126話 魔法が使えない俺と剣の封印
その剣には、龍が封印されている。
名を『邪龍ヴォルゼアス』。
龍は昔、街を破壊し、人々を混乱の渦に陥れた。
その破壊力に人々は恐れ慄き、犠牲を多数払いながらも、邪龍を剣に封印することに成功する。
封印の間際、邪龍は大衆に言葉を残す。
ー 我は人間を許さぬ ー
ー 腐った下等生物滅ぶべし ー
ヴォルゼアス封印後、人々は次々に謎の死を迎える。
封印されても尚、怨念はまだ封じられていないとし、棺の中に入れ、魔封じの鎖で雁字搦めにした。
そして、棺はどこかへと隠された。
人々の元には現れない様に。
しかし、時代が過ぎた事で、その棺は発見されてしまった。
こんな過去があるものを野放しにしてはいけないと、国王からの通達があった。
故に、この剣を王都で監視し、隔離するとの判断に至った。
・・・
ざっくり聞くとこんな感じ?
要は、やべー龍が剣に封印されてるから、王都に持っていきましょーね〜ってことだね。
それに目をつけたのが、魔王幹部って事なんだなあ。
運が悪いっすね。
「じゃあ、クランはその邪龍に・・・」
「そもそも、その剣を見つけなければ、こんな事にならなかったじゃない!」
カーシャとキアラの悲痛な叫びに、一同黙ってしまう。
うーん、気まずい。このままだと話は進まなさそうだし、何か話したいんだけどなぁ。
「ここで怒ったって、仕方がないわよ?」
「・・・っ!!うるさい!何も知らない奴が口出さないで!!」
うわー、ミシアさぁ。なんで煽っちゃうの?キアラがキレてるじゃん・・・
もっとも、ミシアの言った事って一理あるんだけどね。言い方だよなぁ。
「まあまあ、とりあえずさ!騎士団の力を借りつつ、勇者を捜索ってことで大丈夫だよね!」
「考えるより動くのです!」
俺もミュラとニナの考えに同意だね。
ここで何言っても変わらないし、少しでも可能性を見出す方が先決でしょ。
事件は会議室じゃなくて、現場で起きてるってね。
「それで、騎士団長様はどうするのかしら?」
「まず、捜索隊を選抜します。探知が得意な騎士をかき集めて、精鋭騎士と組ませます」
「それは時間がかかりそうね」
「はい。少なくとも一日はかかるでしょう」
ミシアとフィラの会話を聞いたキアラは、バン!!と机を叩いて立ち上がり、扉へと進んでく。
人の話は聞いた方がいいと思うけど。
「もういい!そんなに待ってられない!!私もう行くから!!」
「キアラちゃん!そんな態度・・・」
「ごめんカーシャ。でも、じっとしてられないの」
カーシャの静止を振り切り、イラつきの態度をあらわにしながら、ドアの場に手をかけて、回す。
そして、思い切り扉を開けると
「あら、勇者パーティのキアラさんでしたね?」
「え・・・」
扉を開けた先に立っていたのは、こんなところに居てはいけない人物の姿があった。
え、なんでここにいるの!?
「おい!!国王の前で無礼だぞ!?!?」
「あ、サリスいたんだ」
「たくやぁぁぁあぁあ!!!!」
そう、何故かそこに居たのは、国王カバネ・・・と後ろにいるサリス。
ご老体だし、城に引きこもってるともんだと思ってたけど、この人外出するんだ。
フィラ含む部屋の全員が、国王の姿に驚いて背筋ピーンなってる。
そもそも何しに来たんだ?
「カーシャさん、キアラさん、この件は全て私の責任です。どうぞ、煮るなり焼くなり好きにしてもらえますか?」
国王が頭を下げる。
「やめてください!」とキアラは促すも、頭を上げる事はない。
こんなことされたら、普通に許しちゃうよなぁ。
「分かってます。自分の力不足だった事も、クランを止められなかった事も。誰のせいでもなく私のせいだって」
「それをいうなら、キアラちゃんのせいだけじゃありません!私だって・・・」
国王の謝罪に対し、胸の内を溢したキアラは泣き崩れてしまった。
そして、泣くキアラに近づいて背中をさするカーシャ。
いやー、なんともいたたまれないなぁ。
悪いのって結局、魔王幹部とその剣の所為なのにさ?
そんなに気負う必要ないよなー。俺絶対人のせいにする自信あるや。
「全く、国王に頭を下げさせるなんて、どういう・・・」
「サリス、空気を読むことを覚えなさい?」
「団長ぉぉおおぉ!!!」
相変わらず喧しいなこいつ。早く持ち場に戻ればいいのに。
「国王様・・・申し訳ございませんでした。任務の遂行に失敗してしまい・・・。どんな罰でもわたくしは・・・」
「かまいません。今回のケースは想定外の事です、失敗はつきものですから、そんなに気にしないでください」
フィラの贖罪を軽く許す器の大きい国王。
うわー、優しいー。
んー、フィラへの断罪とかじゃないとすれば、本格的にこの人は何しに来たんだ?
「久しぶり国王。今日はどうしたの?」
「あらたくや君、どうも〜。皆さんにお願いがありましてね」
「お願いって?」
なんだろう、態々国王がここまで来てのお願いって?
よっぽど重要な事なんだろうなー。
「それは・・・」




