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現代ダンジョン世界で、俺より先に柴犬が適応した  作者: 寺田Ⅳ式


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第十八話 三層という線

朝のダンジョンは、昨日と変わらなかった。

由貴は自然公園に入り、準備運動を済ませてから階段を降りる。

一層と二層は通過するだけで、足は止まらない。


三層に入ると、広場の向こうで動きが出る。

あんずが前に出て、二体を引き受ける。

由貴は残った一体に向かう。


枝を構え、距離を詰めすぎない。

動きは昨日と同じだ。

攻撃を逸らし、踏み込み、形を崩さずに当てる。

倒れたのを確認して視線を切り替えると、あんずがもう一体を処理している。


数戦して引き返す。

深追いはしない。

今日は確認だけでいい。


外に出ると、朝の空気に戻る。

由貴はそのまま家に帰り、制服に着替えて学校へ向かった。


授業はいつも通り進む。

板書を写し、問題を解き、時間が流れる。


昼休み、弁当を広げていると、前の席から小さな声が聞こえてきた。


「三層、無理じゃね?」

「二体まではなんとかなったけど、三体で詰んだ」

「動きが重なって、何していいかわからなくなる」


由貴は顔を上げずに聞いている。

会話に入る気はなかった。


別の机でも似た話が出ている。

怪我はしていないが、撤退したという話。

人数を増やさないと無理だ、という結論。


放課後、寄り道せずに帰る。

自然公園の近くを通ると、規制線の外に人が立っていた。

中を見ているだけで、入ろうとはしない。


家に戻り、夕方を過ごす。

夜になり、端末を開く。


ネットの書き込みも、同じ方向に寄り始めていた。

三層で止まった。

ここが限界だ。

装備が足りない。

人数が足りない。


四層については、噂が少しあるだけだ。

行った、という書き込みはあっても、続きがない。

五層の話は、名前が出るだけで具体性はない。


由貴は一通り目を通して、端末を閉じる。

三層の話は、自分が見たものと一致している。

敵の数、動き、広場の構造。


違うのは、その先だった。


足元であんずが身じろぎする。

由貴は手を伸ばして背中を撫でる。

あんずは反応せず、そのまま丸くなる。


明日も平日だ。

朝に三層。

学校。

夜。


三層は、線として引かれ始めていた。

毎日0時更新


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