気になってしょうがねえよ。
「ありがとう、ええっと。君は?あとその尻尾と角って・・・」
「ああ私?私はねー」
って褐色が俺達の前で急にターンした後、キラっ☆みたな決めポーズを取って自己紹介し始めたと。それいる?
「私はミュラ!龍人族だよ!」
ん?龍人族って?なに?龍ってなに?
「龍人族?」
「そうだよー!この山に住んでる種族!龍と人が合体した感じなのかな?あ、でもでも!ドラゴンより全然強いからね!!」
「すごいですねー。そんな種族の方々がいらっしゃるなんて」
「可愛いのです!!」
「あーりがと!」って言ってウィンクしてくるミュラは、結構天真爛漫な感じで表裏の無さそうな、優しい女の子っぽいね。
「サリスは龍人族って知ってたの?」
「ああ、勿論だ。ウチの王都騎士団にも1人所属してるぞ?」
「あ、もしかしてボラン!?彼元気??」
「ああ、日々精進しているぞ!まあ、私程ではないがな!!」
ミュラの質問にいちいちマウントを取りながら答えるサリスを見て、俺は正直見ていて痛々しく思えてきてた。ちょっと優しくしようかな。
「あ、でもみんなは、どうしてこんなところに?今の山は危ないんだよ??」
「俺らは龍眼玉ってものを取ってきてほしいって、王都騎士からお使いを頼まれたんだけど、危ないっていうのは?」
ちょっとだけ黙って、ミュラは言いにくそうに俺らに答えた。
「今、この山は魔王に脅かされてるんだよ」




