表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/22

神殿の決戦


 アーテミス軍800名が『創造の神殿』遺跡の10km地点に到達したのは、3日目の夕刻だった。


 戦術支援装置の画面には、三軍の最新配置が表示されていた。


【三軍配置状況 - 決戦前夜】

- サンクトゥス軍:遺跡中心部に3,000名展開、魔導戦車20台で外郭防御

- ガルディア軍:遺跡北側3km地点、1,200名で待機

- アーテミス軍:遺跡南側10km地点、800名


「予想通り、サンクトゥス軍が先に遺跡を占拠しています」


 ガレスが望遠鏡で敵陣を確認しながら報告した。


「魔導戦車による重厚な防御陣形。正面突破は困難です」


 ウォルター・オールドガード大佐が戦術分析を行った。


「しかし、彼らには弱点があります。遺跡の保護を最優先としているため、機動的な戦術が取れません」


 アリアは戦術支援装置を操作しながら作戦を立案していた。


「ガルディア軍との連携が鍵になります。フランシス・ニュートラルを通じて、最終調整を行いましょう」


---


 中立商人フランシス・ニュートラルが、ガルディア軍司令部からの最新情報を持参した。


「王女殿下、皇帝カール・アイゼンハルトから直接の伝言があります」


「どのような内容ですか?」


「『アーテミス王国の若き指導者の手腕を信頼し、共同作戦の総指揮を委ねたい』とのことです」


 この提案にアリアは驚いた。敵国の皇帝が、17歳の王女に作戦指揮を委ねるという前例のない決断だった。


「なぜ私に?」


「皇帝陛下の言葉をそのまま伝えます。『新しい時代には新しい指導者が必要だ。古い戦術に固執する我々よりも、革新的思考を持つ王女殿下の方が、この困難を乗り越えられる』」


 ガレスが懸念を示した。


「姫様、これは重大な責任です。失敗すれば両国の命運が...」


「受諾します」


 アリアが即答した。


「800名の部下だけでなく、ガルディア軍1,200名の生命も預かる覚悟はできています」


【連合軍総指揮官就任】

- 総兵力:2,000名(アーテミス800名 + ガルディア1,200名)

- 指揮系統:王女アリア・フォン・アーテミス『少佐』(連合軍総司令官)

- 副指揮官:ガルディア軍ヴォルコフ将軍、アーテミス軍ウォルター大佐


---


 夜、アーテミス軍とガルディア軍の合同司令部が設営された。


「皆さん、明日の作戦について説明します」


 アリアが戦術ネットワーク・システムを起動した。巨大なホログラム・マップが現れ、2,000名の兵士の配置がリアルタイムで表示された。


「作戦名『神殿奪還』。目標は、サンクトゥス軍の撃退と古代技術の保護です」


 ヴォルコフ将軍が確認した。


「王女殿下、我がガルディア軍は重装歩兵戦術が得意です。どのような役割を?」


「ガルディア軍には正面からの陽動攻撃をお願いします。サンクトゥス軍の注意を引きつけ、主力を正面に集中させてください」


「陽動ですか?」


「はい。その間に、アーテミス軍が西側から奇襲をかけます。新装備により、魔導戦車を無力化し、遺跡への突入路を確保します」


 ウォルター大佐が補足した。


「統合戦術により、ガルディア軍の重装歩兵とアーテミス軍の機動部隊を効果的に連携させます」


【作戦『神殿奪還』詳細】

- 第1段階:ガルディア軍1,200名による正面陽動攻撃

- 第2段階:アーテミス軍新装備部隊による西側奇襲

- 第3段階:遺跡内部への同時突入、古代技術の確保

- 第4段階:サンクトゥス軍の完全撃退


---


 作戦会議後、アリアは各部隊の巡回を行った。


 しかし、戦術支援装置に新たな脅威が表示された。


「姫様、大変です!サンクトゥス軍に追加戦力が確認されました!」


 ガレスが血相を変えて報告した。


「何が見えますか?」


「飛行船10隻が遺跡上空に到達しています!魔導装甲を施した巨大な戦艦です!」


 戦術支援装置の画面には、恐るべき光景が映し出されていた。


【サンクトゥス軍 真の戦力】

- 地上部隊:3,000名(魔導装甲兵、重装歩兵)

