125話 魔法が使えない俺とどこぞへ勇者
急に訪れたクランの仲間2人を、ギルドの休憩スペースに座らせて、一息をつかせる俺ら。
周りには俺ら以外にも、冒険者達が集まってる。
こんな事なかなかねえぞ?
受付嬢は2人にお茶を差し出し、一瞥した後にそれを飲む。そして、「ふぅ」と一息つき、若干の冷静さを取り戻したみたい。
「キアラとえーっと・・・」
「カーシャです」
「ごめん、カーシャね。それで、何があったの?」
俺から、ことの経緯を聞こうと思ったんだけど、カーシャとキアラは俯いてしまった。
カーシャは目を赤くしてて、キアラは奥歯を強く噛み締めてるみたい。
やっぱ、やばい事があったんだなぁ。
みんなが見守る中、カーシャはゆっくり顔を上げた。
そして話す。
「クランが消えました」
◇◆◇
簡単に説明するとこうだ。
港で魔王幹部と戦闘になったと。
戦闘は劣勢で、かなりやばかったそうだ。
その時に、貨物船から降ろされた荷物にクランが手を触れたのをきっかけに、事態は一変。
クランの姿が変わったと思いきや、圧倒的戦闘力を見せつけた。
幹部へのダメージはそこまでではないものの、追い返すことには成功。
しかし、変貌したクランは暴れ始めて、しまいには何処かに逃亡していったらしい。
んで、2人じゃ手の打ちようが無いって事で、王都のギルドに助けをまとめに来た。
こんな感じかな?
いやー、死ななくて良かったとは思うけど、これはこれで厄介な事になったよなぁ。
「その箱には何が入ってたのさ?」
「分かるわけないでしょ!何が起こったかも分からないのに!!」
「落ち着いてください、キアラ」
キアラの怒りを抑えつけるカーシャ。そんなに怒る事ないじゃん。
「とりあえず、最優先事項はクランさんの捜索ですね」
「無闇に探したところで、見つかるものでもないわ」
アンジェの提案に対して、ミシアが突っ込む。
確かに、どこにいるか分からない状態で探せって言うのも無茶な話だよな、
相手がずっと、何処かにいるわけでもないだろうし。
「これ、騎士団にも言った方がいいよね?」
「んー、そうだね。これ、ギルドだけで収まる話でもなさそうだし」
ミュラの言葉に対して、賛成の意を唱える俺達に、横から受付嬢が入ってくる。
「一応、上司に相談して、勇者捜索の依頼を出せるか確認しますね」
「よろしくね」
ってことで、俺らに加えてカーシャとキアラも騎士団に連れてく事にしたよ。
◇◆◇
「これは、まずい事になりましたね」
勇者パーティ含む俺らは今、フィラの執務室にお邪魔してるんだけど、事の経緯を伝えたフィラは結構冷や汗をかいてる様に見えるね。
「そんなにやべーモンなの?」
「はい、やはりわたくしが直接行けばこんな事には・・・」
フィラは苦虫を噛み潰した様な顔しながら考えてる。話がよく飲み込めねえなぁ。
「あなた何か知ってるの!?なんでこんな!!」
「キアラちゃん!やめてください!」
フィラの様子を見て、体を乗り出して怒るキアラとなだめるカーシャ。
まあ、気持ちはわからんでもないけどさぁ。
「申し訳ございません。これは采配ミスです。まさか魔王幹部が出てくるなんて思いませんでした」
深々と頭を下げて、カーシャとキアラに謝罪するフィラ。
上に立つやつって大変なんだなぁ
「フィラさん、どう言う事か説明してもらえますか?」
「そうだよ、イマイチ意味が分からないよ」
アンジェとミュラの声にフィラは顔を上げて、一部始終を話始めた。
話聞いてる限り、まあしょーがないかなぁって感じではあるんだけど。
まあ、被害が出ちゃったから、なんとかしないとね。




