132話 魔法が使えない俺と廃墟の町
港から歩いて、大体2時間くらい経ったかな?
周りには、倒木やら枯れた草木が目に入って、この土地から生気がまるで感じないね。
土地ごと滅んでるって言った方が正しいかも。
元々森だったのかな?って思わせる様な、枯れ木の数々は、豊かだった土地の欠片を一切感じないな。
そんな死んだ森を進んでると、あちらこちらに破壊された建物が出てきて、残骸の山が目に飛び込んでくる。
痛々しい外壁の傷跡とか、家が焼けた跡、血痕っぽいのも確認できるね。
やがて、町だった土地に俺たちは到着した。
恐らくこの廃墟群が、リーンカーラなんだろうね。
「寂しい所ですね。倒壊した建物がたくさんありますよ」
「本当だねー。人がたくさんいたんだろうなーって感じはするけど」
アンジェとミュラは、目の前の廃墟地域全体を見回して、小さく感想を言う。
「なんか寒さを感じるのです」
「恐らくだが、この大地から命を感じないからだろうな」
「サリス今日は真剣なのですね」
「ニナ、私をなんだと思ってるんだ?」
ニナとサリスも、この町の無機質さを異様に思ってる様子だね。普段よりも気持ちが下がってる感じがするよ。
でも、俺らがここへ来た目的は、廃墟巡りじゃない。
周辺を調べて、クランの有無を確認しないと。
「それじゃ、手分けして探しましょう。何かあれば、魔法を上空にあげるわ」
「皆様、お気をつけくださいね」
カーシャとキアラはそそくさと行っちゃった。まあ、クランがどこかにいるかもしれないんだし、仕方ないと言えばそうだよなぁ。
「私達も散策しましょう」
「そうだね。こっちも手分けして探そうか」
振り分けとして、俺とアンジェ、ニナとミュラとサリスって感じで分けて、各々廃墟街を散策し始める。
◇◆◇
1時間ほど経ったかな?
街の中を一通り散策したものの、特にクランがいた形跡はないね。
ただただ、破壊された住居と枯れ果てた木々があるだけで、収穫は特になかったよ。
みんな別れた地点に戻ってきて、それぞれ収穫を持ち合ったんだけど、やはり異常はないみたい。
さて、どーすっかなあ。
「ここまで来て、何もないなんて・・・」
「まあまあ、元々しらみつぶしに探索する作戦なんだし、仕方ないよ~」
キアラのイラつきに対して、なだめようとするミュラ。
他の皆んなは、「うーん」と考える様子を見せてるね。
これ以上ここにいても仕方ないよなー。
いないって事で、ここは戻って・・・あれ?
俺はふと気になる所があったんだよね。
それは、リーンカーラのすぐ裏にある、そこまで高くない山。
街を一望できそうな高台になってて、頂上にはここからでも見える程の、大きな枯れ木が一本だけ生えてる。
ダメ元で、あそこに行ってみるか?
「たくや、何処をみてるんだ?」
「ねえ、最後にあそこに登らない?」
「山なのですか?」
サリスとニナが俺の指差す方向を見て、それに続いて他のやつらも目線を同じ方角に移す。
「・・・待ってください」
「どうしたんですか?カーシャさん」
カーシャがあの枯れ木を見た途端に、何かを感じ取った様で、不思議そうな顔を覗かせるアンジェ。
「なんとなくですけど、あの大きな木の所、なにかいませんか・・・?」
「何かって・・・、!?」
カーシャの言葉を聞いた俺は、枯れ木の方に意識を向けて、『気配探知』をしたんだけど・・・
おいおい、なんで気づかなかったんだ?
本当に微かなんだけど、生物の気を感じねえか??
「あの山、何かいるよ」
「え、たくや君本当に?」
「まさか、いるの?」
俺の言葉に、ミュラとキアラが疑問符を投げかける。
「うー、ニナちょっと嫌な臭いしてきたのです」
ニナの嗅覚も、若干だけど感じ取ったみたい。
・・・、待って。気配が、あの山からこっちに向かってくるな。
結構速いスピードで、俺には劣るけどそれでも割りかし早く感じるね。
「皆んな、注意して。すげー速さでこっちくる」
「まさか・・・クランさんですか?」
「分からない。でも、魔物と人間が混ざった様な、変な気配がこっちに来る」
「臭いが強くなってきてるのです!」
全員が、俺の見ている方角に対して注意を向ける。
あと数分・・・いや、もう来る。
敵意剥き出しで、もうここに来る!
「注意してください!もしかしたらこれは!」
「私も感じる。あの時のと、同じ感じがする」
カーシャとキアラが、複雑な表情を浮かべながら構える。
「気を引き締めろ!私が戦闘に・・・」
「おい!前でんな!!!」
刹那、サリスの前に突如現れる黒い物体。
瞬きしたと同時に、それが出てきたとみんなは感じる程の、すげえ速さ。
俺ほどじゃないけど。
俺は、サリスを庇う様に剣を抜いて、その黒い閃光を防ぐ。
ガキンって大きな金属がぶつかる音立てて、一同はビビる。
あー、これはやばいね。
なんだこいつ、なんとなく気持ち悪りぃな。