- 魔導戦車:20台(殲滅魔法搭載型)

- 魔導飛行船:10隻(空中要塞、500名搭乗)

- 特殊部隊:テクノス・アルカナ装備300名


「総戦力は推定4,000名を超えています」


 ウォルター大佐が厳しい表情で分析した。


「飛行船からの空爆により、地形的優位も無効化されます」


「これは...想定を大幅に上回る戦力です」


 しかし、このような絶望的状況でこそ、アリアの真価が発揮される。


【アーテミス軍の状況】


 トム・ファーマーソンは、ジャベリンの最終点検を行っていた。


「王女様、ご苦労様です」


「トム、調子はいかがですか?」


「はい。飛行船が相手でも、ジャベリンなら対抗できます。弓矢で鳥を射落とすのと同じですから」


 ハリー・ソードマンは、若い兵士たちに経験を語っていた。


「30年間の戦闘経験から言えることは、武器よりも重要なのは『戦う理由』だ」


「敵が強大だからこそ、我々の結束が試される。王女様がおられる限り、必ず道は開ける」


 ジェームズ・ランサーは、愛馬の手入れをしながら呟いていた。


「空の敵には騎兵は無力かもしれません。でも、王女様の『鼓舞』を受けた今なら、地上戦で必ず勝利できます」


【ガルディア軍との融合】


 興味深いことに、ガルディア軍の兵士たちも変化を見せていた。


 ミハイル・ペトロフ軍曹がアリアに報告した。


「王女殿下、我が軍の兵士たちの士気が異常に高まっています」


「どのような変化ですか?」


「『アーテミス王国の慈悲』を直接体験した者たちが、他の兵士に体験を語っています。その結果、王女殿下への信頼が急速に広がっています」


 セルゲイ・モロゾフ大尉も、複雑な表情で状況を受け入れていた。


「王女殿下、私は長らく貴国を敵視していました」


「しかし、今回の共同作戦で理解しました。真の敵は他にある。あの空の悪魔どもです」


「明日は、全力で戦わせていただきます」


---


 深夜、『創造の神殿』で異変が発生した。


 守護者が緊急でアリアの元を訪れた。


「王女殿下、重大な事態です」


「何が起きているのですか?」


「サンクトゥス軍が遺跡内部の封印を破りました。古代技術が暴走状態に入っています」


 戦術支援装置の画面には、神殿周辺で異常な光が発生している様子が映し出されていた。


「どのような影響がありますか?」


「まず、遺跡周辺の魔力が10倍に増幅されています。サンクトゥス軍の殲滅魔法の威力も10倍になります」


 アリアは戦慄した。既に強力な殲滅魔法が、さらに10倍の威力となれば...


