第二十二話 方針
地震からしばらくの間、世間は混乱の中にあった。
まず優先されたのは、家屋の倒壊、火災、ライフラインの復旧といった直接的な被害への対応であった。自衛隊はこれらの対応に追われることになり、ダンジョンの対応は国ぐるみで遅れることになった。
各地に現れたダンジョンは最初に立ち入りを禁止されたが、存在自体は早いうちにネットで出回ることになり、民間人が立ち入って怪我をするケースがあとをたたなかった。
ダンジョンは数日が経っても構造に変化はなく、民間人が立ち入るため、自治体から国へと報告が集まり始め、警察や自衛隊が順次調査することが決定した。
初めのうちは警察が立ち入り調査をしていたが、銃が使えない、近接で警棒しか装備がないことで腕や足に噛みつかれ怪我をすることが増え始め、やむ無く封鎖をする形でしか対応せざるを得なくなった。
いくつか共通点が見つかっており、発生した地点の周囲の風景と内部構造が似ている、通路の先に開けた地点があり、ゴブリンと呼ばれるモンスターが徘徊している。非常に好戦的であり、人間を見つけると攻撃をしてくる。
震災から二週間が経つころには自衛隊による調査が開始された。
階層構造、内部の広さ、出現するゴブリンの存在、負傷の傾向。
情報は整理され共有されていく。ここで民間人の協力もあり、実質的に封鎖という選択肢は徐々に現実味を失っていった。
三週目には国の方針が明確に変わって封鎖ではなく管理することに置き換わった。
国が全てを直接統制するのではなく、各自治体が主体となって対応する案が現実的だと判断された。
ダンジョンの周辺の土地について、買取や借上を前提とした調整が始まった。
各市町村にダンジョン対応のための専用窓口を設ける方針がかたまった。
申請と許可制。
民間人の立ち入りを前提とした制度設計が進められ、自衛隊はより深い階層の調査に専念し、民間との役割を分ける方向性で決まった。
もっとも、すべてが決まったわけではなく、法整備はまだ途中で、罰則や権限、責任の所在も曖昧なままだ。
国会や専門家会議では議論が続いているが、国民に伝えられたのは、断片的な情報だった。
ニュースでは安全確保を最優先に管理体制を調整中といった言葉が並び、ネットでの憶測が飛び交った。
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