117話 魔法が使えない俺と俗物悪魔
倒れてるベルフェクトに切っ先を向けて、俺は一言。
「立てよ。お前を立ち上がれなくなるくらい、ボコボコにしないといけないんだからさ?」
「できると思っているのか?女の身体だぞ?」
はー!!だっさ!!!
勝てないと思ったら、カテジナヤの身体を人質にしてらあ!滑稽すぎんだろ!
とりあえず脅し目的で、カテジナヤの腕に傷をつける。
「な、何をしているんだ!助ける対象の身体だぞ!」
「不利になったら人質作戦か?しょうもないなお前」
「なに?」
「そもそも、お前の力って全部自分の力じゃないだろ?魔力も何もかも全部カテジナヤが手に入れた力で、お前自身が強いわけじゃないんだよ。なのにさあ、調子乗ってボコられて、挙句の果てにはそんな、しょうもない事言ってさあ」
顔を近づけて、俺はニヤッと笑う。
「悪魔って大したことねえんだな」
お、すげえ歪んだ顔して立ち上がったぞ?よっぽど頭に来たんだなあ。
また、どっから出したか分からない大鎌を持って、ブンブン俺に振り回してくるね。
魔力が乗ってるみたいだけど、当たるわけねえじゃん。
「黙れ!!女を消しかけたのは我だ!脆弱な魂に入り込んで、人間を殺したのは我だ!!我自身の力だ!!!我は魔神になるのだ!人間如きが!愚弄しおって!!!」
「じゃあ、悪魔って人間以下なんだなっと!そら!」
雑に振り回す大鎌に向かって思いっきり剣をぶつけると、大釜が手からすっぽ抜けて飛んでったね。だせぇ・・・
というか、なに?魂に入り込んだ?自分で殺した?何言ってんだコイツ?
「こ、この!『ブラック・・・』」
「させるかよ」
手に集まった魔力が凝縮された玉を破壊。
そんでもって、ベルフェクトの後ろから出てくる大きい触手と蝶の群れを『水鳥流月』の乱舞で木っ端みじん。
「あー!飽きた!!精霊さん、まだー!!」
「な、舐めるな人間!!!まだ、まだおわ・・・」
「効かないって」
さっきも見た、空中から出現する大きい黒剣2本が、俺に向かって振り下ろされるも、それを一振りで破壊する。
当たり前だよなあ?だって全部魔法なんだから。
「皆さま!準備が整いました!!」
精霊様の用意が終わったみたいだね!
後ろで骸骨たちと戦ってるアンジェ達も、精霊の方を振り向いて首を縦に振る。
「精霊さん!お願いします!」
「ラストスパートなのですよ!」
「油断は禁物だよ!!」
アンジェ達は、自分らを奮い立たせるように大声を出してるね。
ん、悪魔が焦ってるね。
「さ、させるか!!ここまで来て、水の泡にさせるには・・・」
「行かせねえよ!」
最後の悪あがきか、今までの少女の身体から繰り出された魔法の数々を展開して、精霊の魔法を止めに入ろうとしてる。
まあ、発動前にみねうちで邪魔するんだけどね。
「がぁ!!やめ、やめろ!!!我は!魔神に!!!!」
「しょぼい野望も終わりだよ。小物くん」
精霊の魔法陣が眩い光を放って、辺り一面を白一色になるかって思うくらい、光る。
その光に当てられて、骸骨共は次々に消滅して、ベルフェクトもまた苦しみ始めて、のたうちまわってるね。
「あ!があ!!魂が!ぶ、分裂する!!!」
カテジナヤの身体から、黒いヒトダマみたいなのが出てきて、少女の身体はそのまま地面に倒れ込む。
発光が終わって残ったのは、黒いヒトダマだけ。こいつが本体か?
「「おのれ!我を再びこの姿にするとは、何たる所業!」」
「へー、本体って大したことねえんだな」
「なんか可愛いですね」
「肩透かしなのです」
「こんなのに苦戦するなんて、わーなんか嫌だなー!」
アンジェ、ニナ、ミュラそれぞれ勝手なこと言ってんなぁ。俺も人の事言えないけど。
「「くそ、こうなればまた新しい体を・・・」」
「させると思うか?お前はここで死ぬんだ」
俺が剣をベルフェクトに向けた時、黒いヒトダマは逃げるように出口へと向かってく。
「「いやだ!この姿は嫌だ!!まだ、まだ終わってない!!」」
哀れだなあ。
こんな奴のせいで、10人死んだっていうのかい。死んだ奴らに同情するね。
さ、殺すか。
「「やめろ!!近づくな!死にたくない!死にたくない!!」」
「悪魔の癖に、人間みてえだなお前。・・・この世界から退場しろ」
斬。
ヒトダマが真っ二つになって、徐々に散り散りになってくね。
「「あ・・・ああ・・・我は・・・魔王を・・・」」
フム、なんか捨て台詞を吐いてったみたいだけど、聞こえなかったわ。
ま、どーでもいいんだけどね。
とりあえず、これで事は済んだかな。
でも、カテジナヤはどうしようか?




