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生に従う者  作者: 異音
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第一話

※「僕はダレ?」と平行して更新したいので、同じく亀更新になると思います。

その時はいきなりやってきた。


いつもの平凡な日々に発生した人間の悲劇。それが始まりだった。


真夜中。いつもの部屋でいつものベッドでいつもの様に寝ていた。違いがあったとすれば珍しく窓を開けっ放しにして寝た事くらいだった。


ガタッガタガタガタガタガタッ


グアアアアァァァ


真っ暗な家の中で響いた突然の物音と、人が慌ただしく動き回る音。人なのか獣なのか区別の付かない唸り声。ただただ驚いた。何か動物が家に入り込んだのかと。


「親や姉が大変な目に合ってるかもしれない。」


そう思い急いでベッドを起きて音の聞こえた方向へ向かおうとする。それが失敗だった。部屋のドアを開けた瞬間、眼球が取れたソレと目が合った気がした。


見覚えのある顔だったけど、いつもの楽しそうに笑ったり叱ってくれる表情の面影すらなかった。目玉は無くなり、口から大量の血を流しながら呻き声を挙げるソレ。


しかし髪や服装、身長から自身の母親だって事に気が付いた。


何かの酷い悪夢なのかと思った。先日友人に聞いた明晰夢とやらかと思った。


それはそうだ。だって誰も家族がゾンビ映画のバケモノになって襲ってくるだなんて予想出来る筈が無いから。だから噛まれて血を吸われ、肉を喰いちぎら、指の爪で片目を潰されても何も出来なかった。


反応出来なかったんだ。予想外過ぎた光景のせいで。


気が付くと痛みが体中に走った。噛まれてる感触が二か所だって事に気付いて、父さんか姉さんもバケモンに仲間入りしただろう事が予想出来てしまった。


もうどうにもならない。ここで死ぬんだ。そう絶望する中で意識が遠のいて…………。





◆□◇■◆□◇■◆□◇■






あれから四日が経ったと思う。正確には分からないけど。


少なくとも意識がある内に太陽が四回出てきては沈んでを繰り返したってだけで。家族に襲われて意識を手放したあの日の夜からカレンダーは愚か、時計を一度も見る事が出来ていないんだ。


そんな状況で何をしているかというと、腐った首をなんとか支えて生き人を探して彷徨っている。何をバカな事をって思うかもしれないけど、それ以外に今の状況を説明できる言葉が思い浮かばない。


家族に襲われたあの日から何故か意識が残っている。しかしながら、身体は言う事を聞いてくれたりはしない。ゲームで例えるならキャラクターが勝手に動くムービーを自動再生で流されていて、スキップ出来ない感覚だ。それが延々と続いている。


周りを一緒に彷徨っている元人達もそうだろうかと考えたけど、確かめる方法なんて無い。こんな状況だから何度意識が暗転しそうになった事か。でもそれを許してしまったら戻って来れない気がするんだ。


意識を保つのが辛い。先ほども言ったけど身体はずっと生き人を探して彷徨っている。


人を見つけては他のゾンビ――――亡者と一緒になって走って行き、捕まえて喰らう。運が良ければソイツも仲間入りするけど、悪ければ肉塊一つ残らない。


子供に覆いかぶさって守ろうとする大人を見かけたけど、そんな行動に意味なんて無い。子供を守った自身がその子を喰らう事になるのだから。


もう何人の一部を喰らったか忘れた。

非現実的で人間味が無い、恐怖がストレスの光景にただただ意識を逸らしたい自分が居る。

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