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第8話 最強 閻滝九愚未

初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。

この物語は前日談です。

本編は漫画でかこうと思ってます。

コメント、評価、拡散の方是非お待ちしています!

Xとインスタのフォローよろしく!

そこは真っ白な世界で漫画などでよく見る精神世界のように何も無いところだった。


「…よつは?よつはだよな?」


目の前には俺と同じ16歳、年相応の背丈をしたあの時に死んだはずの”戸廻とまわりよつは”がいた。


「…久しぶりだね、あっくん。」


しかし、彼女の目の周りには黒いモヤがかかっており口元だけしか見えない状態だった。

だが、姿は確実によつはだった。


「な、なんで…!?」


圧彦は驚きを隠せていなかった。


なぜならよつははあの時確実に死んでいた。

死んだと思っていたとかではなく事実だ。

葬式もした、よつはの家族は泣いていた。

けんくんも全身やけどで未だに入院している。

紛れもない事実があるはずだ。


「あっくん。」


彼女からその名前を呼ばれハッとする。


「なんで?、って思ってるよね。」


「…そりゃあ。」


「顔に出てるよ、すっごく。」


「…」


「…抱きしめてあげよっか、あっくん?」


「え?」


「はい、来ていいよ。」


そういうとよつはは両手を広げて迎え入れる体制をつくる。


「じゃ、じゃあ…」


なんの抵抗もなく圧彦はよつはへ向かっていく。


「…?」


が、圧彦はよつはの体をすり抜ける。


「…え?」


「フフン、そういうことだよ。ここは現実じゃない。」


よつはは後ろを振り向き俺に向かって笑いかける。


「じゃあ、どこ?」


「…さぁね、知らない。あっくんが自分で答えを見つけてみたら?」


「そう…」


「あ、そうそう。一つ言いたいことがあって。」


よつはは不意にそう言う。


「…何?」


「あっくんの力はそんなもんじゃないよ。」


その言葉がなぜか耳に残る。


「…へ?」


「…魔法のことだよ。まだまだ強くなれるってこと。」


そういったよつはの口元は微笑んでいた。


「強く…?…てかなんでよつはがそのことを…」


するとよつはの体にノイズがかかりだす。


「あっちゃー…もう時間か。早かったな。」


「へ、時間って?」


よつはの腕や足にまでノイズがかかりだす。


「ごめんね、あっくん。時間だ。」


「え、えっ?」


「またね、あっくん。」


急に僕の周りが黒い世界になる。

よつはがいるところは白い世界になっていて俺がいる場所とは対称的だ。


「待って、よつは!!!」


足元の黒の世界へと吸い込まれていく。


「”私はいつでも見守ってるからね。”」


その言葉が妙に頭に響く。


それを最後に俺の意識は遠のいていくのであった。




「圧彦!!!」


「…大丈夫かー?」


礼奈と学長の声が聞こえる。


「よつ…は…?」


目を覚ますと礼奈と学長が僕の顔を覗き込んでいた。


「大丈夫か?一瞬気絶してたが…」


学長がそんな言葉を投げかける。


「…何があった…?」


そう言いながら寝転がっていた体を起こす。


「あの蛾の鱗粉だよ。」


学長がふとそんな事を言う。


「鱗粉?」


「あいつからあの輝く鱗粉があったろ。」


「あぁ、そういえば…」


「あれに錯乱作用があったんだよ。さっきお前はそれを思いっきり吸い込んでたからな、体が拒絶反応でも起こして気絶したんだろう。」


「あ、あの時…」


思い返せば目の前まで蛾に迫られた時確かに輝く鱗粉が自分の周りを舞っていた。

でもあの時のあれは…


「体は動かせるか?多少の回復はさせといたから大丈夫だとは思うけど。まだ終わってないからな。」


「え…?」


そういった学長が見つめる先には先程から戦っていた蛾がバサバサと飛んでいたのであった。


「…あいつまだ…!」


「でももう死にかけだけどね。見て、あいつの腹。」


そう礼奈が言うので見てみるとあいつの固い腹の外骨格にヒビが入っていたのであった。


「ヒビ…!!」


「圧彦が攻撃した時についたヒビだよ。あそこを狙えばコアが出てくるはず。」


「コア?」


「…」


そう聞き返すと礼奈はまた学長を睨みだす。


「…すまん、伝えてなかった。あの蛾、怨霊っていうんだけど。その怨霊ってやつらにはコアってのがあってな。私らで言う心臓の役目をしてるやつがあるんだ。まぁざっくり言うとコアを狙うと大ダメージ、破壊できれば討伐できるってことだ。ま、あとは自分たちで考えろ。」


