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現代ダンジョン世界で、俺より先に柴犬が適応した  作者: 寺田Ⅳ式


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第十七話 日常の中の三層

朝はいつも通りだった。

由貴は家を出て、自然公園へ向かう。時間に余裕はないが、焦るほどでもない。


規制線を越え、ダンジョンに入る前に軽く体をほぐす。

足首、膝、腰、肩。

枝を手に取り、素振りを数回。振りの途中で止め、角度を変え、もう一度振る。

朝は確認だけでいい。


ダンジョンに入る。

一層はそのまま抜ける。

広場に入る前に気配が動くが、あんずが前に出て、流れが止まることはない。

由貴は歩調を変えず、距離と位置を見るだけだ。


二層も同じ。

舗装された道を進み、広場を横切る。

あんずが先行し、由貴は横につく。

戦闘は発生するが、足は止まらない。

ここは通過点になっている。


三層の階段を降りると、空間が少し広がる。

広場に出た瞬間、三体が動いた。


あんずが即座に前へ出る。

二体に向かって突っ込み、位置を崩す。

由貴は一体を正面に残す。


枝で攻撃を逸らし、踏み込む。

同じ動き。

一度覚えた形を、崩さずに当てる。

速さよりも、位置と角度を優先する。


倒れる。

視線を切り替える。

あんずが一体を弾き飛ばし、もう一体が立て直そうとしている。

由貴は間合いを詰めすぎず、逃げ道を潰す位置に立つ。


あんずが仕留める。

残った一体が動いたところで、由貴が入る。

同じ手順。

迷いはない。


広場を抜け、少し進む。

また広場。

また三体。


配置は違うが、やることは変わらない。

あんずが二体を引き受け、由貴は一体に集中する。

途中で配置が乱れても、数を減らせば落ち着く。

一体ずつ処理するだけだ。


三層をいくつか回る。

戦闘が続くが、動きは安定している。

疲労は溜まるが、崩れるほどではない。

時間を確認し、引き返す。


戻り道も問題はない。

一層と二層を抜け、外に出る。


家に戻り、制服に着替える。

あんずはクッションの上で丸くなり、もう動く気配はない。

由貴は時計を見て、家を出る。


学校では、いつも通りの一日が流れる。

授業、板書、ノート。

昼休み、弁当。

誰もダンジョンの話はしない。

しているのかもしれないが、声には出てこない。


放課後、由貴はまっすぐ帰る。

寄り道はしない。


夜、机に向かう。

端末を開き、軽く情報を流す。


三層で詰まった、という書き込みが増えている。

二体までは対応できたが、三体になると難しい。

動きが重なり、視界が足りなくなる。

撤退した、という内容が続く。


四層の話は相変わらず少ない。

挑戦したという報告はあるが、長くは書かれていない。

五層については、自衛隊の話題が断片的に出るだけだ。


由貴は端末を閉じる。

今日見た三層は、ネットに書かれている三層と同じだった。

違うのは、手順が固まっているかどうか、それだけだ。


足元であんずが小さく動く。

由貴は手を伸ばし、あんずの背中を撫でる。


明日も同じだ。

朝に三層。

学校。

夜。


それが、今の日常になっていた。

毎日0時更新


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