「しかし、同時に我々にも機会があります」


 守護者が新たな装置を取り出した。


「『古代共鳴装置』です。古代技術と同調することで、テクノス・アルカナの真の力を一時的に使用できます」


【緊急提供装備】

- 古代共鳴装置:テクノス・アルカナ技術との完全同調

- エネルギー・バリア:殲滅魔法を無効化

- 時空間操作装置:限定的な瞬間移動

- 物質変換装置:敵装備の無力化


「ただし、使用には大きなリスクが伴います」


「どのようなリスクですか?」


「使用者の生命力を大幅に消耗します。最悪の場合、命に関わります」


 アリアは迷わず答えた。


「リスクを承知で使用します。2,000名の部下の生命と、大陸の平和のためなら」


---


夜明けと共に、史上最大規模の決戦が始まった。


【決戦開始 - 午前6時】


「全軍に告ぐ!」


 アリアの『女王の鼓舞』が2,000名の連合軍に響き渡った。


「今日この日、我々は歴史を作る!古代の叡智を守り、新しい時代を切り開くために戦う!」


『女王の鼓舞・連合軍バージョン発動』

- アーテミス軍:士気+100%、戦闘力+50%

- ガルディア軍:士気+75%、戦闘力+40%

- 連合効果:部隊間連携+60%


「ガルディア軍、第1段階攻撃開始!」


 ヴォルコフ将軍の指揮の下、ガルディア軍1,200名が正面から突進した。


 重装歩兵による盾壁形成、長槍による突撃、魔法部隊による支援攻撃—伝統的だが効果的な戦術展開だった。


「サンクトゥス軍、予想通り主力を正面に移動させています」


 戦術支援装置により、敵軍の動きを正確に把握できた。


「第2段階開始。アーテミス軍、西側奇襲攻撃!」


---


 アーテミス軍の新装備部隊100名が、サンクトゥス軍の西側防御線に接近した時、空からの脅威が現実化した。


「上空に敵影!魔導飛行船3隻が我が軍上空に到達!」


 巨大な影が地上部隊を覆った。魔導飛行船は全長200メートルを超える空中要塞で、魔導装甲に覆われ、無数の砲門を備えていた。


「爆撃開始!」


 飛行船から魔導爆弾が雨のように降り注いだ。


「散開!エネルギー・バリア展開!」


 アリアが古代共鳴装置を起動すると、光の障壁が爆撃を防いだ。しかし、バリアは限界があった。


「SA-16イグラで対空攻撃!」


「射程5kmでは飛行船に届きません!」


 従来の対空兵器では、高高度を飛行する魔導飛行船に対処できない。


 その時、トム・ファーマーソンが重要な提案をした。


「王女様!ジャベリンの射程は4.75kmです!角度を上げれば、飛行船に届くかもしれません!」


「やってみましょう!全ジャベリン部隊、対空射撃準備!」


【史上初の対空ジャベリン攻撃】


「目標、魔導飛行船!射角75度!」


「ロックオン完了!」


「撃て!」


 5発のジャベリンミサイルが、前例のない対空攻撃を実施した。


「命中!敵飛行船1隻に損害!」


 しかし、魔導装甲により致命傷には至らない。


「飛行船が高度を下げてきます!反撃の構えです!」


---


 空中戦と同時に、地上でも激戦が展開された。


「目標、魔導戦車10台確認!今度は重装甲型です!」


 ガレスがM134ガトリングガンを構えたが、敵戦車の装甲は前回より厚い。


「ガトリングでは貫通困難!ジャベリンでの精密攻撃が必要です!」


「ジャベリン部隊、対地攻撃に集中!」


 しかし、敵も対策を講じていた。


「魔導戦車が煙幕を展開!照準が困難です!」


「敵歩兵200名が突撃してきます!」


 サンクトゥス軍は空地連携により、連合軍を圧迫していく。


「M134ガトリング、敵歩兵を制圧!」


 毎分4000発の火力により敵歩兵を後退させたが、弾薬消費が激しい。


【戦闘開始30分後 - 装備消費状況】


| 装備名 | 初期弾薬 | 消費弾薬 | 残存弾薬 | 使用効率 |

|--------|----------|----------|----------|----------|