「また投げやりだよ…。」


礼奈は呆れ気味にそう言う。

俺もちょっと礼奈の気持ちがわかってきたかも…。


「ま、とりあえず。私が考えてることはもっかい圧彦があの攻撃をすればコアが出てくるんじゃないかってこと。コアの破壊は私に任せて。できる?」


「わかった。やってみる。」


上半身だけ起こした体を立ち上がらせ、少しあの蛾へ近づく。


「ブワァァァァァア!!」


蛾は俺に対して威嚇をする。

が、先程のような気迫は感じられない。

やはり礼奈の言った通り瀕死なんだろう。


「集中…」


もう一度同じように魔法を放つ。


「ギュヲワァァァァァ…」


バキバキと音を立て固い外装が崩れ落ちる。

それと一緒に内蔵が潰れてしまったのだろう、緑色の液体がやつの体から吹き出す。


「あれが…!!」


崩れ落ちた外骨格から内蔵と一緒に見えてきたものは丸いきれいな球体のものだった。

たぶんあれがコアというものなんだろう。


「圧彦どいて!」


そう礼奈が言うので場所を開け、礼奈の方を振り返ると礼奈の指先に雷が集中する。


「今度こそ。電撃光線スパーク・レイ!!」


眩い光があたりを包む。


「まぶしっ!」


礼奈から放たれた黄緑色の雷は一直線にコアに向かって行く。


パリイィィィィィィン


その雷直撃するとガラスが割れるような音とともにコアが粉々に砕け散った。

それと同時に蛾の体がチリとなって消えていく。


「倒した…!」


「よし、おわり〜!さ、お買い物行こ〜。圧彦も来る?案内してあげるよ。」


礼奈は緊張が解けたのか伸びをしながら呑気にそんなことを言う。


「よーし、よくやった。あとの諸々の手続きとかは南がやってくれるから帰ったら好きにしていいぞ。…ん?」


「どうかしました〜学長?」


学長が感じたその違和感は的中するのであった。


ヒュッ


「!!」


「っ!!」


「ん」


その瞬間、俺達の体に蜘蛛の糸のようなものが絡みつく。


「なんだこれ!?」


「抜けない!!かまいたち!!…切れない!?」


礼奈は放電したり風で糸を切るが切ったそばから糸が絡まっていく。


「まさか、あいつがやられるとはな。」


絡まっている糸の出どころから低い声が聞こえる。


「わしの力を与えてやっていたのに…情けない。所詮蛾の怨霊はどこまでいっても蛾か。」


暗闇から先程の蛾の怨霊よりも巨大な蜘蛛が現れる。

先程の蛾とは比べ物にならないほどの威圧感を感じる。


「なんで、こんな化け物が…」


礼奈も思わず青ざめてしまう。


「なるほどな、あいつがあれほどの被害を出せるやつじゃないと思ったら…そういうことか。」


学長が嫌な威圧感を出しながらそう喋る。


「学長!」


「大丈夫だ、礼奈。こいつは少し厄介な相手だ。私一人で十分だ。」


そう言うと学長の周りに巻き付いていた蜘蛛の糸が溶け落ちていく。


「ほう、わしにたてつこうと?女、死んでも知らんぞ。」


蜘蛛は自信有りげにニヤリ笑みを浮かべる。


「はっ。誰に向かって口答えしてんのかわかってないようだな。」


学長はそう挑発をするように、煽り口調で言う。


「貴様こそ!死んで詫びろ!!」


蜘蛛も煽り返すようにそう言う。


「死ぬのはそっちだ。私の強さを見抜けていない時点でお前は負けてるんだよ。」




第8話 最強さいきょう 閻滝九愚未えんだき つぐみ




学長はふわりと浮き上がり蜘蛛を見下ろした。


「あっと、そうだ。人質取られてちゃまずいよな。」


そう言ってパチンと指を鳴らすと俺達に絡まっていた糸が消えてなくなる。


「新入りがいるからな。少し見せびらかさせてもらうよ。」


不敵な笑みを浮かべると何を思ったのか学長は再び地に足をつける。


「ま、その前に一応な。」


そう言って学長は俺と礼奈を取り囲むように透明な壁を作ってみせる。


防御壁シールドか…ま、いいだろう。どうせ貴様を殺せばその防御壁シールドも解かれるからな。それに、その防御壁シールドのせいでお前の術は見破られたも同然。そこまで煽っておいてこの程度の対策とは…ハッ、笑えるな。後悔しても知らんからな。」


