9話 魔法が使えない俺と初任務
倒れた雷帝剣に、剣を振り下ろす。
「こ、ご主人様!!」
「たくやさん!!」
「ぐぬぬ・・・!」
剣が突き刺さる、と言ってもこのA級冒険者の顔の横に、だけどね。
「・・・何故、殺さないんだ?」
「ダウンさせたら勝ちなんだろ?お前を殺したところでメリットなんてないし、ここまでにしとくよ」
「は、はは・・・技術だけでなく精神的にも負けるなんてな。俺の負けだ、お前の好きにしてくれ」
「た、たくやさん!おめでとうございます!!かっこいいです!!」
「ご主人様の勝ちなのです!!」
「まあまあ、丸く収まってよかったよ」
雷帝剣も素直に負けを認めてくれたし、これで周りも少しは俺に対して、魔法が使えないゴミの印象を改めてくれるでしょ。
あーあ、意味わからない戦いだったなー、もう少し普通の慣性の人がいてくれればいいのにね。
あと、お前の好きにしてくれって言ってたけど、別に何して欲しい訳でもないし、これでまたギルドに戻って・・・どうする?
「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど」
「・・・なんだ?」
「勝った代わりにちょっとお願いがあるんだけど?」
「たくやさん、なんでしょう・・・?」
「ニナにはサッパリなのです」
◇◆◇
「はわわ!ニナにこんな!う、嬉しいのです!!」
「ニナさんはどれが似合いますかね〜」
「俺にはこういうの分からないから、アンジェが選んでよ」
「は、はい!任されました!!」
はい、ということでニナの服を買ってあげましょう。
流石に布1枚は可哀想だからさ、さっきのA級くんから良さげな服屋さん紹介して貰ったとこ。
しかも、雷帝剣の顔馴染みの服屋さんだから、なんか割りかし安くしてくれるらしいよ?いやー、人徳だねぇ。
「ニナちゃんにはこれなんか良いんじゃないですか?」
「え!ニナの服これなのですか!?こ、こんなの似合わないのです!」
「いや!良いんじゃない?すごい可愛いじゃん!」
「ニナちゃん可愛いですよ!すごく似合ってます!」
アンジェが選んだのは、ヒラヒラしてて、エプロンっぽいのがついた、なんかすげー可愛い服だ。
こういう服ってなんていうんだろうね?
「じゃあこれにしましょう!」
「うう・・・!嬉しいのです!ご主人様、アンジェさんさん、ありがとうございますなのです・・・!」
「すいませーん店員さーん!!」
アンジェとニナは店員のとこ行ってサイズの調整とか話してるし、俺は適当に服なんか見てるかなぁ、あんま興味ないけど。
「最近物騒よねぇ」
「ほんとよねぇ、奴隷商人が最近増えてるんでしょう?」
「そうそう、最近街を襲ってるって集団がいるみたいだし、怖いわ〜」
「王都にも商人が入ってきてるみたいだし、王都騎士は何してるのかしら」
ん?なにやら奥様方がお話ししてるけど、奴隷商人集団?これニナと関係ありそうじゃないか?
これはギルドに行って話を聞きに行ってみようか。
というか、王都に奴隷商人とか、この国終わってんな!
ちょっとその集団とっちめにいくか。
「ご、ご主人様お待たせしました!なのです!!」
「おお!すごい可愛いじゃん!アンジェもセンスいいな!」
「ありがとうございます!」
ふむ、ヒラヒラと猫耳尻尾がアクセントになって、全体的に見た目の良さを際立たせてるな。
やっぱ元がいいし、布切れ1枚なんて可哀想だよ。
「ねえ、ちょっとギルド行って話聞きに行きたいんだけどいい?」
「ギルドですか?なんでしょ?」
「どうしたのです?」
「ちょっと、気になってね」
◇◆◇
「危ないですよ!冒険者になったからって、奴隷商人集団の本山に向かうなんて!」
「いや、俺が壊滅させに行くから教えてくれる?どこにあんの?」
「最近奴隷商人が増えているとの情報もありますし、それはありがたい話ですけど、他の冒険者の方も王都騎士もこれにノータッチなんです、何故だと思いますか?」
「どうしてなのです?」
「何か問題があるんでしょうか?」
受付嬢の説明はこうだ。
なんでも、奴隷商人とすげえ偉い貴族が提携組んでて手が出せないと、んで、その偉い貴族は奴隷商人に脅されていると、さらに奴隷商人にはめちゃくちゃ強い魔物がいて、S級冒険者でも手を出せないくらい強いと、そんな感じ?
いやいや?冒険者といい王都騎士と言いなんだ?
魔法が最強です!魔法使えないやつはゴミです!でも、強い魔物には手出しできません!
は?なーにやってんだよほんと。
「わかった、じゃあその強い魔物の討伐クエスト出してくれない?」
「たくやさん!?あ、危ないですよ!!」
「そうなのです!いくらご主人様でもそんな!!」
「いや、大丈夫だって、お前らに傷一つつけさせないから」
「はわわ!ご主人様・・・!」
「たくやさん・・・そこまで行ってくれるなんて・・!」
多少アンジェとニナには手伝ってもらいそうだけど、危険になったら俺がまとめて倒せばいいから、結果オーライだよね。
「分かりました、じゃあその奴隷商人の魔物討伐任務をお願いします!どうかお気をつけて・・・!」
ってことで、そのものすっごい強い魔物と戦いに行くことになったのだ。




