第六話 調べる
家に戻ると、あんずは真っ先に水を飲んだ
器に顔を突っ込んで、音も立てずに飲み切る
それから、いつものクッションへ
くるりと回って、丸くなる
朝の散歩のあとと同じ流れだ
俺は靴を脱ぎ、枝を玄関脇に立てかけた
自然公園で拾ったままの、あの一本
土はついているが、欠けてはいない
時計を見る
昼を少し過ぎたところ
学校は休み
今は時間がある
シャワーを浴びてから、スマホを手に取った
さっき見た表示のことを、もう一度確認したくなっただけ
検索欄に、思いついた単語を打ち込む
ダンジョン
スキル
ステータス
情報は思ったより多かった
掲示板
まとめサイト
個人ブログ
どれも断片的で、確証はない
けれど、同じ話題は何度も出てくる
スキルは一人ひとつ
例外は、今のところ確認されていない
分類は三つ
○○補助
○○向上
○○強化
大半は補助か向上
強化は名前だけ見かけるが、体験談は少ない
レア度という言い方もある
星で表すらしい
★1が補助
★2が向上
★3が強化
★4以上は噂
★5は冗談扱い
公式ではなく、あくまでネット用語
装備の話も多い
ヘルメットは
バイク用
工事用
自転車用
武器は
バール
レンチ
鉄パイプ
トンカチ
包丁
金属バット
木製バット
家にあるもの
ホームセンターで買えるもの
それで戦っている人がほとんど
刃物は怖い
バットは折れた
鉄パイプが一番無難
そんな書き込みが続く
俺は、玄関に立てかけた枝を思い出した
特別なものではない
ただ、手に馴染む
動きの話は、あまり出てこない
数値
装備
スキル名
強さは、そこだけで判断されている感じがした
表示を思い出す
筋力
敏捷
耐久
器用
知覚
全部、同じ数値
高いのか低いのかは分からない
比較ができない
今動けているのは
これまでの経験なのか
スキルなのか
数値なのか
判断はつかない
検索欄に、スキル名を入れる
自己調整
該当なし
似た言葉はいくつか出てくる
姿勢補助
動作補助
集中補助
どれも補助系
地味
変化が分かりにくい
あると楽、なくても困らない
そんな評価
自分のスキルがどれに近いのかは分からない
そもそも同じものがあるのかも不明
スマホを置く
あんずは、まだ寝ている
昼寝の時間
夕方までは余裕がある
夜の散歩は十九時
それまで、自然公園に行ける
準備は特にいらない
枝はそのまま使う
今日も、昼過ぎまでは戦える
世の中は少しずつ動いているみたいだが
今のところ、俺のやることは変わらない
そう判断して、立ち上がった