その蜘蛛は、悠長にそう言葉に込めた怨念を吐き散らす。


すると、学長はハッと笑い、蜘蛛を見下すようにしてそう口を開く。


「これが、私の術だって?笑えるな。やはり、お前はその程度なんだな。」


「なんだとっ!!」


「いや、お前がこの目の前の起こっている状況でしか判断しねぇちっぽけな脳みそしか持ち合わせてないんだなって笑ったんだよ!」


学長はニヤニヤと笑いながらそう煽る。


「っ!!貴様!!!このワシをどこまで愚弄すれば気が済むのだ!!!馬鹿にするのも程々にしろよ!!!」


「だ~か~ら~、言ってんだろ。お前は弱いって。」


「貴様!!!!!」


蜘蛛が先程とは比べ物にならないほどの怒りのこもった怒声を学長に浴びせる。


(いくらなんでも煽り過ぎじゃ…)


「こい、お前の全力を見せてみろ。じゃないと、死ぬぞ。」


学長は余裕そうな笑みを浮かべて相手をあざ笑うかのようにそう言った。


「小癪な!!!!」


蜘蛛は怒り狂ったようにそう言った。


蜘蛛檻こくしさろう!!!」


口からクモの巣状の糸を吐き出し学長の周りを取り囲む。


蜘蛛切くもぎり!!!」


続けて学長に向かって無数もの蜘蛛の糸が刃のように襲いかかる。


「ふっ。」


そんな中、学長は笑っていた。


「何がおかしい!!!!」


「その程度か。」


学長はそう嘲笑う。


すると学長を取り囲んでいた無数の糸が弾け飛ぶ。


「なに!?」


蜘蛛はその様子に驚きを隠せない。


「だーかーら、弱いっつってんだろ。最大火力だせよ、持ってんだろ!!とっておき!!!」


そう学長は煽る。


「煽り過ぎじゃ…。」


「まぁ、大丈夫でしょ。学長だし。」


学長が作ってくれた防御壁シールドの中で礼奈とそんな話をする。


すると蜘蛛が怒り狂い罵声を浴びせるように魔法を唱える


「死ノデス・スレッド!!!」


無数の蜘蛛の糸が学長を全方向から襲う。


「そんなものか、もういい。飽きた。」


そうなにかの糸が切れたように真顔になった学長がそう言うと、学長の手のひらに糸が集まっていく。


黒闇ブラックホール。」


「!!わしの糸が…」


その様子に、蜘蛛は驚愕していた。


「お前にしては強かったじゃないか。何があったか話してもらうとしよう。」


「なにっ!?」


学長はそう見通したように言うと手のひらから黒い雷を放つ。


「地獄のヘル・サンダー。」


手のひらから放たれた黒い雷は蜘蛛に直撃し気絶させた。


「つ、強っ…」


「あんな化け物を…」


そんなことを言っていると目の前の壁が消えていく。


「な、言ったろ。私一人で十分だって。」


学長はこちらに振り返り笑みを浮かべながらそう言った。




「さてと…吐いてもらおうか。君はどうしてこんなに強くなった?君は元々こんなに強くなかったろ。」


しばらくして蜘蛛が意識を取り戻すと学長がそんなことを言っていた。


「さっきから気になってたんですが…どういうことですか?」


「あ、私も気になってたー!」


「あー、それはな。私の直感だよ。」


「「直感?」」


「なんか気になってたんだよ。あの蛾も、お前も。魔力がびみょーに違和感があってな。誰か協力者がいんだろ。言え。」


学長はそう睨みつける。


「言うもんか。わしは仲間は売らん男でな。」


「そうか。なら無理やり聞くまで。」


そう言うと学長は指先で空をなぞる。

すると蜘蛛が吹っ切れたようにペラペラと喋りだす。


「あれは二週間ほど前じゃった。白髪の頬に黒い痣がある男じゃった…」


「…学長ってなんでもありだな。」

「ま、学長だし仕方ない。」




〜2週間前〜


「貴様がこの土地の主か。」


白髪の左頬に黒い痣がある男がそう言う。


