第5話 魔術指導
初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。
この物語は前日談です。
本編は漫画でかこうと思ってます。
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「さて校庭に出てもらったが…今から何をすると思う?」
学長がおもむろにそういう。
「…なんでしょう?」
「わかんないかー、わかんないんだねー…そりゃそうか、わからんか。」
「煽ろうとしておいて自分で納得しないでください…で、何がしたいんです?」
「あー、それはだな…圧彦、お前に魔術を教えてやる。」
第5話 魔術指導
「圧彦今日はだな、午前に私と魔術の扱い方などの指導、午後に実践訓練だから。結構なハードスケジュールだけど頑張れよ!」
そう言いながら学長はにこにことしている。
「…はい。」
よくわかんないけど大変そうということだけはわかった。
「さ、魔術指導をやっていくとしよう。」
「あのー…その前にちょっといいですか?」
「ん、どうした?」
「あー…あのー自己紹介の時にみんながなんか術って言ってたじゃないですか。あれって何ですか?」
そう言うと学長はあっと驚いたような顔をする。
「あれー、言ってなかったっけか?
…知らないってことは言ってないってことだよな…まじか…」
「なにひとりで驚いてるんですか…?」
「いやーすまんすまん、私とした事が…うっかりしてたわ。じゃあそっからだな。」
そう言うと意気揚々と説明を始めだす。
「じゃあ圧彦、お前は魔法と聞いて何を思い浮かべる?」
「…魔法…火を使ったり…ですかね?パッと思いつくのは。」
「他には?」
「他…?他…水とか…あと…雷とか…あと風?氷とかもそうか…あとはドカァンと爆発したりだとか」
そんな事を言っていると学長が食い気味にそう言ってくる。
「今言ったやつ、全部あるぞ。」
「えっ!?…ってあれ?この話昨日もしたような…?」
「まぁな。大事なことだから2回言った。
そのうえでだ。君が今考えてくれた”魔法”は多種多様だ。時代によってもその形態は変化してきた。」
そう説明しながら学長は指先に炎を出す。
「炎を出すだけだった魔法は年月が経つにつれ火力が上がった炎が使えるようになったり。」
そう言い、炎を青くする。
「炎を自由自在に操りいろいろなものを形作ったり。」
炎を操り、お花を作って見せる。
「単に炎と言っても世界によってイメージしているものも違う。恐怖の対象だったり。」
学長は炎を黒くする。
「正義の炎だったり。」
炎が白くなる。
「炎と一文字で表せてもその形態は無数にあるのだ。」
そう言い終えると、その炎を消した。
「そんな様々ある魔法を名前付けるためにあるのが”術”だ。」
「…なるほど…」
「ほら、こーたの術、雷獣っていってたろ。その名の通りなんだよ。あ、ちなみにあやちゃん…」
「…あやちゃん?」
「…綾火な。綾火の術は操炎。さっき言った炎を操ってものを形作るのが得意だ。まぁ、あやちゃんの場合弓矢を作るのが得意らしいがな。」
「そうなんですね。」
学長は綾火先生のことをあやちゃんと呼んでいた。
大丈夫かこの人…。
「あいつあん時言わんかったからな。あやちゃんらしいっちゃあやちゃんらしいけど…。」
学長は腕を組み呆れたようにそういった。
「…そういえば…」
術の話をしていて、ふと疑問に思ったことがあった。
「なんだ?」
「学長の術ってなんですか?」
「…私の術か…」
そう言うと学長は少し妖艶にニヤつく。
「そういえば言ってなかったな。じゃあ逆になんだと思う?」
「えっ?…うーん、それは強いんですか?」
「あぁ、強い。」
「じゃあ…なにか強いと言われる所以は…?」
「…なーに探ってきてるんだよ。勘で当てろ勘で。」
「バレたか…」
「バレたかって…私にそんなもの通用すると思うな。嘘はバレるぞ。
…あー…ダメだ、発言一つ一つがヒントになってる…もう喋らんぞ。」
「発言一つ一つが…?」
「げ、勘づかれたか…」
「うーん…口にしたものが現実になる魔法?」
そう言うと、学長は難しい顔をする
「んー…まぁ、部分的にそうっちゃそう…でもないか…うーん、不正解。」
「違うのか…」
「もういいや答え言うぞ、私の術は”記憶集積”。端的に言えば最強だ。」
自信満々にそう告げる。
「…アバウトすぎません?」
「だってそうなんだもん。自他ともに認める最強だ。この世界で一番強い。あとでみんなに聞いてみろ、みんなそろって私のことを最強と言うだろう。」
学長は誇らしげにそう言う。
「…なんでそんなに強いんですか?」
「あぁ、強い。…私の術、”記憶集積”というのは私が見たり、聞いたり、読んだりした魔法、超常現象、超人的な能力を制限なく使える。そして一度覚えたものは忘れない。私の中にどんどん蓄積されていくのだ。
