表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/22

鋼鉄の雷鳴


 午前10時30分、制空権を確保した統合艦隊が、財団艦隊に対する本格的な海上攻撃を開始した。


【統合艦隊旗艦『アルテミア』艦橋】


「各艦戦闘配置完了。主砲射撃準備よし」


 ウォルター・オールドガード提督が、海戦指揮の最終確認を行っていた。


「元帥、財団艦隊まで距離25海里。射程内に突入しました」


 アリアが海軍元帥として、人生初の艦隊砲撃戦を指揮することになった。


「予定通り、段階的に距離を詰めながら攻撃を開始します」


【第1段階:長距離ミサイル攻撃】


「イージス駆逐艦6隻、トマホーク巡航ミサイル発射準備」


 各駆逐艦に配備された最新鋭の巡航ミサイルが、垂直発射システムから次々と発射された。


「トマホーク48発、財団艦隊に向けて発射完了」


 白い煙の軌跡を描きながら、ミサイルが海面すれすれを飛行していく。


「着弾まで12分。敵艦隊の対応を観察します」


---


【イージス駆逐艦『ガーディアン』艦橋】


「艦長、ミサイル発射完了しました」


 副官が、ハリー・ソードマン艦長(53歳、元ベテラン剣士)に報告した。


 30年間剣を振り続けた男が、今や最新鋭駆逐艦の艦長として海戦を指揮している。


「30年の剣術経験が、艦隊戦術に活かされるとは思わなかった」


 ハリーが操舵輪を見つめながら呟いた。


「剣術の『間合い』と『タイミング』、それが海戦でも最重要だ」


【剣術理論の海戦応用】


「副官、敵艦との『間合い』はどうだ?」


「現在25海里。我が主砲の有効射程は30海里です」


「我々はまだ敵の『攻撃圏外』にいるということか」


 ハリーが剣術の考え方で海戦を分析した。


「剣術では、相手の攻撃が届かない距離から、こちらの攻撃を当てることが基本だ」


「海戦も同じ原理が適用できる」


【ガーディアンの戦闘性能】

- 主砲:5インチ砲1門(射程30海里)

- ミサイル:トマホーク8発、SM-2対空ミサイル32発

- 近接防御:20mmファランクス機銃、魚雷防御システム

- レーダー:SPY-1Dフェーズドアレイレーダー(古代技術強化)


「古代技術強化により、レーダー性能が3倍向上している」


「敵艦の位置だけでなく、艦内の人数まで把握可能だ」


---


【財団旗艦『プロメテウス』兵器管制室】


「統合艦隊のミサイル攻撃を確認。迎撃開始」


 財団の技術者が、最新の迎撃システムを起動した。


「プラズマレーザー砲で巡航ミサイルを迎撃します」


【プラズマレーザー砲の威力】


 財団の最新兵器が光を放った。青白い光線が空中を走り、接近するトマホークミサイルを次々と撃墜していく。


「着弾予定48発中、38発を迎撃成功」


「残り10発が我が艦隊に到達予定」


 しかし、10発のミサイルでも相当な被害をもたらした。


「財団駆逐艦2隻に命中!」


「1隻は航行不能、1隻は火災発生」


【財団の反撃開始】


「我々も反撃を開始する」


 ドクター・プロメテウスが命令した。


「プラズマレーザー砲による対艦攻撃を実施せよ」


 青白い光線が海上を走り、統合艦隊に向かった。


---


【旗艦『アルテミア』での緊急対応】


「敵艦よりレーザー攻撃!」


 ウォルター提督が警告した。


「通常兵器では防御不可能です!」


 アリアが即座に古代技術を発動した。


「『エネルギー操作技術』を艦隊防御に適用!」


 古代技術装置が起動すると、統合艦隊全体に淡い青い障壁が形成された。


【エネルギー防御結界の効果】


 財団のプラズマレーザーが結界に当たると、不思議な現象が起こった。


「レーザー攻撃が無害な光に変換されています!」


「古代技術により、敵の攻撃エネルギーを中和しています!」


 技術者が驚愕して報告した。


「これは...エネルギーの性質そのものを変える技術です」


「物理法則を超越している」


---


【攻撃型原子力潜水艦『ハンター1』艦内】


 海面下200mで、セルゲイ・モロゾフ艦長(元ガルディア軍大尉)が潜水艦戦を指揮していた。


「ソナー員、敵潜水艦の位置は?」


「艦長、財団ステルス潜水艦8隻を探知中です」


 元敵軍だったセルゲイが、今やアーテミス海軍の中核を担っている。


「3年前は敵として戦った相手のために、今は命懸けで戦っている」


「でも、アリア元帥の『慈悲の統治』を目の当たりにして、真の正義を理解した」


【潜水艦『ハンター1』の性能】

- 排水量:7,800トン(水中)