「なんじゃきさま。人間ではなさそうだな…。まあ良い、わしの養分となるが良い。蜘蛛檻こくしさろう!!!!」


シーン


「…なに!?なぜだ、なぜ発動しない!?」


「無駄だよ。てか、お前弱すぎ。そんなんじゃただのお邪魔虫でしかないな。」


「なんじゃと!?」


「実際、手も足も出てないじゃないか。」


そう言い彼は蜘蛛を嘲笑う。


すると彼は嫌な威圧感を放つ。


「う、動けん…」


蜘蛛はその恐怖のあまり体を動かせなかった。

すると彼は蜘蛛へ近づき、自らの腕を浅く切る。


「近々”六道零ろくどう れい”と言う最強の人ならざる者が復活する。」


「六道零…!!」


「貴様も聞いたことはあるだろう。彼が復活すればすべてがひっくり返るさ。すぐに我々魔の時代がやってくるだろう。そこでだ。」


そう続けながら自分の腕から垂れている血を蜘蛛の口へ運ぶ。


「貴様ら怨霊にも我々に協力してもらいたい。六道様が復活するというのにこの程度であったら困るからな。」


蜘蛛がその血を飲み干すと体からみるみる力が湧いてくる。


「なんじゃこれは…。」


「魔族の血だ。それがあればさらなる力が引き出せるだろう。」


「ほう…魔族とな…」


「貴様がそれ以上知る必要はない。」


そう言うと彼は後ろへ振り返り歩き出す。


「ま、人を嫌う者同士仲良くしようじゃないか。」


すると蜘蛛の緊張が解け、動けるようになる。


「ま、待て!」


「今はまだ、準備段階にすぎん。」


その言葉がはっきりと聞こえる前に彼はその場から姿を消していた。





「…六道零ろくどう れい…か。」


学長はなにかを睨むようにそう言った。


「わ、わしが聞いたのはそこまでだ。知っている情報は全部伝えた!!だから命だけでも…」


「だめだ。許すわけ無いだろう。それに遭難者はどこにいる。まだいるだろ、私達が来る前にお前が捕らえた奴らが…」


そう学長が威圧すると、蜘蛛は焦ったようにそう続ける。


「ととと捕らえた奴らならあの奥に繭で捕らえてある!」


そう言うと蜘蛛は足で森の奥の方を指す。


「まだ消化しきれてない、一人も食っておらんわ!全員無事じゃ!だからな、せめて命だけでも…」


蜘蛛は早口でそう言い、命乞いをしてくる。


「だめに決まってるだろ。」


だが、学長はきっぱりとそう言った。


「そ、そんな…」


「もうお前と話す気も失せたわ。もういいや。じゃあな。」


そう言うと学長は後ろを振り返り俺等に向かってそう言った。


「じゃ、人質助けに行きましょーか。お前らの仕事はそこまでな。」


俺達の肩に手を置き、さっき蜘蛛が指した森の奥へ向かっていく。


「ま、待ってくれよ!!!命だけわぁぁぁぁぁアァァァァァァあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」


そう言っていた蜘蛛は急に青い炎で炎上しだす。


蜘蛛は瞬く間に灰になり、コアが砕けたのか塵となって消えていった。


学長はそれを気にもとめずそう言う。


「やはり、やつが来るのか…」


「六道零、ですか…」


学長と礼奈が二人でなにか納得している。


「なんですか、六道零ろくどう れいって?」


「…」

「…」


礼奈は呆れたように学長を見つめ、学長はそれを返すかのように諦めたような顔つきで見つめ返していた。


「学長、六道零教えてないはほんとにやばいと思うんですけど…」


「私もそう思う。」


「で、結局なんなんですか六道零ろくどう れいって!」


学長と礼奈は二人でなぜか納得していて俺だけ疑問が残るのであった。

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