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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

【GL】第2ボタン

作者: 星見守灯也
掲載日:2024/05/16

 卒業式、好きな人の制服の第二ボタンをもらう。

 そんな風習を聞いたのは祖母からだったか。

 学ランからブレザーに変わったのもずっと前、まさか今でも残っているとは。



 そう、ぼんやりと思った。

「あのう、ダメ、ですか?」

 私の目の前にいるのは同学年の女の子だった。

 クラスが違うから遠目から見たことがあるくらいの。

「いや、私、女だし……」

「いいんです。あなたの第二ボタンが欲しいんです」

 そういうものなんだろうか。

 たしかに私も憧れた。

 でも、この地方では桜には早く、冷たい風の中の卒業式。風情がない。

「……まあ、いいけど」

「ありがとうございます!」

「あー……まって、でも」

 彼女は不安そうな顔になって私を見る。

「それなら、交換ってことにしない? 私も、欲しいし」



 貰っちゃった。憧れの第二ボタン。

 私は部屋に飛び込むなり、ポケットから真鍮のボタンを出してみた。

 三年間。

 三年間、このボタンはあの子と共にあった。

 それがなんで今、私の手にあるんだろう。

「名前、聞かなかったなあ。……あ、この子だ」

 貰ったばかりの卒業アルバムを持ってきて探すと、同じ顔があった。

 二つ隣のクラスの子。写真より少し髪が伸びているだろうか。

「どこの高校行くんだろ……」



 高校の入学式、私は髪をシュシュでまとめていくことにした。

 市販のシュシュに糸であのボタンを縫いつけてみたのだ。

 裁縫なんて小学校以来で、あちこち糸がもつれてしまっている。

 でも、ボタンがついたことが嬉しかった。

「あれ?」

 クラス発表の紙には、彼女の名前もあった。

 教室に行くと、そこにはすでに彼女が着座している。

 その頭に、かわいいリボンが付いていた。

 派手ではないが、おしゃれだ。そこに金に光るボタンが下がっていた。

 え、あれって……。

「お、おはよう……」

 彼女は私を見て、控えめに挨拶をした。

「おはよう。同じ高校だったんだね」

「は、はい」

「えっと、そのリボン……」

「あ、その、自分で作ったんですけど、これは……」

 そっか。

「すごいね、とってもかわいい」

 そう言うと、彼女は顔を赤くした。私はシュシュを外して見せた。

「私もね、これ、つけたんだけど……」

「え?」

「よければ、私にお裁縫おしえてくれる?」

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