鋼鉄の雷鳴
午前10時30分、制空権を確保した統合艦隊が、財団艦隊に対する本格的な海上攻撃を開始した。
【統合艦隊旗艦『アルテミア』艦橋】
「各艦戦闘配置完了。主砲射撃準備よし」
ウォルター・オールドガード提督が、海戦指揮の最終確認を行っていた。
「元帥、財団艦隊まで距離25海里。射程内に突入しました」
アリアが海軍元帥として、人生初の艦隊砲撃戦を指揮することになった。
「予定通り、段階的に距離を詰めながら攻撃を開始します」
【第1段階:長距離ミサイル攻撃】
「イージス駆逐艦6隻、トマホーク巡航ミサイル発射準備」
各駆逐艦に配備された最新鋭の巡航ミサイルが、垂直発射システムから次々と発射された。
「トマホーク48発、財団艦隊に向けて発射完了」
白い煙の軌跡を描きながら、ミサイルが海面すれすれを飛行していく。
「着弾まで12分。敵艦隊の対応を観察します」
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【イージス駆逐艦『ガーディアン』艦橋】
「艦長、ミサイル発射完了しました」
副官が、ハリー・ソードマン艦長(53歳、元ベテラン剣士)に報告した。
30年間剣を振り続けた男が、今や最新鋭駆逐艦の艦長として海戦を指揮している。
「30年の剣術経験が、艦隊戦術に活かされるとは思わなかった」
ハリーが操舵輪を見つめながら呟いた。
「剣術の『間合い』と『タイミング』、それが海戦でも最重要だ」
【剣術理論の海戦応用】
「副官、敵艦との『間合い』はどうだ?」
「現在25海里。我が主砲の有効射程は30海里です」
「我々はまだ敵の『攻撃圏外』にいるということか」
ハリーが剣術の考え方で海戦を分析した。
「剣術では、相手の攻撃が届かない距離から、こちらの攻撃を当てることが基本だ」
「海戦も同じ原理が適用できる」
【ガーディアンの戦闘性能】
- 主砲:5インチ砲1門(射程30海里)
- ミサイル:トマホーク8発、SM-2対空ミサイル32発
- 近接防御:20mmファランクス機銃、魚雷防御システム
- レーダー:SPY-1Dフェーズドアレイレーダー(古代技術強化)
「古代技術強化により、レーダー性能が3倍向上している」
「敵艦の位置だけでなく、艦内の人数まで把握可能だ」
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【財団旗艦『プロメテウス』兵器管制室】
「統合艦隊のミサイル攻撃を確認。迎撃開始」
財団の技術者が、最新の迎撃システムを起動した。
「プラズマレーザー砲で巡航ミサイルを迎撃します」
【プラズマレーザー砲の威力】
財団の最新兵器が光を放った。青白い光線が空中を走り、接近するトマホークミサイルを次々と撃墜していく。
「着弾予定48発中、38発を迎撃成功」
「残り10発が我が艦隊に到達予定」
しかし、10発のミサイルでも相当な被害をもたらした。
「財団駆逐艦2隻に命中!」
「1隻は航行不能、1隻は火災発生」
【財団の反撃開始】
「我々も反撃を開始する」
ドクター・プロメテウスが命令した。
「プラズマレーザー砲による対艦攻撃を実施せよ」
青白い光線が海上を走り、統合艦隊に向かった。
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【旗艦『アルテミア』での緊急対応】
「敵艦よりレーザー攻撃!」
ウォルター提督が警告した。
「通常兵器では防御不可能です!」
アリアが即座に古代技術を発動した。
「『エネルギー操作技術』を艦隊防御に適用!」
古代技術装置が起動すると、統合艦隊全体に淡い青い障壁が形成された。
【エネルギー防御結界の効果】
財団のプラズマレーザーが結界に当たると、不思議な現象が起こった。
「レーザー攻撃が無害な光に変換されています!」
「古代技術により、敵の攻撃エネルギーを中和しています!」
技術者が驚愕して報告した。
「これは...エネルギーの性質そのものを変える技術です」
「物理法則を超越している」
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【攻撃型原子力潜水艦『ハンター1』艦内】
海面下200mで、セルゲイ・モロゾフ艦長(元ガルディア軍大尉)が潜水艦戦を指揮していた。
「ソナー員、敵潜水艦の位置は?」
「艦長、財団ステルス潜水艦8隻を探知中です」
元敵軍だったセルゲイが、今やアーテミス海軍の中核を担っている。
「3年前は敵として戦った相手のために、今は命懸けで戦っている」
「でも、アリア元帥の『慈悲の統治』を目の当たりにして、真の正義を理解した」
【潜水艦『ハンター1』の性能】
- 排水量:7,800トン(水中)
