112話 魔法が使えない俺と闇の魔導士
目の前にいる黒い少女は、カテジナヤって名前らしい。偉大な闇の魔導士なんだって。
こんなガキが偉大ってマジ?
「ねえ、アンジェ知ってる?」
「ちょっとわかりませんね。40年前ですよね?」
「ババアじゃん」
「あ!?ババアって言ったか!?」
おっと失言だったか。
いやでも、さっきまで散々煽られたんだから、これくらいいいだろ。
「でも、私は今気分がいいから許してあげる。あと、身体を取り戻してくれたお礼をしないとね?」
「お礼なのですか?」
「そうだよ?すっごい良い事してあげる」
ニナ喜んでるけどさ、こんな奴から貰えるものなんて、どうせ碌でもないもんだと思うよ?
「因みに、何をくれるの?」
「うん、苦しまずに殺してあげる」
「あーあはは、いらないかなー」
ほらね、碌でもないでしょ?だと思ったんだよね。
それにしても、すっごい黒い魔力だなあ。確かに、闇の魔導士って言葉は本当のようだね。どんどん魔力が膨れ上がってるよ。
「そういうことだから、殺すね?殺した後にやりたいことあるし」
「ふーん、余裕そうじゃん?」
カテジナヤの周りに纏う黒い魔力がより黒く、膨大になってくね。結構圧があるんだけど、そこまでやべえって感じもしないんだよなあ。
おろ、緑髪の女性がすげえ強い力で掴んできたな。
「逃げるのです!!あなた達では勝てません!私が何とかします!」
「いやいや、誰かは分からないけど、下がってていいよ。俺らがやっちまうからさ」
「余裕過ぎじゃない?んじゃ、そこの女まとめてやっちゃうからさぁ!『シャドウ・スパイク』」
なんかやたら気分良さそうにしてたと思ったら、いきなりカテジナヤから漂う黒い魔力かから、4本の黒くてでかい触手みたいなものが、一斉に俺達に襲ってきたぞ?
とりま、2本ぐらいは斬っとくか!『剣舞・月下嶺断』
黒い触手2本は真っ二つになって、もう2つはアンジェ達に向かう。
「『トール・ブレスター!』ニナさん、ミュラさん!前へ!」
「了解なのですー!ニナパーンチ!」
「おっけー!『クロス・スラッシュ』」
アンジェの魔法によって、触手を破壊してる間に、ニナの拳とミュラの十字切りが、カテジナヤに接近して叩きこもうとしてるね。
でも、当たる寸前で黒い盾が三重に重なって、彼女を守ったことで攻撃は通らない。
「か、硬いのですー!!」
「うっそお!早すぎじゃない!?」
そして、カテジナヤの周りから黒剣が10本ほど召喚され、切っ先を2人に向けて、一斉に射出。
「やべ!」
俺はニナとミュラに急いで近づいて、服の襟首をつかんで後ろに下がる。飛んでくる黒剣はそのまま2人がいたであろう場所に降り注いで、地面に突き刺さった瞬間に消滅したな。
あぶなかったー。
「ご、ごしゅじ、ざま、ぐるじぃ、のでず・・・」
「だくやぐん、たっぷ・・・」
「ああ、ごめんごめん」
襟首を離して解放させたら、すげえ深い息してるよ。
首締まってたね、ごめんねい。
「『フレアトルネード!』」
「はは!効かないよ!!『マター・グラディウス』」
アンジェから召喚される炎の竜巻と、カテジナヤの背後から出てくる、バカでかい黒い大剣がぶつかり合って、魔力汚染が始まってる。
「おーい、がら空きだぞー!」
「あ?」
魔法のぶつかり合いのさなか、カテジナヤに接近して剣を振るう俺。でもやっぱり黒い盾が飛び出してきたね。
「無駄だよ~たくや!」
「無駄なのはお前の魔力じゃない?」
ほい、斬!!盾破壊だね。さ、獲った!
って思ったら、カテジナヤは空中に逃げて、牽制の意で大量の黒剣を召喚して、激流みたいな勢いで俺に飛ばしてくる。
その間にアンジェとカテジナヤの魔法は相殺されて爆散。
とりあえず距離を取って、黒剣の奔流を回避。魔法って便利だなあ。
「なかなかやるじゃん。殺せると思たんだけど?」
「じゃあ見通しが甘かったんじゃない?40歳だから仕方ないか」
カテジナヤを煽ったら・・・怒ってる?身体がプルプル震えてんじゃん。
「そんなに死にたいならすぐ殺してやる」
あー、顔が真っ赤だね。煽られて怒ったら、戦闘は負けなのよ。
さて、次は何してくるんだ?
「『ブラックホール』」