- 最大深度:600m(古代技術強化により1,200m可能)

- 武装:533mm魚雷12発、トマホーク巡航ミサイル12発

- ソナー:古代技術強化により探知距離50km

- 静粛性:完全無音航行可能


「古代技術強化により、我が艦のソナー性能は従来の10倍だ」


「敵のステルス潜水艦も、古代技術の前では丸見えだ」


---


【第1次潜水艦戦】


「敵潜水艦『ファントム1』を探知。距離8,000m」


 ソナー員が報告した。


「魚雷発射管1番、2番装填完了」


 セルゲイが冷静に戦術を組み立てた。


「ガルディア軍時代の重装歩兵戦術を、潜水艦戦に応用する」


「重装歩兵は正面突破、潜水艦は隠密攻撃。原理は正反対だが、『決定的瞬間を見極める』点は同じだ」


「魚雷1番、2番発射!」


 533mm魚雷2発が、静寂の海中を高速で進んだ。


【財団潜水艦の回避行動】


「敵魚雷2発接近中!」


 財団ステルス潜水艦『ファントム1』が緊急回避を開始した。


「深度400mまで緊急潜航!」


「デコイ(囮)発射!魚雷を欺瞞します!」


 しかし、古代技術強化された魚雷の誘導システムは、デコイに惑わされなかった。


「魚雷1発命中!敵潜水艦『ファントム1』撃沈確認!」


---


【極東連邦潜水艦『トゥルース』】


「こちら『トゥルース』、ライアン・ジャスティス艦長」


 極東連邦穏健派の潜水艦も、財団艦隊への攻撃に参加していた。


「セルゲイ艦長、連携攻撃を提案します」


「了解。我々は東側から、貴艦は西側から挟撃しましょう」


 元敵軍同士だった二人が、今や完璧な連携を見せている。


【挟撃戦術の成功】


「財団潜水艦『ファントム3』『ファントム4』を挟撃中」


「『ハンター1』が東から、『トゥルース』が西から魚雷攻撃」


「敵艦、混乱状態。回避不可能な状況です」


 2隻の潜水艦による完璧な挟撃により、財団潜水艦2隻が同時撃沈された。


「これが国際連携の力だ」


 セルゲイが満足げに呟いた。


「元敵軍との協力が、これほど効果的とは」


---


【距離15海里での艦砲射撃戦】


 午前11時、統合艦隊と財団艦隊の距離が15海里まで接近し、本格的な砲撃戦が開始された。


「各艦、主砲射撃開始!」


 ハリー艦長が命令すると、イージス駆逐艦6隻の5インチ砲が一斉に火を噴いた。


【5インチ砲の轟音】


「ドォォォン!」


 巨大な砲声が海上に響き渡る。127mm砲弾が、弧を描いて財団艦隊に向かった。


「初弾射撃、財団駆逐艦に命中!」


「敵艦、火災発生。速度低下を確認」


 しかし、財団も反撃してきた。


【財団の反撃砲撃】


「敵艦より砲撃!着弾まで30秒!」


 財団駆逐艦の76mm速射砲が、統合艦隊に向けて連射を開始した。


「各艦回避運動!ジグザグ航行で敵弾を回避!」


 ハリーが剣術の「体捌き」を艦船操縦に応用した。


「剣術の『避け』と同じ原理だ。敵の攻撃を予測し、最小限の動きで回避する」


【近距離砲撃戦の激化】


 距離が10海里まで接近すると、砲撃戦は熾烈を極めた。


「敵弾命中!右舷に浸水!」


 駆逐艦『ガーディアン』が被弾した。


「損害管制班、浸水箇所の応急修理急げ!」


「艦の傾斜3度。航行に支障なし」


 ハリーが冷静に状況を判断した。


「剣術では、軽傷を負ってからが勝負だ!痛みを力に変えて戦うぞ!」


---


【水中からの脅威】


 海上の砲撃戦の最中、水中から新たな脅威が現れた。


「ソナー探知!魚雷4発が我が艦に向かってきます!」


 財団ステルス潜水艦からの奇襲攻撃だった。


「距離2,000m、到達まで90秒!」


 ハリーが緊急回避を命令した。


「面舵いっぱい!最大戦速で回避運動!」


【対潜水艦戦闘】


「対潜ロケット発射!敵潜水艦の位置を確認!」


 駆逐艦に搭載されたASROC対潜ロケットが発射された。


「海中で爆発し、敵潜水艦を浮上させます」


 しかし、財団のステルス潜水艦は手強かった。


「敵潜水艦、深度500mまで潜航。追跡困難」


「魚雷1発が我が艦に接近中!回避不可能!」


【古代技術による緊急防御】


 その時、アリアが緊急に古代技術を発動した。


「『時空間制御技術』で魚雷を別次元に転送!」


 接近する魚雷が突然消失し、異次元空間に転送された。


「魚雷消失!危機回避!」


 ハリーが安堵のため息をついた。


「元帥女王の古代技術がなければ、確実に撃沈されていた」


---


