137話 魔法が使えない俺と意外な助っ人
黒い尻尾から、巨大な闇の球体が発射され、アンジェ達のいる地上に向かって落とされる。
それを防ぐために、地上へと降りようとする俺に向かって、邪龍が再び俺に魔法照射を発射してくる。
俺は振り返り、再び魔導砲を相殺させてられて、足止めを喰らう。
「邪魔くせえ!!どけっつの!!」
走してる間にも、球体は地上に近づき、間もなく着弾して・・・
「ま、魔法を!『アブソリュー・・・』」
「ま、間に合わないのですぅ!!!」
「え、やば、ちょ!!ほんとやば!!」
「聖剣で!え、でも尻尾が、あれ!え!!!」
彼女たちの混乱が、こっちまで伝わってくる。そして、カーシャとキアラはただ茫然とその様子を見てるだけ。
あー、ガチでやばいから!
これ、本気でみんなやれるやつ!!
「あー!!こいつぶっ殺して・・・」
気配。
それは、懐かしい?
久々?
そんなに時間たってたっけ?
いや、何で?
何であの人がここに?
「はいはーい!助っ人けんざーん!!」
球体は最初からなかったかのように消える。
そんな常識離れした芸当を出来て、余裕そうな感じの人。
あの人しかいないよなぁ。
「えっと、あなたは・・・」
「だ、誰なのですか?」
「え、凄い美人・・・胸でかっ!!」
「こ、この人は!わ!!わわわ!!!」
アンジェ達の目の前に現れた人物。
「はーい♪たくやの師匠でーす☆たくやがお世話になってまーす!」
そう、俺の師匠。ランベルムだね。
反った片刃剣を携えて、頭に藁の笠。
白を基調とし、着物っぽい服装に胸の谷間を強調させるようにはだけさせ、スリットスカートに白タイツ草履。
そしてあの天真爛漫な笑顔に尖った耳。
間違いない、巨乳師匠だなぁ。
「う、嘘ですよね・・・あの人って・・・」
「ら、ランベルム!?」
カーシャとキアラも茫然と師匠を見つめて、それに気づいた師匠がニコッと笑って手を振る。
え、マジでなんでいるの?
「おーいたくやー!会いたかったよー!!」
俺は未だに、邪龍の照射魔法を受け続けてる途中なんだけど・・・あ、おさまったな。地上に降りるか。
「ちょ、師匠!なんでここにむごっ!!!!」
「あーん寂しかったー!!!元気?ご飯は?寝てる?恋人は?んもー!キリがないからー!!」
「くるし!胸苦しいって・・・!」
「恥ずかしがっちゃってー、まだ子供なんだからぁ」
いや、この人理性ぶっ飛んでんだろ。抱き着いて、でけえ胸を顔に押し付けんなって!!
ちらっとアンジェ達を見ると・・・あ、これもしかして引かれてる・・・?
あ、息できなくて、そろそろ意識とびそう・・・
「えっと・・・ランベルムさんは、どうしてここに・・・」
「ん?あー、話はあとで。とりあえず、あいつどうにかしよっか!」
「で、でも魔法が効かなくて・・・」
アンジェの問いに、余裕な笑みを浮かべる師匠。
ぶは!やっと解放された!空気がうめえ・・・
それにしたって、師匠はもはや勝ち確信みたいな感じだけど、どっからそんな余裕見せてるんだ?
「魔法なんか使わなくても大丈夫でしょー。ほらっ!」
ものすごいスピードで腰の剣を抜刀する。
その瞬間、目にも止まらぬ速さで衝撃波を飛ばし、邪龍の左手に宿る龍の頭を切断した。
「ぎゃぁあああ」という咆哮を放つ邪龍に対して、ニコニコしてる師匠。
はえー、いつものことながらすげえスピード。
これ、身体強化と風属性魔法を一瞬だけ同時に使って、剣の振りをものすごい速さに昇華させてるインチキなんだよね。
「え、何が起こったんですか・・・?」
「見えなかったのです・・・」
「なに!え!何が起こったの!!」
「わ、私も見えなかったぞ」
そりゃそうだ、俺だって見えるようになるまで時間かかったんだから。
「さーて、やっつけちゃうぞーってあれ?」
身の危険を感じたのか、一瞬ではるか遠くまで逃げる邪龍。
やべえ、あいつ逃したら折角のチャンスが・・・!
俺が追おうとする瞬間に、師匠からバックでホールドを喰らう。なんでさ?
「師匠!邪龍が逃げて・・・!」
「おちつけたくやー。普段らしくないんじゃない?」
「いやでも・・・」
「大丈夫大丈夫。さっきの攻撃に私の魔力乗せたから、魔力感知さえすれば、いつでもどこに邪龍がいるのか分かるよ」
この人あの一瞬でそんなことしてたのかよ。魔法って便利だなあ。
「たくやさー、冷静さを欠いたら駄目って言ってるのにー、忘れたら駄目でしょー!」
「いやー、ごめん。熱くなった」
「分かればいいの!さ、皆落ち着こー!」
この雰囲気変わらないなあ。
柔らかい雰囲気で、なんも考えて無さそうに見えて、細部まで目が行き届いてる感じ。
邪龍が去ったことで、一旦冷静さを取り戻す俺達。
そして、カーシャとキアラもこちらに近づいてきて合流する。
でも、キアラの雰囲気は、まだ暗いままなんだよね。




