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135話 魔法が使えない俺とバケモンの思惑

廃墟街では、高い金属音が響き渡ってる。


出会った当初よりも倍の力量で、デタラメな振り方をする黒剣を弾き、防ぐ俺。


それと同時に後ろでは、ニナ、ミュラ、サリスが背面へと攻撃を当てに行こうとするものの、それをいともたやすく相手取る、黒い刃を兼ね備えた尻尾。


あの刃が魔法を吸収してしまうと知った今、魔導士は実質封印されたもので、アンジェとカーシャ、キアラはただただ見てることしかできない。


「ったく!殺すだけなら手取り早いけど、クランの身体なんだよなあ!!」

「その、通りだ!!勇者を助けないと!!うおっ!!」

「むー、あの尻尾強すぎるのです・・・!」

「あんな小さいくせに、力が私達3人と同じくらいなんて!どういうこと!!?」


普段から、魔力を身体強化に使ってるニナはともかくとして、サリスとミュラはやりづらそうにしている。


二人とも基本的には、攻撃部分に魔力を覆わせて戦うスタイルであるから、尻尾が触れることを避けたい。


もし尻尾に魔力が当たってしまったら、また奴に魔力を吸収されて、パワーアップされてもしんどい。


そして一番厄介なのは、剣の破壊って任務。


つまり、クランを殺さずに、剣だけを破壊する。クソめんどくさい任務ってことだね。


何も成す術がアンジェは、ミシアから借りた魔道具を取り出して、近況をギルドにいるミシアに向けて送信。


伝わったかどうか分からないけど、どちらにしろ手伝いは現状絶望的。


いやー!厄介だねえ!!


「こんの!クランの身体を人質に使いやがってさあ!」


そしてまた、龍の顔のように見える兜の無機質さが、なんかこうイライラしてくるんだよなあ。


涼しい顔しやがって、みたいな?


そう思いながら、振り回す剣をすり抜けて、なんとか隙を作って甲冑の肩部位に剣を入れても、飛ばせる様子は無い。


まるで、身体と一体化してるみたいだね。


「クラン!!声!本当に届かないの!?返事してよ!!!」

「キアラちゃん・・・」


後ろから聞こえてくるキアラの悲痛な叫び。


何もできない自分への苛立ちと、クランへの心配が入り交ざったような、なんとも辛い声。


まー、厳しいよねえ。


すると、声に反応したのか、龍の顔を模した黒い鎧はキアラを見るように首を動かしたかと思えば、俺の剣をするりとかわして、キアラ目掛けて飛んでく。


やべ!守りに行かないとまじー!


「・・・!クラン!!」

「キアラちゃん危ない!」


カーシャの声の通り、空中に佇むクランは尻尾をキアラに向けたかと思うと、刃の先から黒い魔力の塊を発現させて、徐々に拡大していく。


「こいつ!魔法も使えんのかよ!!」

「ご主人様!キアラさんが危ないのです!!」

「分かってる!!」


『縮地』でキアラの目の前に移動して、魔法を迎えうつ態勢を取る俺。


その時


「尻尾が使えない今、チャンスなんじゃないかな!!」

「た、確かにそうだな!!魔力を使うぞ!!」


ミュラは爪に魔力を溜めて、サリスは大きな聖剣を作り出す。


おい待てよ?クランが全然魔法を撃ってこないどころか、徐々に縮小してくような・・・


やべえ!!


「サリス!ミュラ!!ブラフだ!!!」


俺は急いでクランに近づく。


でも、ミュラもサリスも既に攻撃態勢に入っていて、今にもクランに当たるところだった。


サリスとミュラの魔法を消せば、相手に吸収されずに・・・


って、そんなことさせるわけないよなー。


クランは俺に向かって剣を振り回し始めて、俺の思惑を呼んでるように迎撃してくる。


そして、後ろの尻尾にはもう、先ほど溜めていた魔力は無く、サリスとミュラの攻撃を受け止める姿勢に入ってた。


「じゃまくせえ!!どけや!!!」

「やばい!止まらないよ!!!」

「もう、聖剣が当たるぞ・・・!!!」


尻尾の刃が、2人の攻撃を受け止める・・・


事はなかった。


クランは、まるで地面に吸い寄せられるように、大きな音を出しながら地面に激突し、地面にめり込んだ。


これって、重力魔法じゃない??


「・・・尻尾から魔法を吸収するなら、それ以外の部位に魔法を当てればいいんでしょ・・・」


そう、キアラは尻尾を範囲外にして、重力魔法を当てたんだね。


九死に一生とはこのことだなあ。


お陰で、ミュラとサリスの攻撃は空振りで済んだよ。


二人とも「ふー」と息を漏らす。


「ご、ごめんなさい・・・浅はかだったよ・・・」

「すまない。流石に謝る」

「まあ、結果オーライでしょ。しかも、今大チャンスだし」


そうだ。いまクランは、キアラの重力魔法によって身動きが取れない状態だ。


この機会を逃すわけにはいかないね。


「ナイス、キアラ!!まずはその尻尾ぶった切ってやる!!」

「はあはあ、この魔法あんまり長く続かないから、早くしなさいよね!」


口調が強いけど、まあいいや。


『剣舞・牙陣烈斬!』


俺は、地面にめり込むクランに高速接近して、尻尾に向かって縦斬りの体勢に入る。


はずだった。




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