108話 魔法が使えない俺とグレイブヘッド
骸骨騎士を倒しながら、グレイブヘッドを登る俺達。
馬鹿みたいにわらわら出てくる、脆い骸骨たちに加えて、俺達に助けを求めてるはずのカヤの余裕そうな感じにヘイトを溜めながら、ひたすら上に進んでいってるよ。
あー、これだったら来るんじゃなかったなあ。
「ほら~、こんなんじゃ日が暮れるよ~」
「っとに、身体見つけ次第覚えてろよ!『水鳥流牙』」
手数の多い斬撃で、骨の塊をどんどんバラバラにしていくんだけど、土からどんどん出てくるよほんと。
ここって何なんだ?カヤの身体と何か関係あるのか?
「おー!ニナスクリュー!!ぐるぐるーなのですー!」
「ニナ、やるねえ!私も『ドレング・ドラッヘ!』」
おー!ニナとミュラが身体を回転させながら、骸骨の群れに突っ込んでってるぞ?元気だなあ。
二人が回転して突っ込むもんだから、骨が派手に吹っ飛んでバラバラになってくね。
あれ、目が回りそうだけど・・・大丈夫か?
「おえー!目が回ったのですー!」
「あー!地面が回ってるよぉ!」
言わんこっちゃないなぁ。相手が雑魚だらけだからって調子こいちゃって・・・
うわ!ふらついてる二人に骸骨が群がってるじゃねえか!
「ニナさん!ミュラさん!『トール・ブレスター!』」
アンジェが発動させたでっかい雷の槍が、2人に群がる骨の群れに直撃して、骨が崩れるどころか塵になってくよ。火力たけ。
「大丈夫ですか!?」
「だいじょーぶなのですー!おえ・・・」
「ありがとー・・・うっぷ」
だめだ、あの二人もう使いものにならねえ。俺とアンジェでなんとかするしかねえな。
カヤがぷかぷか浮きながら、俺の方に近づいてくるんだけど。
「ねえ、あの二人大丈夫なの?」
「いつも通りだから大丈夫なんだじゃない?っと!」
「それって大丈夫って言わないよ」
ゆうても、山を登っていく毎に、心なしか骸骨の量が減少してってる気がする。もうちょっとで目的地にまで着くんじゃない?
「あとちょっとだから頑張って!」
「本当ですか!スパートかけましょう!」
「やっとかー!長かったなあ!!『鳥襲刹牙』」
『縮地』と『空蹴術』のトップスピードで、光速の斬撃を繰り出しながら、上へ上へとスパートかけてく。
◇◆◇
気が付けばもう夕方。
虫の音は無くなって、ちょっと肌寒い。そして薄暗くなってきたね。
夕方特有の赤い空が、ちょっとした恐怖心を俺達に植え付けてるみたい?
「か、カヤさん?本当にここなんですか?」
「そうだよー、ここだよー」
「え・・・でも・・・」
俺達はカヤが言っていた目的地まで着いたんだけど、ちょっと様子がおかしいね。
「なにもないのですよ?石ばっかりなのです」
「え・・・私怖いんだけど・・・」
薄暗さが誇張されてるからなんだろうなあ。怖がるのも無理はないかも?
だってここ『墓地』だから。
森から抜けたと思いきや出てくる広大な土地に、ずらっと何段も並ぶお墓。
しかも、手入れは全然されてないっぽくて、苔が生えてたり崩れてたり、罰当たりの具現化みたいなところだね。
「お、お化けとかでないよね・・・?」
「ミュラ、私幽霊なんだけど?」
「そうだった!!怖いよー!!」
「えー・・・」
カヤの存在に今更怖がるミュラ。墓地の光景と薄暗さで恐怖心に拍車がかかってるんだね。
「ねえ、俺達は何処に行けばいいの?」
「こっち!ついてきて」
すーって浮きながら進む背中を追って、俺達は後に続いてく。
しっかし、マジで誰も来てないんだなあ。人が来た形跡が全くないじゃんね。
まあ、あの骸骨の群れを見たら、来たくても来れないよな。
広い墓地を歩いてると、最奥まで着いたのかな?一つだけぽつんと、妙にでかい墓まで来たね。
俺の身長の三倍くらいかな?文字が書いてたっぽいけど、削れて読めないなあ。
でも、この墓がなんなんだ?
「えっと、大きいお墓ですね」
「この石の塊がなんなのですか?」
「こ、怖いよー」
カヤを見たら、じーっとそのお墓を見続けてる。思い出深い物でもあるのかね?
「このお墓、壊して」
「はい?」
何言ってんだ?そんな罰当たりな事できないでしょ!
「お墓壊すって、どういうことですか?」
「そうだよ!お化けが、ばーーーって出てきたりしたら・・・!」
「そんなことないよ。だって」
「これ、お墓じゃないから」




