103話 魔法が使えない俺と王都帰宅とこれから
俺の部屋に誰か入ってきたけど、多分あいつだよな?
「寝てる?」
「寝てるように見えるか?リーナ」
そう、部屋に入ってきたのはリーナだね。
いっつも思うけどさ、何か事が起きた後って、大体人が入ってくる気がするんだよね。
「どうしたの?」
「うん、お礼を言いに」
「そんな、別にいいよ。大したことしてないし」
態々お礼を言いに来るなんてね、しかも夜にさ?
しかも、地下に捕らわれてた人たちが目を覚まして、お手伝いさんとか護衛とか、いろんな人が今この塔にいて、巡回とかもしてると思うんだけど、よく見つからずにここまでこれたよね。
見つかったら部屋まで連れ戻されそうだけど?
「たくやと皆んなのお陰。・・・こういう時、どうすればいいか分からない」
「うーん、笑えばいいと思うよ?」
「難しい」
俺の案が玉砕されちゃった。まあ、リーナは感情表現が苦手っぽいからしょうがないね。
うーん、沈黙が辛い。アンジェ達の寝息だけ部屋にこだまして、より一層重たい感じがするよ。
「でもさ、リーナはこれからが大変じゃん?」
「平気。大丈夫、たくやのお陰」
「俺?」
リーナがこっちに寄って来て、俺の鼻と彼女の鼻がくっつくくらいにまで、顔を近づけてきた。
そして、唇が重なって・・・なんで??
みんながいるのに、よくこんな大胆なことできんな!?
唇柔らかいし、熱いし、気分が高まってくるし、頭がぼーっとしてくるし!やばい!
ん、雨・・・ではないな。
顔に当たった雫と震える唇から察するに、恐らくは。
街に平和が訪れたとはいえ、プレッシャーも計り知れないし、まだ若いってなったらすげーきついよなぁ。
しゃーないよな。
そんなことは置いといてだよ、こんなとこ他の人、しかも護衛とかに見られたら・・・
「ちょ、何やってるんですか!?」
アンジェが起きちゃったよ。
でかい声で言うもんだから、ニナもミシアも目を覚まして、絶叫してるし・・・
「わー、ご主人様食べられてるのです?」
「あ、あなた様!!この女!何をして!!」
リーナが目を拭って離れると、笑顔を見せて俺らに一言。
「ともだち」
なわけないでしょ!友達の意味を未だ履き違えてるわ!
「た、たくやさん!私は友達以上ですよね!?キス以上のことを・・・」
「あなた様!!さぁ!この女に見せてやるのです!!愛の形を!!!」
ちょ、何やって!おい!!やめろ!!
服脱がすな!服を脱ぐな!!!
リーナ、ニナ助け・・・
「リーナさん、ニナもお友達なのです!」
「うん、ともだち。いっしょ」
あっちはあっちで楽しそうにして、俺はひん剥かれて、助けてくれる人は居ないようだね。
あ、まずい!とびらが!最期の扉が!!!
「やめろぉぉおぉぉお!!!!」
◇◆◇
キルスティンを出て、王都に戻る俺ら。
リーナと何人かの護衛とお手伝いさん、あと街の人達に見送られたんだけど、リーナと別れるって言うのは少し寂しい気もするね。
リーナが頑張って笑顔を作ってる様子を見て、心配3割安心7割かな?
よく分からない自信だけど、リーナだったら街をいい方向に導いてくれる気がするよ。
そんな、黄昏てる俺の肩にジャンプしてくるニナ。
「ご主人様!肩車なのです!!」
「んお!・・・はいはい、ちょっとだけだよ」
ニナはそんな重くないから、体力がなくなる心配は無いね。
それに、こうしてるとさっきの寂しさが多少紛れるから、ありがたいよね。
「あ、次私もして欲しいです!!」
「あなた様、わたくしはお姫様抱っこで・・・」
「えー・・・、体力に余裕があったらね」
さて、王都に戻ったらどうしようか?
フィラに今回の説明とか、後はなんだろう。
でも一番は、ちょっとゆっくりしたいよなぁ。働き詰めで、ずっと休む暇なく動いてたからさ。
ん、そういえば金結構溜まってるよな?いっそ空き家とかあったら買う?
「ねえ、空き家があったら買おうと思うんだけど、どう思う?」
「お家なのですか?」
「え!マイホームって事ですよね!?ほわぁ、ついに私家に嫁ぐんですね・・・」
「あなた様!これからの事を加味して、思い立ってくれたのですね!?」
ん?意味がわからんぞ?なんでそうなんだ?
「え、シェアハウスって事になると思うんけ・・・」
「私!お父さんに伝えないと!!」
「あなた様?婚姻届を出しに行きましょう!」
違う違う!そうじゃ、そうじゃない!
「ご主人様、大変なのですね」
「ニナ、成長したね」
察してくれる肩車ケモ耳女子に撫で撫でされながら、勘違い女性2人に板挟みにされら俺は、王都に帰って空き家探しに行くのさ。




