149話 魔法が使えない俺と邪龍決戦3
刹那、聞こえた気がした鐘の音。
ああ、そっか。あいつって時間止めれるんだったね。
「たくや様だけが、この止まった時間を自由にできます!ゴフッ、よろしくお願いします!」
そうだ、アンジェは時間魔法を使うたびに体にダメージが入る。
アンジェは血反吐を吐き、俺に託す。
「サンキュー!無駄にはしねえよ!」
俺は全身の力を満遍なく振るい、アンジェ達の元に戻った。それと同時になった、終わりの音。
ゴーン
その間約3秒。
ギリギリ俺の剣が、邪龍の黒炎魔法を防ぐ。
重っ・・・てえぇ!!
今まで魔法を斬ってこんなことにならなかったぞ?
「たくやさん!いつの間に!?」
「え、ちょ!!どういうこと!?!?」
「でも・・・助かりました。ありがとうございます」
「え、ロビ意味わかんないんだけど!?!?」
アンジェ達が俺が一瞬でここまで戻ったことに対して、驚きを隠せない様子。
まあ、間に合ったから良いでしょ!
「感謝は、フィラにしな!!」
フィラは魔法を使った反動からか、その場に崩れる。
前の時といい今回と言い、もしかしたらフィラのあの防御魔法って、尋常じゃないくらい身体に負担を強いるんじゃねえか?
「フィラさん!大丈夫ですか!?」
「えっと・・・治療を・・・!」
「だ、大丈夫です。これは、回復魔法で、治せませんから」
「フィラ、無理しないでよ。フィラの魔法は相当体に負担が掛かるんだから」
アンジェ達がフィラを見守る中、俺はアンジェ達に向けられる黒炎を防ぎ続ける。
・・・なんだ?身体があちい!
まさか、魔法が効いてきてる?嘘でしょ??
でも、燃えてる様子もないし、痛みは全くない。意味わからねえ・・・
なんか、身体の中から熱いもんがじわじわ染み渡るような・・・
クランがひたすら魔法を邪龍にぶつけるものの、邪龍は全く見向きもしない。
サリスの聖剣もまた、歯が立っている様子はない。
ニナとミュラは、攻撃を当てることが出来ない。
アンジェとキアラもまた、邪龍に攻撃魔法を当て続けるも、邪龍を包む炎が消える気配がない。
この状態、いつまで続くんだっつの。いい加減に・・・
「たくやー!」
「・・・師匠?」
背中から聞こえてくる師匠の声。ずっと見てるなら、助けてくれてもよくない?
「深呼吸して、集中しなー!」
「え!?何言って・・・ああ」
・・・・・
あーそっかそっか。
修行中、ずっとそんなこと言われてたっけなあ。
こんな時こそ、冷静に、集中しないとね。
すー、はー、
よし!
身体の感覚は?
疲労感は?
痛みは?
全部大丈夫そう。
身体が熱いだけ。
邪龍の魔法は?
頭を冷やしたら、実はなんでもないのかも?
寧ろ、軽くなってる?
力もさっきより入るし、なんか余裕な気がしてきたぞ?
「・・・くやさん!たくやさん!」
後ろからアンジェの声が聞こえる。
どうやら俺の肩を握っているようだね。
「おお、アンジェ。ごめんごめん、なに?」
「いえ・・・ずっと俯いてたので・・・」
「もう大丈夫、ありがとう。んじゃ終わらすわ」
すっきりした頭で、目の前の光景を俯瞰した後、剣を握る手に力を込める。
そして、黒炎を消しながら、ゆっくり前に進み始める。
邪龍は自分の魔法が無力化されていることに不服なのか、先ほどよりもさらに威力を上げる。
だが、それでも変わらずに俺は魔法を斬り続ける。
遂に、邪龍の目の前まで到着する。
俺は、邪龍から放たれる黒炎と邪龍が纏っている炎ごと、一振りで消し去る。
これでもう、邪龍は丸裸だね。
邪龍はもう自ら魔法が使えないと悟ったのか、先ほどよりもはるかに襲いスピードで、俺に尻尾を振るう。
「邪魔はさせんぞ!!!」
「ご主人様に、手を出させないのですよ!!」
「たくや君に指一本触れさせないんだからぁ!」
「さあ!たくや!!」
サリス、ニナ、ミュラ、クランは、邪龍が振るう尻尾に向かって攻撃を始める。
尻尾の攻撃が阻まれた邪龍は、上体を起こして俺を踏みつけようとしてきた。
「たくやさん!よろしくお願いします!」
「今はあなたに、全てをゆだねてあげる!」
「ケリをつけましょう!」
「早く終わらてよねー!」
アンジェとキアラは攻撃魔法を、ロビは謎の魔道具を邪龍に当て、カーシャは防御魔法を張り、俺への攻撃を阻む。
「たくや様!今です!」
「たくやー!弟子力見せてやれー!」
「たくや君!終わらせてください!!」
「人間!我にその力、見せてみろ!」
フィラ、師匠、国王、ヴォルゼアスの声援を受け、俺は邪龍の頭まで跳躍する。
剣を振りかぶり、邪龍の首に目掛けて斬りかかる。
邪龍は最後の最後に、俺に向かって大きな顎で噛みつこうとするも、俺はするりとかわし、首に剣を振る。
最後の一撃だね。
「じゃあな」
斬。




