第7話 初戦闘
初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。
この物語は前日談です。
本編は漫画でかこうと思ってます。
コメント、評価、拡散の方是非お待ちしています!
Xとインスタのフォローよろしく!
ズズズズズ
「…」
ズズズ
「…あの、学長?」
「なんだ?」
ズズズズ
「そろそろ魔法解いてくれません?」
「もう逃げない?」
「逃げません。」
「よし。」
そう言うと学長は礼奈にかけていた魔法を解き、背中を押すのをやめた。
「…早く見つかるといいなぁ。私ちょっとお買い物行きたい。」
そういうと礼奈はフラフラと歩き出す。
「この仕事が早く終わったらな。」
「…早く終わったら?」
「あ、これも言ってなかったか。この仕事は授業の一貫としてやってるんだがその仕事が終わってしまえば何か特別なことがない限り自由になる。これが終わったら実質放課後だな。」
「へぇ〜。」
「あ、でも学長この前…」
「…あぁ、この前のな。」
そう言うと学長はくすっと笑った。
「なんかこの前の任務でー、利奈と行ったんだけど。なんだったっけ、確かなんか擬態する虫の怨霊だったんだよね。そいつが全っっっっ然見つかんなくてさ。たしか4,5時間探したんだよね…。」
「4,5時間!?」
「最終的に見つかんなくて私に助けを求めに来たんだったな。」
「…あれは仕方ないですって。私達めっっっっちゃ頑張ったのに見つかんなくて利奈と相談して学長に電話したんですよ。ほんとこのまま帰れないんじゃないかってぐらい見つかんなくて…。」
「ははは。私がいてよかったな。私がいなかったら一生見つかんなくて森の中でその虫を探し続けてたかもしれんな。ま、それはたまたま見つけにくかっただけだ。普通はすぐに見つかるもんだからそんなに心配しなくていいぞ。」
「その件は例外ってわけですね。」
「そそ、例外。ほんとたまたまだ。」
そんな他愛もない会話をしていると学長が不意に足を止める。
「…噂をしていると、だな。ほらな。心配しなくてもすぐに見つかったろ。」
それに続いて礼奈も足を止める。
「…ですね。」
圧彦が不思議に思い不意に上を見るとそこには巨大な蛾が僕らを上から見下ろしていたのであった。
第7話 初戦闘
その蛾は5メートルほどありそうな巨体をしていた。
「さ、こっから私は何もしないからな。あとはお前たちで頑張れ。死にそうになったら助けてやるよ。…って大丈夫か?」
学長は目に入ってきたその光景に呆れ気味だった。
「な、なんだこれ!?!?」
圧彦はその見たこともない大きさの蛾の姿に驚きを隠せていなかった。
「うわっ、きしょすぎ!むりむりむりむり!!!!」
礼奈はそう悲鳴をあげながらも魔法を使って蛾に迎撃をする。
礼奈は右手を蛾に向けて挙げ、そこから魔力を解き放つ。
解き放たれた魔力は黄緑色の雷となり一直線に蛾に向かっていく。
「モルワァァァァァァア!!!!!」
蛾はその黄緑色の雷が当たる前にけたたましい叫び声をあげながら避ける。
その蛾が逃げた跡を辿るように輝く鱗粉が舞っていく。
「避けるな!!!」
礼奈は逃げる蛾を手で追いかける。
雷は礼奈が手を動かした方へ動いていく。
「おぉ、やるなぁ礼奈。頑張れー。ほらあっくんも頑張れ!今日学んだことを思い出せ〜!」
学長はそう楽しげに煽っていた。
「…残念ですが学長。圧彦の出番はないかと。」
真剣な顔付きになりそういうと礼奈はニヤリと笑う。
礼奈は雷を蛾に向けて集中砲火する。
「ブルワァァァア!!!!」
蛾はけたたましい叫び声をあげ、その雷を避ける。
「避けても追いかけるよ!!」
その向かってくる雷に対して蛾は飛び逃げ回る。
すると蛾が不意に後ろを向く。
「!?」
「!」
「?」
「ブオワァァァァァァァァア!!!!!!!!」
蛾はそう叫ぶと向かってきていた雷をかき消した。
「声でかき消した!?」
「ほー、なかなかやるなこいつ。」
礼奈が少し焦りを見せる中、学長はひとり呑気にそう言っていた。
すると礼奈がこちらに近づいてきてこう言う。
「圧彦、あいつのこと少し足止めできる?」
「足止め?…まぁ、できるけど…。」
「一瞬だけでもいいからやってもらえる?その一瞬で終わらせるから。」
「…わかった。」
「あいつの気を引き付けるから私があいつの裏に回った時に隙を作ってほしい、頼んだ!」
そう言い終わると礼奈は風を起こしながら蛾のもとへ飛んでいく。
「こっち見ろや虫!」
礼奈は一瞬にして蛾の目の前まで距離を詰め雷を直撃させる。
その雷で蛾は体がしびれてしまう。
「…やっぱ固いな…もう少し上げるか。」
バックステップで距離を取ると風の刃をいくつか発生させ放つ。
「かまいたち。」
風の刃が蛾に直撃し、体が切り刻まれる。
「やっぱ固いな…」
直撃はしたが、致命傷とまではいかない浅い傷だった。
「…圧彦!!」
雷でしびれ、風で切り刻む間に礼奈は蛾の背後まで回り込んでいた。
「…わかってるよ!」
手を蛾に向けて掲げ、魔力を集中させる。
その一瞬、圧彦は学長に言われたことを思い出していた。
集中して放った魔法が学長に直撃する。
「…いい出来じゃないか、圧彦。」
しかし学長は何食わぬ顔で姿を表す。
「…ただ、緊張しすぎだな。緊張のせいで狙いが定まってない。そんなに緊張してると実践だと当たらないぞー。」
「…はい。」
「いいか、リラックスだリラックス。力を抜くことを忘れんなよ。」
学長は僕の肩に手を置き、こう続ける。
「いいか、もう一度言うが忘れんなよ。大事な場面で外したら…どうなるかはわかるよな。」
学長は惹きつけられるように澄んだ水色の瞳で、そう言い聞かせるように睨みつける。
「…はい。」
緊張したらだめだ、リラックスだリラックス…
そう集中し放った魔法は蛾に直撃する。
「よし、当たった!」
バキィィィィィィイ
そう音を立て四枚あった蛾の羽のうちの二枚が折れる。
ピキッ
蛾の腹にある鎧のような外骨格にもヒビが入る。
「やるじゃん圧彦、想像以上。」
そう言うと圧彦が隙を作っている間に貯めていた魔法を放つ。
「雷撃光線!!」
そう放とうとした瞬間、再び蛾がけたたましい叫び声をあげる。
「…ぐっ!!」
至近距離でそれを浴びてしまった礼奈は思わずその魔法を中断し防御に徹する。
「…っ!!圧彦!!!」
「!!」
その一瞬で蛾は圧彦の目の前まで迫る。
すると蛾が羽をバタつかせ風を起こし、圧彦を閉じ込める。
その風と一緒に輝く鱗粉を舞わせ圧彦の周りを漂う。
「…やばい!」
礼奈は蛾が起こした風に負けないぐらいの風を起こし漂う鱗粉を振り払う。
「圧彦!!」
「っ!!圧彦!!精神魔法か!」
バタッ
鱗粉が振り払われ見えた時には圧彦はその場に倒れ込んでいた。
「…あっくん。」
…?
「…あっくん!起きてよあっくん!」
誰だ…?
「ハッ…!…よつは…?」
目を覚ますと圧彦の目の前にはよつはがいた。