107話 魔法が使えない俺と幽霊カヤ
えっと?黒髪ロングで白い服の女の子が急に出てきて、話を聞いてほしいだって?
「話って何さ?金なら貸さないぞ?」
「違うの!!助けて欲しいの!!!」
「助けるったって、どういうことさ?」
「とりあえずその剣しまって!私幽霊なのに、その剣で斬られたら死ぬって直感で分かるの!!」
・・・ん?こいつ幽霊って言ったか?
死んでるのに死ぬって、何を言ってるんだこの女は。
ということは、あのおっさんの話は本当だったってことか。
でもさー本当に幽霊なの?
とりあえず剣をしまって、お体に触りますか。
「・・・なに?感触無いけど、すっごく不快なんだけど」
「いやいや、幽霊っていうから触れるのかなーって。どうやら本当みたいだね、触れないし」
「幽霊って言ってるじゃん。信じてくれた?じゃあ話を・・・」
「まあまあ、立ち話もなんだし、部屋で話そうよ」
ということで、幽霊を俺の部屋に連れてくことにしたよ?
◇◆◇
「って事で、お化け連れてきたよ」
アンジェ達に、この自称幽霊を紹介する俺。
なんか固まってない?あ、ニナが近づいてきた。
「これが幽霊さんなのですか?ほっ!・・・ほわ!通り抜けたのです!」
「でしょ?」
ニナが飛びつこうとしたら、そのまま通り過ぎて驚いてるわ。
「そりゃ、幽霊だからね!厳密には違うんだけど」
この幽霊少女、胸を張ってドヤってる。というか、違うとは?
「私のこと助けて欲しいの」
彼女は話し始めたんだけど、要約するとこう。
名前は「カヤ」で、元々ここに住んでた貴族だと。
んで、昔に王都からちょっと離れたところにある『グレイブヘッド』っていう山にある、特別な治癒草を探しに行ったんだって。
そして、その治癒草を見つけたんだけど、身体を乗っ取られて、今は魂だけ浮遊してるんだってさ。
不思議な話だなぁ。
しかも、幽霊になって40年以上経ってるらしいよ?ババアじゃん。
一応、町の冒険者とかに話しかけたりとかしたらしいけど、みんな見えないと。
でも、この屋敷だとみんな自分を認識してくれるから、話しかけてたんだけど、逆に怖がられて逃げられてたんだって。
悲しいね。
「カヤの身体って何に乗っ取られたの?しかも、40年以上経ってるって、身体大丈夫か?」
「よく分からない悪いやつ。身体もどうなってるか分からないよ」
それって絶望的じゃない?
だって、もしかしたらその場所にいないかもしれないしさ?
「このままじゃ、カヤさんが可哀想ですよ。そのグレイブヘッドに行きませんか?」
「ニナは賛成なのですー!」
「怖いけど、私も行くよ!」
アンジェ、ニナ、ミュラの3人は行く姿勢を見せてるね。でも、ミシアは微妙そう?
「わたくしちょっと、ギルドの仕事が立て込んでて・・・。あ!あなた様にお金が入るように、これを依頼として処理するようにしますので!!」
この人、仕事熱心だと思いきや、ギルドに対して無理難題をふっかけてるけど、これもう分かんねえな。
まあ、ミシアがいけないってことだから、俺含めた4人で明日グレイブヘッドに行くか。
「じゃあ、明日その場所に行くか。カヤに道案内を・・・って思ったけど、外に出たら見えないんじゃない?」
「あ、多分大丈夫だと思う!私の事認識した時点で、ずっと見えると思うよ!」
・・・なるほど、随分と都合のいい身体だな。
◇◆◇
「おいおい!どんだけいんだよっと!!!」
「どんどん出てきますね!『ブリザード・ランサー!』」
「ほわ!!地面からも出てくるのですぅ!」
「ねー!いつになったら終わるのー!!」
俺達は今、カヤの誘導でグレイブヘッドって山の麓辺りにいるんだけど、森に入ったらさぁ!
骸骨騎士?みたいなのめっちゃ出てくるんだけど!!
一体一体は弱いんだけど、わらわら出てくるもんだから、超ストレスなんだけど!!
「ほらー!頑張れ頑張れー!」
「おい!カヤも手伝えって!こんの!」
「私幽霊だから触れませーん!」
「トイレの扉開けてたろうが!」
俺達が、骸骨の群れをなぎ倒してる間、カヤは両手を頭の後ろにやりながら、ぷかぷか浮いてやがる。
その余裕そうな態度がまたフラストレーション溜まるよなぁ。
もーめんどくさい!『斬衝天烈閃!』
無数の衝撃波によって、骸骨どもの骨組みを次々とバラバラにしてって、地面が骨だらけになってく。
運がいいことに、バラバラの骨が元の人型の形に戻ることはないから、そこだけは救いかなあ。
再生してたら叫んでるっての!
「カヤさん!目的地は何処ですか?『ストーン・レイン!』」
「うーん、まだまだ上かなあ?」
マジか・・・こんなのがずっと続くのか?
てか、こんな骸骨だらけの山に一人で登ったの?すごない?
「うー!先は長いのですぅ!」
「いやぁ!骸骨怖いのにぃ!『ブレイズ・ブレス!』ごあー!』
「がんばれ♪がんばれ♪」の心無いエールをカヤから貰いながら、ひたすら骸骨騎士を倒しながら、上へと昇ってく俺達なのね。




