139話 魔法が使えない俺と邪龍の能力
師匠との会話を終えた俺達は、次の計画について話すところだね。
ほんと、丸裸にされたレベルで恥ずかしかったんだけど?師匠の抱きつき癖と言い、話好きといい、もうちょっと労わってほしいね。
「とりあえず邪龍追わない?被害が出るかもしれないし」
「まあ、今の戦闘で疲労してるわけだし、今日はゆっくりしようか」
「ゆっくりで大丈夫なの?」
「そんな疲れた状態で戦闘しても、いい結果にならないと思うよ?まずは体力を回復しないと」
師匠の言葉にも一理ある。焦る気持ちもあるけど、まずは少し休息を挟まないと、パフォーマンス的に厳しい気がするし。
それに、師匠の魔力感知なら、たとえ世界の裏側に行ったとしても、逃げられることはできないだろうしね。
「それに、今回の任務で重要なのはたくやだしねー」
「たくやさんですか?」
「どういうことですか?ランベルム様」
アンジェとサリスが首を傾げて師匠に問うと、いつものニヤついた顔を崩さずに答える。
「今回の任務は、カバネから直接聞いてるでしょう?あの剣には特殊な能力があってねー。それは『魔力吸収』。邪龍の魔力を抑える目的で作られたオーパーツみたいな技術。それに加えて、あの邪龍独自の能力『魔法障壁』。今はまだ未完成品の身体だからダメージが通るけど、完全体になった時、あらゆる物理攻撃が無効化される」
「え、あれよりさらに強くなるってことぉ??」
「考えられないのです!」
ミュラとニナを始め、目を丸くする一同。
つまりだ。あの邪龍が本当の姿になった時、魔法も物理も効かない無敵の魔物になるってことだね。
いや、最強過ぎない??
「そーいうこと。封印の剣の能力と邪龍の能力、二つの特性を併せ持った文字通りの化け物になるって事だね。そうなったら、私でも倒すのは無理」
「でも、俺ならできるってことが言いたいの?」
「話が早いなーたくやはー!結局のところ、邪龍の能力は全て魔法の力によるもの。たくやが持ってる『魔法を殺す能力』だけが、唯一の対抗策ってわけー」
だから、国王は俺達に直接、剣の破壊を頼んだってことか。そして、剣を破壊することで、魔法を使って戦うことが出来る。
じゃあ、俺次第でこの戦いの明暗が分かれるってことかぁ。プレッシャーがやべー!
師匠は俺の頭にポンと手を乗せて、微笑みかけてくる。
「ま、たくやなら大丈夫でしょ?なんたって、私唯一の弟子なんだからさ」
「師匠、こっぱずかしいからやめてよ」
「もー!照れるなってー!!かわいいなぁ!!」
髪を乱暴にかき回さないで欲しいなあ。
でも、師匠に頼られるってのは、案外悪くもない感じだなぁ。
「とりあえず、ここで少し休息ですね。たくやさんの話もっと聞きたいですし!」
「ニナも聞くのですー!」
「たくや君の人生を聞かないとねー!」
「たくやの強さの秘密が分かるかもしてないな!!」
アンジェ達は、邪龍よりも俺の羞恥話に花を咲かせたいのだろうか。これが本当に分からない。
・・・そういえば、カーシャとキアラが黙ったままだな?どうしたんだろ?
「ねえ、2人ともどうしたの?」
「・・・」
んー、クランの身体の事を心配してる感じかな?まあ、分からなくもないけどさ。
ん、師匠がこっち向いたな?
「どうしたんだい?勇者君が気になる?大丈夫、剣を破壊すればきっと助かると思うよ?多分ね」
「・・・ありがとう、ございます」
カーシャがどうも歯切れ悪そうに答えてるし、キアラは黙ったままだし。どうやら、クランの事だけじゃないみたいだね。
「もしかして、さっきの事気にしてる?」
「・・・っ!」
あーやっぱり?別にそんな気にしなくていいのに。
「別に気にしなくていいでしょ。運が悪かったってことで」
「・・・慰めなくていいわよ。結果として、私が状況を悪化させたんだし、クランもあんな怪物に・・・」
どうやら相当根深いらしい。そんな事考えたって、しょうがないと思うけどなあ。
「キアラちゃん、そんなに自分を責めないでください。あの場面で皆さんが助かったわけですし」
「やめて、私が全部悪いの」
俺嫌なんだよなー、こうやって自責を続けるの。そんなことしたってなんも解決しないじゃん?
かといって、追及もできないし、 慰めてもどうにもならないし、難しいんだよなあ。
さて、キアラを復活させるのには手間がかかりそうだね。