【極東連邦旗艦『イーグル』での決断】


 激戦を目の当たりにして、エリック・ストームライダー提督は最終決断を下した。


「副官、白旗を掲げよ」


「提督?」


「これ以上の戦闘は無意味だ。我々は財団の犠牲になるために戦っているのではない」


【強硬派艦隊の戦線離脱】


「全艦に告ぐ。戦闘を停止し、戦域から離脱する」


 ストームライダー提督が残存強硬派8隻に命令した。


「我々は中立を保ち、戦闘には参加しない」


「家族の安全は、最終的にアリア元帥に委ねる」


 この決断により、三つ巴の戦いは統合艦隊vs財団艦隊の一騎討ちとなった。


---


【深海探査母艦『プロメテウス』の秘密兵器】


 劣勢に陥った財団が、最後の切り札を使用した。


「深海3,000mから『根源の神殿』攻撃作戦を開始」


 ドクター・プロメテウスが命令した。


「神殿の技術を強制的に起動させ、我々の支配下に置く」


【深海突入作戦】


『プロメテウス』は特殊な深海探査船でもあった。艦体が変形し、潜水機能が起動する。


「全長400m、深海3,000mまで潜航可能」


「圧力に負けない特殊合金装甲」


「酸素供給装置により、72時間の深海活動が可能」


「海底神殿まで直接到達し、古代技術を奪取します」


---


【アリアの決断】


「財団が神殿に向かいました」


 守護者が警告した。


「神殿の技術が悪用されれば、世界が危険にさらされます」


 アリアが即座に追撃を決断した。


「我々も深海に向かいます」


「古代技術『時空間制御技術』により、艦隊全体を深海仕様に改造します」


【艦隊の深海仕様改造】


 古代技術により、統合艦隊の全艦艇が深海対応型に変化した。


- 空母『アルテミア』:潜水空母に変形、深度1,000m対応

- 駆逐艦6隻:潜水駆逐艦化、高速深海航行可能

- 潜水艦4隻:深度3,000m対応、探査機能追加


「これは...艦船が潜水艦に変わっている」


 ハリー艦長が驚愕した。


「古代技術の物質変換能力により、艦体構造が完全に変化しています!」


---


【海底神殿周辺での戦闘】


 深海3,000mの暗黒世界で、人類史上初の深海艦隊戦が開始された。


「神殿まで残り500m。財団艦隊を視認」


 古代技術強化ソナーにより、完全な暗闇でも敵艦の位置が把握できた。


「深海魚雷戦開始!」


 セルゲイ艦長の潜水艦『ハンター1』が、財団護衛艦に魚雷攻撃を開始した。


「水圧3,000mでの魚雷戦...こんなでたらめ、誰も体験したことのない戦闘だ」


【神殿の反応】


 戦闘の激化により、『根源の神殿』が不思議な反応を示し始めた。


「神殿が発光しています!」


「古代技術が自動的に起動している模様」


 青白い光が海底を照らし、神秘的な光景が広がった。


「この光は...」


 アリアが直感した。


「神殿が、争いを止めようとしているのかもしれません」


---


【根源の神殿からのメッセージ】


 突然、神殿から古代言語のメッセージが発信された。


『争いは破壊をもたらす』


『技術は調和のために存在する』


『武力ではなく、理解によって解決せよ』


 このメッセージが、戦闘中の全艦艇に響いた。


【戦闘の自然停止】


 神殿の神聖なメッセージにより、戦闘していた兵士たちが自然と武器を下ろした。


「これは...戦う気力が失せてきます」


 ハリー艦長が呟いた。


「神殿の力が、争いの心を鎮めているようです」


 財団艦隊でも同様の現象が起こっていた。


「なぜ戦っているのか、分からなくなってきました」


 技術者が混乱していた。


---


 深海3,000mで、奇跡的な休戦状態が発生した。


【神殿の影響下での対話】


「ドクター・プロメテウス、対話をしませんか?」


 アリアが財団旗艦に通信した。


「武力ではなく、話し合いによる解決を」


「...検討してみましょう」


 プロメテウスの声に、わずかな変化が感じられた。


「神殿の力により、争いの心が浄化されているのかもしれません」


【次なる局面への準備】


 海底神殿を舞台に、最終的な決着が近づいていた。


「技術をめぐる争いから、真の平和実現へ」


 アリアが決意を新たにした。


「神殿の力を借りて、世界に真の調和をもたらします」


 深海の神秘的な光に包まれながら、物語は一つの区切りへと向かおうとしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