| M134ガトリング | 3200発 | 800発 | 2400発 | 対歩兵制圧 |

| FGM-148ジャベリン | 20発 | 5発 | 15発 | 対戦車・対空 |

| SA-16イグラ | 17発 | 3発 | 14発 | 対空攻撃 |

| ベネリM3 | 32発 | 8発 | 24発 | 接近戦 |

| M320グレネード | 50発 | 12発 | 38発 | 制圧支援 |


「このペースでは45分で主要弾薬が枯渇します!」


 ガレスの報告により、補給の重要性が浮き彫りになった。


「第6大隊、ドローン補給を実施!最優先はジャベリンとガトリング弾薬!」


【戦闘開始60分後 - 装備消費状況】


| 装備名 | 残存弾薬 | 戦闘継続時間 | 補給状況 |

|--------|----------|--------------|----------|

| M134ガトリング | 1800発 | 30分 | ドローン補給中 |

| FGM-148ジャベリン | 8発 | 15分 | 緊急補給要請 |

| SA-16イグラ | 9発 | 20分 | 補給不可 |

| ベネリM3 | 16発 | 25分 | 通常補給 |


「弾薬管理が戦闘の帰趨を決めます!」


---


 遺跡内部では、皇帝アウグストゥス・マクシミリアヌス自身が指揮を執っていた。


 彼の冷徹な瞳には、大陸統一への野望が燃えている。50年の人生で培った戦略的思考が、この瞬間に集約されていた。


「ドミニク、戦況報告だ」


「陛下、敵の抵抗は予想以上です。特にアーテミス軍の新装備が脅威となっています」


 皇帝の表情は微動だにしない。彼にとって、この戦闘は既に予想の範囲内だった。


「予想の範囲内だ。真の目的は戦術的勝利ではない」


「と言いますと?」


「古代技術の完全掌握だ。この戦いで敵軍を消耗させ、その間に『創造の神殿』の技術をすべて奪取する」


 皇帝の心中では、既に次の段階の計画が進行していた。彼が求めるのは単なる領土拡張ではない。古代技術による絶対的支配—それこそが真の野望だった。


「愚かな者どもは、目の前の戦闘に囚われている。だが、真の戦略家は常に10手先を読むものだ」


 ルシファー・ダークサイエンスが進捗を報告した。


「陛下、神殿の解析は70%完了しています。あと2時間で全技術の抽出が可能です」


「よし。防衛を強化せよ。敵がどれだけ抵抗しようと、時間は我々の味方だ」


 皇帝の真の狙いは、戦闘による勝利ではなく、古代技術の独占だった。彼の脳裏には、技術で武装した帝国軍が大陸を席巻する光景が浮かんでいる。


「1年後...我が帝国は真の覇者となる」


---


 遺跡の最深部で、アリアは最終的な敵と対峙した。


「ついに来たな、アーテミスの王女よ」


 ルシファー・ダークサイエンスが、古代技術に囲まれた神殿中央に立っていた。周囲には抽出された古代技術のデータが光の粒子として舞っている。


 彼の瞳には、狂信的な確信が宿っていた。支配者派の理念—「技術による世界の完全制御」への絶対的信念が、彼を突き動かしている。


「支配者派のリーダー、ルシファー・ダークサイエンス」


「この『創造の神殿』の技術により、我々は世界を支配する。君の小さな抵抗など、無意味だ」


 ルシファーの心中では、技術による理想郷の幻影が展開されていた。混沌とした世界を、完璧に制御された秩序で統一する—それが彼の使命だと信じ込んでいる。


「君のような甘い理想主義者には理解できまい。世界には指導者が必要なのだ。民衆は愚かで、自分では正しい判断ができない」


「既に技術の80%を抽出済みだ。君がここに到達したのも計算の内だ」


 ルシファーが古代装置を起動すると、神殿全体が異様な光に包まれた。


「『絶対支配システム』起動開始。あと30分で完了する」


「この技術により、大陸のすべての人間が『正しい道』を歩むことになる。争いも貧困も、すべて過去の遺物となるのだ」