まぁ、あれだ。漫画とかでよくコピーの魔法使うやつがいるだろ。相手の魔法を自分のものにするやつ。」
「あー、いますね。」
「あれの制限が一切ないやつだと思えばいい。」
「…え、まじですか…」
「まじ。」
要するに、ある漫画の最強のキャラとそれとは別の最強のキャラの能力、どちらとも持っているということだよな…
「…強すぎじゃ…?」
「強いだろー!」
学長はえっへんと言わんばかりに腕を組んでそう言う。
「…まーとりあえず、私は何でもできると思っとけ。…そろそろ話を戻そうか。で、だ。君の術について話そう。」
「俺の…術?学長、俺も魔法が使えるんですか!?」
「あぁ、お前に術はあるんだが…話はまだだ。」
「ん?」
「…で、術ってのはな生まれつきの才能でな。生まれた瞬間から自分が術を持っているのかが決まるんだ。そして術は幼少期、遅くても小学校高学年頃に発現するんだが…」
「あっ…」
そう言われて自分でも気がつく。
「そう…お前が魔法を発現させたのは高校生になってからだ。今までの事例ではそんなことは1件もない。初の事例なんだ。」
「…なるほど。」
「なぜお前は16になってから魔法が発現したのか。そこは大きな謎だが…今はいいや。」
「いいんだ…。」
「ま、そんな話もありますよというだけだ。お前も早く魔法を使ってみたいだろ。」
「まぁ…そうですね。」
「だから今はいい。…じゃ、早速魔法を使ってみるか。」
学長はそう軽く言う。
「え…そんな簡単にできるもんなんですか…?なんかやってみようでやれる雰囲気出してますけど…」
「まぁ、センスと勘があればできる。」
「…そうなんだ…」
「じゃ、やってみよう。圧彦は一度魔法を使う感覚を経験してるからな。たぶんいける。」
「なんかてきとうすぎません…?」
「…いや、我々も魔法のことに関してはマニュアルがなくてだな。良くわかってないんだよ。だからこういう感覚的な教え方しかわからん。そういうもんだと思っとけ。」
「…あ、そうなんですね。」
「あれだ、考えるな感じろってやつだ。まず目を瞑ってみろ。」
そう言われたので目を瞑る。
「感じとれ。集中するんだ。第六感ってやつだ。気とかオーラとか言ったほうがわかりやすいか。」
集中して感じ取る。
深く深く意識を沈めていく。
「あの時に感じた感触を思い出せ。自分の魔力を感じ取れ!」
すると、なにかを感じ取る。
「…これは…!」
「きたか!それが魔力だ!」
学長はそう言うと笑みを浮かべながら続ける。
すると学長は僕の前に土を盛り上げ壁を作って見せる。
「さあ、それをあの壁に向かって放ってみろ!何が起こる!?」
そう言われると、圧彦はだんだんと集中を解いていった。
「…どうした?放ってみるだけだぞ、難しいことじゃないぞ。」
圧彦は少しうつむく。
「…その、使ったらまた暴走するんじゃないかって…あの時も暴走したからああなったんですよね。」
そう言いながら、あの時のことを思い出す。
思いがけなく発動された魔法は奇しくも圧彦のクラスメイトがいたあの教室全体を巻き込んだ。
あの場にいた生徒と教師の40名は帰らぬ人となってしまった。
「もう二度と、あんなことは起こしたくない。
…だから」
「だから魔法を学ぶんだろ。もう二度と、ああならないように。」
学長がそう口を挟んでくる。
「大丈夫だ、なにがあっても私は死なない。安心して思いっきり放ってみろ。」
そう言う学長からは妙な安心感と信頼できる何かを感じられた。
落ち着いて深呼吸をする。
「そうだ、落ち着け。何かあっても私がなんとかするからあの壁に向かって思いっきり放ってみろ!」
集中して、その魔力を壁に向かって思いっきり放つ。
ドォォォン!!!
するとその土の壁は音を立てて崩れ落ちる。
「え、えっ…これが」
「おぉ、すごいな。一応耐久をある程度上げていたんだがな。それを崩すとは…なかなかおもしろい術じゃないか。」
「え、な、なにが起こったんですか…?」
圧彦はその光景にある種の感動と困惑を抱いた。
「ん?今のはな、圧力だ。」
「圧、力…?」
「あの壁の周りに魔力によって圧力がかかり、その圧力に耐えきれずに破裂したんだな。お前の術は”圧力”ってとこかな。いい術じゃないか。」
学長はそう言いながら壊した土の壁を消していく。
「どうだった、圧彦?魔法を放つ感触は。」
「…なんか不思議な感じでした…現実感がないというか…ゲームの中みたいです。本当に魔法ってあるんですね…」
そういうと学長は笑い出す
「はっはっはっ!初見ではないはずなんだけどな、そんな初めて見ましたみたいな感想が出てくるとはな。まあそれはそうか、実際魔法と自認して使ってみるのは初めてだもんな。」
学長はひとしきり笑った後こう言った
「さてと…術もわかったことだし、少し魔法を扱う訓練をしたあと午後に実践といこうじゃないか。」
そういった学長は不敵に笑う
「実践…!」
「我々魔術師が戦う相手とやらを見に行こうではないか。」