- 最大深度:600m(古代技術強化により1,200m可能)
- 武装:533mm魚雷12発、トマホーク巡航ミサイル12発
- ソナー:古代技術強化により探知距離50km
- 静粛性:完全無音航行可能
「古代技術強化により、我が艦のソナー性能は従来の10倍だ」
「敵のステルス潜水艦も、古代技術の前では丸見えだ」
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【第1次潜水艦戦】
「敵潜水艦『ファントム1』を探知。距離8,000m」
ソナー員が報告した。
「魚雷発射管1番、2番装填完了」
セルゲイが冷静に戦術を組み立てた。
「ガルディア軍時代の重装歩兵戦術を、潜水艦戦に応用する」
「重装歩兵は正面突破、潜水艦は隠密攻撃。原理は正反対だが、『決定的瞬間を見極める』点は同じだ」
「魚雷1番、2番発射!」
533mm魚雷2発が、静寂の海中を高速で進んだ。
【財団潜水艦の回避行動】
「敵魚雷2発接近中!」
財団ステルス潜水艦『ファントム1』が緊急回避を開始した。
「深度400mまで緊急潜航!」
「デコイ(囮)発射!魚雷を欺瞞します!」
しかし、古代技術強化された魚雷の誘導システムは、デコイに惑わされなかった。
「魚雷1発命中!敵潜水艦『ファントム1』撃沈確認!」
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【極東連邦潜水艦『トゥルース』】
「こちら『トゥルース』、ライアン・ジャスティス艦長」
極東連邦穏健派の潜水艦も、財団艦隊への攻撃に参加していた。
「セルゲイ艦長、連携攻撃を提案します」
「了解。我々は東側から、貴艦は西側から挟撃しましょう」
元敵軍同士だった二人が、今や完璧な連携を見せている。
【挟撃戦術の成功】
「財団潜水艦『ファントム3』『ファントム4』を挟撃中」
「『ハンター1』が東から、『トゥルース』が西から魚雷攻撃」
「敵艦、混乱状態。回避不可能な状況です」
2隻の潜水艦による完璧な挟撃により、財団潜水艦2隻が同時撃沈された。
「これが国際連携の力だ」
セルゲイが満足げに呟いた。
「元敵軍との協力が、これほど効果的とは」
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【距離15海里での艦砲射撃戦】
午前11時、統合艦隊と財団艦隊の距離が15海里まで接近し、本格的な砲撃戦が開始された。
「各艦、主砲射撃開始!」
ハリー艦長が命令すると、イージス駆逐艦6隻の5インチ砲が一斉に火を噴いた。
【5インチ砲の轟音】
「ドォォォン!」
巨大な砲声が海上に響き渡る。127mm砲弾が、弧を描いて財団艦隊に向かった。
「初弾射撃、財団駆逐艦に命中!」
「敵艦、火災発生。速度低下を確認」
しかし、財団も反撃してきた。
【財団の反撃砲撃】
「敵艦より砲撃!着弾まで30秒!」
財団駆逐艦の76mm速射砲が、統合艦隊に向けて連射を開始した。
「各艦回避運動!ジグザグ航行で敵弾を回避!」
ハリーが剣術の「体捌き」を艦船操縦に応用した。
「剣術の『避け』と同じ原理だ。敵の攻撃を予測し、最小限の動きで回避する」
【近距離砲撃戦の激化】
距離が10海里まで接近すると、砲撃戦は熾烈を極めた。
「敵弾命中!右舷に浸水!」
駆逐艦『ガーディアン』が被弾した。
「損害管制班、浸水箇所の応急修理急げ!」
「艦の傾斜3度。航行に支障なし」
ハリーが冷静に状況を判断した。
「剣術では、軽傷を負ってからが勝負だ!痛みを力に変えて戦うぞ!」
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【水中からの脅威】
海上の砲撃戦の最中、水中から新たな脅威が現れた。
「ソナー探知!魚雷4発が我が艦に向かってきます!」
財団ステルス潜水艦からの奇襲攻撃だった。
「距離2,000m、到達まで90秒!」
ハリーが緊急回避を命令した。
「面舵いっぱい!最大戦速で回避運動!」
【対潜水艦戦闘】
「対潜ロケット発射!敵潜水艦の位置を確認!」
駆逐艦に搭載されたASROC対潜ロケットが発射された。
「海中で爆発し、敵潜水艦を浮上させます」
しかし、財団のステルス潜水艦は手強かった。
「敵潜水艦、深度500mまで潜航。追跡困難」
「魚雷1発が我が艦に接近中!回避不可能!」
【古代技術による緊急防御】
その時、アリアが緊急に古代技術を発動した。
「『時空間制御技術』で魚雷を別次元に転送!」
接近する魚雷が突然消失し、異次元空間に転送された。
「魚雷消失!危機回避!」
ハリーが安堵のため息をついた。
「元帥女王の古代技術がなければ、確実に撃沈されていた」
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【極東連邦旗艦『イーグル』での決断】
