102話 魔法が使えない俺と器の大きいリーナ
幹部共が街から去ったね。一応これで大丈夫だとは思うけど、ふーむ。クラン的には腑に落ちないよねぇ。
まあ、過ぎたことはしょうがないし、次いこ次!
クランは暫くしてから元気を取り戻した様子で、あった時みたいな態度で俺らと会話して分かれた。
まあ、空元気だよなー、大丈夫だといいけどね。
というわけで、俺らは、リーナのところまで戻ったところなんだけど。
えっと、一人増えてない?ボロボロの女がそこにいるね。
ボラみたいな研究服着てるから、恐らくだけど、地下で魔力増強石を作ってたやつなんだじゃないかな?アンジェ達がボコボコにしたってやつね。
んで、その研究服の女が元騎士団長のところで泣いてる?のかな?状況が分からないねえ。
とりあえず、部屋にいたリーナの安否を確認だ。
「リーナ、怪我はない?」
「大丈夫。みんな、ありがとう」
どうやら、あの女にされたとか、そういうわけじゃないみたいだから良かったね。
ん、アンジェが俺の肩を叩いたな。なんだろ。
「たくやさん、あの人地下にいた元副団長です」
「ボコボコにした奴なのですよ」
「あなた様、わたくしすごい頑張ったので褒めてください!」
ミシアの主張が激しいな、とりあえず褒めとくか。
とは言ったものの、エジールももう長くないんじゃないかな?結構ダメージ受けたっしょ?
「もう、泣くな。ノイ、俺が間違って、たんだ」
「私は、あなたと居れれば良かったのに・・・」
元副団長はノイっていうらしいね。
なーんか、倒れてるエジールを抱きかかえて泣きながら喋ってるんだけど、どうも空気が湿っぽくて嫌だなあ。俺苦手なんだよね、こういうの。
「私がちゃんと止めればよかったのに・・・」
「いや、お前のせいじゃ、ない。正義に憑りつかれた俺が」
あ、エジールと目が合っちゃった。
すげー気まずい。どうしよう。
しかも笑いかけてくるし!いやいや、感動的な感じになってるけどさ?こいつそもそも、リーナの父親殺してるやばい奴なんだよなぁ。
「リーナ・・・ノイは悪くない。俺が巻き込んだ。だから、彼女は見逃してやって、くれ」
「そんな!団長、死ぬなら私も!」
「我儘なのは分かっている。だが、彼女は・・・」
んー、察するに、こいつらデキてるな?要は、暴走した団長を止めることが出来なかった副団長の図って感じ?愛してるがゆえに言えない、的な?
ドラマチックだね。俺はなんとも思わないんだけど・・・ああ、アンジェ達泣いてるよ。感情移入すごすぎない?
しかし、リーナはどうするのかな?仮にも親の仇の仲間なわけだし、許すとはとても思えな・・・
「分かった。見逃す。一生ここで罪を償ってもらう」
優しいねリーナは。
俺だったら死刑にしてるよ。これが王の器ってやつなのかもね。
◇◆◇
リーナが首席になったことを、街の人たち全員に知らせたことで、事件は収束したね。
なんか、魔道具?に話しかけたら、街中に声が届くらしいよ?すごいよね。
でもって、低魔力狩りをしてた騎士たちが塔に戻ってきて、めでたしめでたし。
リーナが首席になったことは、全員の総意っていうのかな?まあ認められたみたいだから、胸を撫でおろしたね。
元騎士団長エジールは死んで、ノイはこの塔で働くことになったみたい。リーナに恨みは特にないらしいよ?ゆうて、殺したのは俺だしね。
まーここからリーナ忙しいよね、街を立て直さないといけないし、色々仕事は山積みだよな。俺らも手伝おうかって聞いたんだけど「問題ない」だってさ。
彼女は思った以上に、すごい人なのかもしれないね。
そんなわけで、俺らは今日はここに泊まることになって、明日の朝王都に戻ることにした。流石に疲れたからね。
今俺は部屋の一室のベッドの上で寝るところ。
右にアンジェ、左にミシア、上にって感じでくっつかれてて、俺以外もう夢の中だよ。
悪い気はしないんだけど、あんま寝れないんだよねえ。
お、ノックの音だ。誰だろう?・・・まあ、経験則的にあの人だろうな。
部屋のドアが開いた。




