43話 魔法が使えない俺と腕試しの結果
『剣舞・花鳥水牙』
仰け反ったところに、一刀両断してやろうか。
「クラン避けて!」
「あんな奴に負けちゃん駄目!!」
クランが倒れてそのまま剣の切っ先を、首元に近づけて・・・
「・・・生きてるみたいだね。僕は」
「腕試しでしょ?どうだった?」
首を跳ねないで寸止め。まあ、勇者っていうくらいだから、ここで死んだら困るでしょ。別に、殺そうと思ってるわけじゃないしね。
「僕が悪かった。君を侮辱していたようだ」
「分かったらいいよ、手貸すか?」
って言った傍から、あっちの女連中がクランに駆け寄って心配そうにしてるよ。魔女っ娘は俺の事睨みつけてるし。なんだそれ。
「た、たまたま勝っただけで図に乗るな!」
「やめろ、僕の負けだよ。まだまだ修行が足りないね」
んま、俺が勝ちって事でさ。これでドラゴニス・マウンテンに行けそう・・・おわっ!
「たくやさんの勝ちですねー!」
「ニナもぎゅーなのです!」
「た、楽しそうだし私も・・・」
いつもの、勝ったら抱きついてくるやつね。もう慣れちゃったなぁ、とりあえず2人の頭を撫でておく。
あっちの目は凄い冷たい目してるけど。
「と、とりあえず、僕の負けだ。何かお詫びをさせてくれないか?」
お詫びだなんて、いやまじ?うーん、でもなー、特に欲しい物とかはないし。金も別に困ってないし。
「別にいいよ、楽しかったし。今度飯奢ってくれたらいいよ」
「たくやさんは心が広いですね〜」
「ご主人様器でかいのです!」
「私はお金欲しいなぁ」
「全てに完敗だよ」との事で、頭を掻きながら笑っているクラン様は、見たところ達成感があるような笑顔を見せてた。
「僕からのお詫びだよ、受け取って欲しいんだ」
「なにこれ?」
「強い悪感情を察知する魔道具だよ。魔王の配下とか、邪悪な存在を認知できる物だよ」
「うーん、ありがとう。貰っておくよ」
なんかコンパス?の上に緑の球体がついてる、謎の魔道具を貰った。
「じゃあ僕達はまた、魔王を討伐する旅に出るから」
「ねえねえ、なんで魔王討伐を目指そうと思ったの?」
何気なく俺が聞いたんだけど、思ったより暗い顔しはじめたな。あまり聞いちゃいけなかった感じ?
「僕の故郷は魔王によって滅ぼされたんだ。だから、その弔い合戦で追ってるんだよ」
「そうなんだ。ごめん、嫌な事聞いて。俺も機会があれば助力するからさ、お互い頑張ろうよ」
んー、結構深刻な問題だったみたいだね。さっきまでのクランに対する態度、改めたほうがいいな。
「いいんだ、寧ろこっちから頭を下げたいくらいだ。一緒に頑張ろう!」
◇◆◇
「たくやさん、なんだかんだいい人達でしたね」
「いや、あの魔女っ子最後俺の事睨みつけてたぞ?」
「嫉妬心剥き出しなのですー!」
あの女を分からせてやろうって思うほど、俺も子供じゃないからね。いや、やっぱムカつくな。
なんだ?サリスが肩に手を置いてきたぞ?
「まあ、悪くなかったんじゃないか?勇者が手加減していたとはいえ、あそこまで戦えるお前は、日々成長しているようだな」
「あ?」
なんだこの赤髪窓際女。どの目線で評価を下してきてるんだろう?あ、戦って欲しいのか?
「サリス俺と戦いたいの?」
「んお?たくや、私とやる気か?ははーん、さては、勇者を倒して気が大きくなってるな?」
「いや違うけど。いいよ、30秒だけ相手してあげるよ」
「フン!私の事みくびっているようだが、私を舐めるなよ!抜け!!!」
あー分かった。多分こいつ修行してたもんだから、自分の腕前試したいんだな?
いやいや、仕事しろよ。
「たくやさん!サリスさんに手加減してあげてくださいねー!」
「サリス頑張るのですー!」
「お前ら!私の事舐めすぎだから!!強くなった私の力!!見せつけてやるからな!!!」
て事で、サリスと戦う事になったんだけど、10秒掛かりませんでした。
くわばらくわばら。