激戦を目の当たりにして、エリック・ストームライダー提督は最終決断を下した。
「副官、白旗を掲げよ」
「提督?」
「これ以上の戦闘は無意味だ。我々は財団の犠牲になるために戦っているのではない」
【強硬派艦隊の戦線離脱】
「全艦に告ぐ。戦闘を停止し、戦域から離脱する」
ストームライダー提督が残存強硬派8隻に命令した。
「我々は中立を保ち、戦闘には参加しない」
「家族の安全は、最終的にアリア元帥に委ねる」
この決断により、三つ巴の戦いは統合艦隊vs財団艦隊の一騎討ちとなった。
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【深海探査母艦『プロメテウス』の秘密兵器】
劣勢に陥った財団が、最後の切り札を使用した。
「深海3,000mから『根源の神殿』攻撃作戦を開始」
ドクター・プロメテウスが命令した。
「神殿の技術を強制的に起動させ、我々の支配下に置く」
【深海突入作戦】
『プロメテウス』は特殊な深海探査船でもあった。艦体が変形し、潜水機能が起動する。
「全長400m、深海3,000mまで潜航可能」
「圧力に負けない特殊合金装甲」
「酸素供給装置により、72時間の深海活動が可能」
「海底神殿まで直接到達し、古代技術を奪取します」
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【アリアの決断】
「財団が神殿に向かいました」
守護者が警告した。
「神殿の技術が悪用されれば、世界が危険にさらされます」
アリアが即座に追撃を決断した。
「我々も深海に向かいます」
「古代技術『時空間制御技術』により、艦隊全体を深海仕様に改造します」
【艦隊の深海仕様改造】
古代技術により、統合艦隊の全艦艇が深海対応型に変化した。
- 空母『アルテミア』:潜水空母に変形、深度1,000m対応
- 駆逐艦6隻:潜水駆逐艦化、高速深海航行可能
- 潜水艦4隻:深度3,000m対応、探査機能追加
「これは...艦船が潜水艦に変わっている」
ハリー艦長が驚愕した。
「古代技術の物質変換能力により、艦体構造が完全に変化しています!」
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【海底神殿周辺での戦闘】
深海3,000mの暗黒世界で、人類史上初の深海艦隊戦が開始された。
「神殿まで残り500m。財団艦隊を視認」
古代技術強化ソナーにより、完全な暗闇でも敵艦の位置が把握できた。
「深海魚雷戦開始!」
セルゲイ艦長の潜水艦『ハンター1』が、財団護衛艦に魚雷攻撃を開始した。
「水圧3,000mでの魚雷戦...こんなでたらめ、誰も体験したことのない戦闘だ」
【神殿の反応】
戦闘の激化により、『根源の神殿』が不思議な反応を示し始めた。
「神殿が発光しています!」
「古代技術が自動的に起動している模様」
青白い光が海底を照らし、神秘的な光景が広がった。
「この光は...」
アリアが直感した。
「神殿が、争いを止めようとしているのかもしれません」
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【根源の神殿からのメッセージ】
突然、神殿から古代言語のメッセージが発信された。
『争いは破壊をもたらす』
『技術は調和のために存在する』
『武力ではなく、理解によって解決せよ』
このメッセージが、戦闘中の全艦艇に響いた。
【戦闘の自然停止】
神殿の神聖なメッセージにより、戦闘していた兵士たちが自然と武器を下ろした。
「これは...戦う気力が失せてきます」
ハリー艦長が呟いた。
「神殿の力が、争いの心を鎮めているようです」
財団艦隊でも同様の現象が起こっていた。
「なぜ戦っているのか、分からなくなってきました」
技術者が混乱していた。
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深海3,000mで、奇跡的な休戦状態が発生した。
【神殿の影響下での対話】
「ドクター・プロメテウス、対話をしませんか?」
アリアが財団旗艦に通信した。
「武力ではなく、話し合いによる解決を」
「...検討してみましょう」
プロメテウスの声に、わずかな変化が感じられた。
「神殿の力により、争いの心が浄化されているのかもしれません」
【次なる局面への準備】
海底神殿を舞台に、最終的な決着が近づいていた。
「技術をめぐる争いから、真の平和実現へ」
アリアが決意を新たにした。
「神殿の力を借りて、世界に真の調和をもたらします」
深海の神秘的な光に包まれながら、物語は一つの区切りへと向かおうとしていた。




