104話 魔法が使えない俺とおーかえりな、さーい!
「って事かな?」
「ありがとうございました。たくや様には感謝してもしきれませんね」
「いいよ、成り行きだし」
「何か御礼をしないとダメですね」
今俺たちがいるのは、王都騎士団本部のフィラの執務室。
騎士団長のフィラに、キルスティン関連の一部始終を伝えたところだね。
「お礼というよりさ、ちょっとお願いがあるんだけど・・・」
「はい?なんでしょう?」
「王都に空き家とか、ない?」
そう、キルスティンから戻る時に喋ってた、家が欲しいなって軽く考えてたことだ。
アンジェとミシアが思った以上に食いついてきたもんだから、本格的に探そうってなって、ワンチャン顔が広そうなフィラにダメ元で聞いてみようかなって、そんな感じ?
ちょっとフィラが困ってる様子だから、聞く相手間違えたかな?
「んー、申し訳ないんですが、わたくしは力になれそうになれませんね。でも、そういうの詳しい人物の紹介ならできますよ?」
「ほ、本当ですか!?」
「あら!詳しい人がいるものなのね!」
アンジェとミシアが乗り出してきたな。物件探しに興味でもあるのかな?
「はい、明日の朝ギルドの前に来てもらうように言っておきますね」
「おーサンキュー!助かるよ。あ、そういえばサリスは元気?」
って聞いた時、バン!と扉が開け放たれたね。
「団長!ゴホゴホッ!!この書類の意味が分からないのですが!!!」
あ、サリスだ。
マスクして咳してる感じ、まだ風邪が長引いてるみたいだね。
「サリス、調子どうだ?」
「うお!たくや!!そして、みんなじゃないか!!ゴホッ!私は大丈ゴホゴホッ!夫だ!」
うわー、全然大丈夫そうじゃねえ・・・
「サリスはまだ風邪治らないのですね」
「ニナ!私はもうこの通り元気ゴホゴホ!だ!」
「サリスさん、あまり無理しない方が・・・」
ほんとだよ、完治するまで寝ていればいいのに。
「ねえミシア、サリスの風邪って魔法で治らないの?」
「あなた様、申し訳ございません。病気等については専門外で・・・」
そうなんだ、回復魔法にも分野とかってあるんだね。ちゃんと勉強しないと魔法ってなんでも行く訳じゃないんだ。
「サリス、まだ安静にしていなさいと言ったでしょう?」
「団長!暇すぎて死にそうでゴホゴホ!す!」
「ねえ、サリスは薬とか飲まないの?」
「あんなゴホ!苦いの飲めるか!!」
なんだ、自業自得じゃん。心配するのが馬鹿らしくなってきた。
まあ、薬とかあったら無理やり飲ませとくか。
◇◆◇
ってわけで朝。
王都にある宿屋で泊まって、これから待ち合わせのギルド前に行くところ。
ミシアはなんか、ギルドの仕事があるみたいだから、俺らが出る前に出て言っちまった。
好き勝手やってるイメージあったけど、実はちゃんとしてるのかな?
なので、俺とアンジェとニナの3人でギルド前で待ってるんだけど、中々それらしい人物が来ないなあ。
ん、なんかこっちに走ってくる奴がいるぞ?
あ、あれって・・・
「たーーーーくーーーやーーーーくーーーん!!!ただいまあああああ!!!!」
うお!ミュラが帰ってきた!?そんなに日付たってなくないか!?うご!!!タックルすんな!!
「ミュラさん!帰ったんですね!!」
「おかえりなのです!」
「みんなただいま!うわーん辛かったよーーー!!!」
「く、苦しい・・・帰ってくるの思ったより早かったね」
俺に抱きつきながら号泣するミュラ。そんなに辛かったの?大した事してないっぽいのに・・・
「終わった瞬間に猛ダッシュしてきたんだよー!儀式って暇すぎて死んじゃうんだよー!!」
「そ、そうなんだ・・・」
「そういえば、みんなここで何してるの?」
ああ、ミュラにちゃんと説明しないとダメだよな。これから物件探しするって話なのに。
もしかしたら、ミュラも住むっていうかも。
「実は・・・」って言おうとした時、耳元からこっちに向けて足音が聞こえてきたね。
「君たちが空き家を探してるって人たちかな?・・・というか、公の場で何してるんだ?君たちは」
「あーええと・・・」
気まずい空気を感じながら、フィラが紹介してくれた人と合流する俺らだったとさ。




