134話 魔法が使えない俺とクラン(黒)の能力
カーシャとキアラは、ただただクランへ声を掛けてる。
でも、そんなことはお構いなしと言わんばかりに、俺に対してメチャクチャな攻撃を仕掛けてくる。
黒い剣を振り回しながら、変幻自在の尻尾を振り回してくるね。
反応は出来るんだけど、尻尾による突き刺しを死角からついてくるのが、なんともいやらしい。
んで、ニナとミュラの物理攻撃に対して、超反応で尻尾をぶん回し、下手に近寄るとやられかねないような、間合いの管理が絶妙の一言。
ー 剣を破壊してください ー
国王から預かった言葉なんだけど、そんなことしたらまた邪龍が復活するじゃんね?
何考えてんだあのばーさん。言っても、今の時点で半分くらい復活してる事に、変わりはないんだけどね。
剣を破壊するとしたら、間違いなく楽なのは魔法による攻撃だよね。
俺が引き付けてる間に、是非ともアンジェには魔法で破壊して欲しいね。
「たくやさん!気をつけてくださいね!!『スカーレット・フレア!』」
アンジェの詠唱と共に、俺とクランの頭上からは真紅の炎が現れて、燃え盛る炎がどんどん膨張していく。
そして、一定の大きさになった途端、その真っ赤な爆炎がクランに向かって降り注ぎ、着弾の直前に俺は後退。
爆炎がクランを包み込み、姿が見えなくなるほどの火力が、目の前で燃え盛る。
「あっちーなのです!!」
「この火力なら、かなりのダメージが入るんじゃないかな?剣だって壊れたんじゃないかな?」
「私の活躍がないじゃないか・・・」
ニナ、ミュラ、サリスが真紅に燃え広がる炎を眺めながら、勝ちを確信した時。
俺は違和感覚えたね。
炎が、縮小してる??
「ねぇ!!これ魔法の威力がどんどん落ちてない!?」
「そ、そんなはずは!!もっと威力が増してく筈なんですが・・・」
アンジェの説明とは反比例して、明らかに炎が縮小していく。
みんなは、その光景をただ見つめてるだけ。
そして、眼前で知ってしまった俺。
あ、こいつ俺みたいな能力持ってるな。
この間に追撃加えないとやべえな!
『剣舞・閃楼絶華』による高速突きを、燃える炎に喰らわせようとする。
しかし、灼熱から伸びる黒い剣によって受け止められ、炎はより小さく。
「そんな、あれは・・・」
「本当にクランなの・・・?」
カーシャとキアラの動揺に反応する様に、怪物の奇妙な行動がアンサーを出す。
そう、アンジェの魔法は黒い甲冑クランの尻尾によって、全て吸収されちまった。
剣を受けて分かる、明らかにさっきよりも力が跳ね上がってるね。
「まさか、クランさんには魔法が効かない・・・」
「それどころか、炎を吸収した様に見えたぞ!?」
「摩訶不思議なのです!」
「実質、魔法を封じられたもんじゃん!やばいよこいつ!!」
魔法使いの天敵、魔法吸収能力。
英雄ゆうたと同じ能力を持つのが目の前の怪物。
そして、厄介な事に身体自体は、勇者クランのもの。
最悪の化け物が、ここに爆誕したってことだね。
つまり、他の奴らは俺と戦うのに等しいって事になる。
魔法を吸って元気になったクランは、さっきの2倍近くの強さで、俺に猛追を仕掛けてくる。
「やべー!普通にデタラメに火力たけーよこいつ!」
やられるって事にはならないけど、さっきよりも気を入れないと普通にやばい。
そんくらい、身のこなしが段違いに良くなってるよ。
こいつと戦えるのは、俺、ニナ、ミュラ、サリスの4人。
そして、魔法を使えない縛り。
これを知って思うんだけど、俺って実は、結構厄介な奴だったんじゃね??
「魔法はダメだから、物理でいこ!ミュラ!ニナ!サリス!」
「りょ、了解なのです!」
「が、頑張るよー!!」
「やーっと私の番だな!!遅いぞたくやァ!!」
サリスめちゃくちゃ元気だけど、大丈夫かなぁ。
言った手前、心配になってきた・・・