 彼の表情には、歪んだ救世主願望が現れていた。技術による支配を、人類への慈悲だと本気で信じている。


 しかし、アリアには最後の切り札があった。


「守護者との協力、VRで習得した知識、そして仲間との絆—これらすべてが、私の力です」


 古代共鳴装置を最大出力で起動した。


---


「『創造の神殿』よ、本来の目的を思い出せ!」


 アリアの叫びと共に、古代共鳴装置が最大出力で作動した。しかし、その瞬間、アリアの身体に激痛が走った。


「うっ...!」


 古代技術との共鳴により、アリアの生命力が急速に消耗されていく。顔面が蒼白になり、手が震え始めた。


「王女殿下!」


 ガレスが駆け寄ろうとしたが、アリアが制止した。


「大丈夫です...これくらいの犠牲で、皆を守れるなら...」


『創造の神殿』は本来、技術を悪用から守るために建設された施設だった。支配者派による強制的な抽出は、システムの本来の目的に反していた。


「何だと!?技術抽出の進行が停止した!」


 ルシファーの計画に亀裂が生じ始めた。


「古代技術は、正しい心を持つ者にしか従わない。貴方のような支配欲に満ちた者には、決して全てを明かさないのです」


 アリアの声は弱々しかったが、決意は揺るがなかった。


「愚かな!我々は既に80%を奪取した!残り20%など些細な問題だ!」


「いえ、その20%こそが最も重要な部分です」


 神殿の自動防御システムが、支配者派の技術抽出を妨害し始めた。


 しかし、古代共鳴装置の使用により、アリアには深刻な後遺症が残った。


【古代共鳴装置使用の代償】

- 生命力消耗:全体の30%減少

- 魔力感知能力:一時的に50%低下

- 身体的疲労:回復に最低1週間必要

- 精神的負荷:判断力に軽微な影響


「姫様、古代技術の使用は大きな負担でした」


 ガレスが心配そうに見守る中、アリアは膝をついた。


---


 激戦の末、連合軍は局地的な勝利を収めた。


【戦闘結果】

- 魔導飛行船:2隻撃墜、1隻損傷撤退

- 魔導戦車:8台撃破、2台撤退

- 敵歩兵:約800名無力化

- 古代技術抽出:80%で停止、完全掌握阻止


 しかし、サンクトゥス軍は組織的撤退を開始した。


「皇帝陛下より全軍に指示。『第一段階作戦完了、計画通り撤退せよ』」


 ドミニク・アイアンファイスト軍事顧問が冷静に命令を伝達した。


「技術の80%取得は大きな成果だ。残り20%は後日必ず奪取する」


 皇帝マクシミリアヌスは、決して諦めていなかった。


「これは戦術的後退に過ぎない。真の戦いはこれからだ」


「次回は、より強大な戦力で臨む。飛行船20隻、魔導戦車50台、そして抽出した古代技術を応用した新兵器をもって」


 ルシファー・ダークサイエンスも撤退しながら宣言した。


「王女よ、80%の古代技術により、我々の力は数倍に増大する」


「次に会う時は、貴様の『女王の鼓舞』など無力化してみせる」


---


 戦闘終了後、三国の関係に変化が生まれたが、完全な解決には至らなかった。


【アーテミス王国 - ガルディア帝国】


 皇帝カール・アイゼンハルトから公式メッセージが届いた。


「アリア・フォン・アーテミス王女殿下、貴女の指揮の下で戦えたことを光栄に思う」


「サンクトゥス帝国の脅威が明確になった今、両国の協力は不可欠だ。軍事同盟の締結を提案したい」


 セルゲイ・モロゾフ大尉も、完全に心境が変化していた。


「王女殿下、真の敵を見誤っていました。サンクトゥス帝国こそが大陸の脅威です」


「今後は、両国の防衛協力に全力を尽くします」


 ミハイル・ペトロフ軍曹は、危機感を表明した。


「敵は80%の古代技術を奪取しました。次の攻撃はより深刻になるでしょう」


【サンクトゥス帝国の継続的脅威】


 皇帝マクシミリアヌスからの最後通牒が届いた。


「アーテミス王国、ガルディア帝国両君主へ」


「今回は戦術的後退を選択したが、我が帝国の野望は不変である」


