148話 魔法が使えない俺と邪龍決戦2
邪龍が怯んだことによって全ての攻撃が止み、フィラの魔法は役目を終えて消えた。
「今のうちに畳みかけるぞ!」
「ああ!一緒に行こうたくや!」
「ニナも行くのですー!!」
「はあはあ、ちょっとだけ疲れたぞ!」
俺含めた前衛組が、邪龍に向かって最接近を試みる。
邪龍が目をやられてるうちに、一気にやっちゃいたいけどなあ。
って思ったのも束の間、邪龍は見えないながらもお構いなしと言いたげに、黒炎やら魔導砲やら黒炎の竜巻など、ありったけの魔法を周囲にまき散らし始める。
「俺が進路を確保するから、皆は邪龍に・・・」
と俺は皆に声をかけ剣を構えたところだった。
「『グラヴィティ・ヴォイド!』」
「『アブソリュート・メテオ!』」
キアラとアンジェの魔法が発動した。
すると、邪龍のいる空間のみがまるで、重力の倍率が何倍にもなったかのように、巨大な身体をうつ伏せにさせる。
そして、どんどん邪龍は地面にめり込み始めている一方で、邪龍の頭上からは身体と同じ大きさほどの巨大な氷の隕石が出現し、邪龍の身体を押しつぶし始める。
氷の隕石の接触部分から、徐々に邪龍の身体を凍結させていき、邪龍の動きを阻害する。
「アンジェ、あなたの魔法、結構やるじゃない!」
「キアラさんの魔法もすごいです!」
攻撃系の魔導士同士、やっぱり通じるものがあるんだろうな。笑顔でお互いを認めているあたり、雰囲気がめちゃくちゃいい。
全てを押しつぶすかの如き強力な重力に、周囲が凍てつく氷の隕石を以て邪龍はもがき苦しむ。
だが
「え!嘘でしょ!?」
「まさか!そんな力が!!」
アンジェとキアラは驚愕の表情を浮かべる。
それは、何故か。
邪龍の身体が黒い炎に包まれたかと思うと、黒炎が大きく爆散したことで、アンジェとキアラの魔法を相殺させる。
しかし、今の邪龍の抵抗によって、若干の疲労が見えた気がした。
「好きアリなのです!」
「さあ!行くよぉ!!」
ニナとミュラが勝機を見出したように、邪龍の懐に入る。
「ニナ・ギガドリルパンチィ!!」
「『クラッシュ・テール!』」
ニナは自身の身体をドリルのように螺旋回転させ、邪龍の腹に思い切り拳をめり込ませる。
ミュラも同様、邪龍の腹部に魔力を込めた己の尻尾を横から叩きつける。
二人の打撃攻撃は邪龍に対して、かなり効いている様子を見せつつも、攻撃に転換しようと考えたのか、翼をバタつかせ上空に逃げようと試みる。
4枚の翼から吹き荒れる暴風によって、ニナとミュラは後退を余儀なくされてしまった。
「わああ!!逃げるのですぅ!!」
「まずいよ!逃げるな卑怯者ぉ!!」
ニナとミュラが叫んだ直後、邪龍の上空には一人の金髪が佇んでるね。
「逃がさないよ!今までの借りを清算しないとね!」
逃走を図る邪龍に向けて、クランは自身の剣に魔力を溜め始め、やがて烈火のごとく炎が燃え盛る。
「『竜王爆炎翔!!!』」
剣から放たれる巨大な龍を模した炎が、邪龍に向けて放たれた。
爆炎の龍が邪龍を襲い、巨大なうめき声を上げながら、地面に墜落する。
その隙に俺は、背中に回り込んで4枚の翼に剣を向ける。
ぶった斬ってやるよ。
『剣舞・水鳥流月』
巨大な4枚の羽根に前進し、『縮地』と『空蹴術』を駆使して、一瞬で細切れになるが、肉片は全て塵のように霧散する。
翼がでかいから、斬るのに手ごたえがあるなあ。
翼を失くした邪龍には、もう逃げ道は無いね。じゃあ、このまま仕留めちゃおうか?
が、邪龍は最後の悪あがきを見せるように、身体に黒炎を纏い始める。
あっぶねえ。燃えるところだったわ。
「嘘、まだあんな元気があるっていうの!?」
「キアラさん落ち着いてください。最後の力を出してるはずです。勝機はもう目の前に・・・」
アンジェ、キアラは驚きながらも、魔法の発動準備を始める。
「あちち!近づけないのです!!」
「もー!もうちょっとなのにー!!」
「クソ!聖剣が燃える!!??」
ニナとミュラは一歩下がるものの、サリスはでかい聖剣を邪龍に振りかぶる。
しかし、聖剣で邪龍を傷つけることは敵わず、逆に剣が黒く燃え始めた為、急いで魔力を解除する。
更には、クランの爆炎剣を物ともせず、黒い魔法陣を発現させた邪龍からは、強力な黒炎魔法を後衛に放つ。
「まずい!みんな逃げろ!!」
クランの言葉も空しく、アンジェ達は直ぐに動くことはできない。
「魔法が・・・まだ!」
「まずい、避けられないわ!!」
「やーー!!ロビ死にたくないんだけど!!!」
「防御魔法が間に合いません!!!」
アンジェ達は、死を覚悟するように目を瞑る。
殺させるとか、ありえねえ。俺が守らないと!
でも、間に合うか・・・いや、間に合わせるって!!
ここまで来て、やられるわけにはいかないからね!
ゴーン