「古代技術による新時代の構築—これが我が使命だ」


「次回の侵攻時には、貴国らに勝利の可能性はない」


 この宣言により、大陸全体に緊張が走った。


---


『創造の神殿』での戦闘は、アーテミス王国とガルディア帝国に一時的勝利をもたらしたが、根本的解決には至らなかった。


【ケントフィールド農民問題の具体的改善】


 戦争による特需と、VRで獲得した経済支援14,800金貨により、農民支援制度が大幅に拡充された。


「王女様、緊急雇用制度により350名の雇用を創出できました」


 トーマス・メッセンジャーが詳細な報告を持参した。


【支援効果の具体的データ】


| 対象農民 | 人数 | 支援内容 | 月収変化 | 満足度 |

|----------|------|----------|----------|--------|

| 困窮農民(高齢) | 200名 | 軽作業雇用 | 5→15金貨 | 85% |

| 困窮農民(若年) | 150名 | 技術習得支援 | 8→25金貨 | 90% |

| 成功農民 | 150名 | 税制優遇 | 80→85金貨 | 70% |

| 中間農民 | 850名 | 低利融資 | 20→30金貨 | 75% |


「困窮農民1,350名のうち、800名が新制度の恩恵を受けています」


「地域内格差は依然として存在しますが、暴動リスクは大幅に低下しました」


 ジョン・アングリーも建設的な変化を見せていた。


「王女様、私たちは『施し』ではなく『働く機会』を得ました。これこそが尊厳ある解決です」


 経済支援の効果は、農村部全体の安定化に寄与していた。


【都市部への波及効果】

- 商業活性化:農村購買力向上により都市商人の売上15%増加

- 技術普及:農業技術改良により関連職人の需要拡大

- 社会統合:階級間対立の緩和、協力意識の向上


【急進派の完全統合】


 マーカス・レボリューションが、国防協力委員会で重要な宣言を行った。


「王女殿下の経済政策により、我々急進派の要求の80%が実現されました」


「サンクトゥス帝国の脅威に対し、階級闘争ではなく国民統合こそが必要です」


 サラ・フリーダムも具体的な変化を報告した。


「我が父も新制度により職を得ました。王女殿下への信頼は絶対的です」


【ブルーノ派の完全孤立と社会復帰】


 一方、ブルーノ・レイジの極端な主張は完全に支持を失った。


「敵の飛行船を見て、ブルーノの支持者も現実を理解しました」


 マーカス・レイノルズが報告した。


「彼の『外国依存』批判など、あの巨大戦力の前では無意味です」


「ブルーノ本人も、ついに投降しました。『王女の勝利を認める』と」


 ブルーノ派の脅威は事実上消滅し、完全な国内統一が実現された。


---


 戦後、VRアーティファクトに重要な変化が現れた。


「姫様、VRシステムに緊急解放シナリオが追加されています」


 ガレスが緊張した表情で報告した。


「どのような内容ですか?」


「『Future Warfare - Advanced Enemy Response』です。敵の技術進歩に対応した防衛戦術の習得が可能です」


【緊急解放シナリオ群】


『Anti-Aircraft Warfare - Flying Fortress Battle』

- 習得可能戦術:大型飛行船との空中戦

- 装備連携:ジャベリン対空射撃の精度向上(命中率+40%)

- 現実応用:次回の魔導飛行船30隻への対処法


『Technology War - Counter Intelligence』

- 習得可能戦術:敵の技術情報収集、技術的優位の維持

- 装備連携:古代技術と現代兵器の効率的融合

- 現実応用:支配者派の新兵器への対抗策開発


『Coalition Command - Multi-Nation Crisis』

- 習得可能戦術:複数国との軍事協力、国際政治と軍事戦略

- 装備連携:統合指揮システムの効率化(部隊連携+60%)

- 現実応用:二国軍事同盟の実戦運用


「これらのシナリオクリアにより、具体的な戦術改善が期待できます」


【VR訓練と現実戦術のリンク例】


| VRシナリオ | 習得技能 | 現実への応用 | 期待効果 |

|------------|----------|--------------|----------|

| 飛行船戦闘 | 対空戦術 | ジャベリン精密射撃 | 命中率40%向上 |

| 技術戦争 | 情報戦 | 敵技術の無力化 | 装備優位確保 |

| 連合指揮 | 統合作戦 | 二国軍協力 | 連携効率60%向上 |

| 長期戦略 | 資源管理 | 弾薬・補給最適化 | 継戦能力2倍 |


「これらの訓練により、1年後の決戦では現在の3倍の戦術効率を実現できるでしょう」


---


 戦後、守護者がより深刻な情報を持参した。


「王女殿下、支配者派が80%の古代技術取得に成功したことで、状況は著しく悪化しています」


「どの程度の脅威ですか?」


「彼らは1年以内に、現在の3倍の戦力を展開可能になります」


 守護者が恐るべき予測を述べた。


「魔導飛行船30隻、新型魔導戦車100台、そして古代技術による『超兵士』1,000名」


「対抗手段はありますか?」


「あります。しかし、それには王女殿下の更なる成長が必要です」


 守護者が新たな装置を提示した。


「『テクノス・アルカナ上級継承者の試練』です。これを乗り越えれば、古代技術の真の力を使用できるようになります」


【上級継承者への道】

- 物質完全変換技術:あらゆる物質の創造・変換

- 時空間完全制御技術:大規模な時間・空間操作

- 生命力強化技術:軍隊全体の能力底上げ

- 情報完全制御技術:敵の技術を無力化


「ただし、これらの技術習得には大きなリスクが伴います」


「どのようなリスクですか?」


「失敗すれば、王女殿下の生命に関わります。そして、習得には最低でも1年の修行が必要です」


---


 戦闘終了から1ヶ月後、アーテミス王都では重要な会議が行われた。


【二国軍事同盟締結式】


 アリア・フォン・アーテミス王女とガルディア帝国皇帝カール・アイゼンハルトが、正式な軍事同盟に調印した。


「今日この日をもって、両国は共通の脅威に対し、共同で対処することを誓います」


 アリアが宣言した。


「サンクトゥス帝国の次回侵攻に備え、統合防衛体制を構築いたします」


 しかし、皇帝カール・アイゼンハルトの表情は厳しかった。


「王女殿下、我々の時間は限られています」


「敵は古代技術により、我々を遥かに上回る戦力を準備中です」


「1年後の決戦では、現在の戦力では勝利は困難でしょう」


 民衆は歓喜の声を上げたが、指導者たちは来るべき試練を認識していた。


「王女様、勝利を!」


「同盟万歳!」


「平和を守ってください!」


---


 式典後、アリアは一人で執務室にいた。


「救国は達成しました。しかし、これは始まりに過ぎません」


 VRアーティファクトと守護者の装置を見つめながら、自分の使命を再確認していた。


【達成事項】

- 国家危機からの脱出:三重の試練克服、政治的統一

- 軍事的成長:VR技術習得、大規模戦術指揮能力

- 外交関係構築:ガルディア帝国との同盟締結

- 内政改革推進:社会問題の段階的解決


【課題】

- サンクトゥス帝国との長期対決:古代技術を駆使した大規模戦争

- テクノス・アルカナ上級技術習得:生命を賭けた修行

- 統合防衛体制構築:二国軍事協力の実現

- 新時代の統治システム:古代技術と現代統治の融合


「民の幸福と大陸の平和—それが私の使命です」


「しかし、今度の敵は今までとは比較にならない強大さです」


 窓の外では、王都に平和な夜が訪れていた。しかし、遠い空の向こうでは、サンクトゥス帝国が復讐の準備を進めている。


「1年後...私は必ず、この大陸を守り抜きます」


 VRアーティファクトと古代技術、そして仲間との絆—これらすべてを結集し、最終決戦に臨む準備を始めなければならない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