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第3話 あの日の夢

初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。

この物語は前日談です。

本編は漫画でかこうと思ってます。

コメント、評価、拡散の方是非お待ちしています!

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ゴトッ。


「…ふぅ。こんなもんかな。」


荷物をタンスに入れ終えて僕は一息ついた。


「圧彦、荷物はこれで最後かー?」


少し低めの女性の声が聞こえる。


「あ、はい。ありがとうございます、学長!」


その女性はふわふわと浮かせた荷物を部屋の角に置く。

そしてその後ろからもう1人黒髪の女性が入ってくる。学長が隣にいるからだろうか、彼女の背丈はとても低く見える。その彼女は手に持ったに荷物を先ほど学長が置いた荷物の上に置いてそう言った。


「圧彦君、これでお引越し作業は終わりかな?」


「そうですね、一通りは。ありがとうございます、佐藤さん。」


彼女は佐藤由味さとう ゆみさん。学校ここの料理長をしている。学長とは高校からの付き合いらしい。


「どうだい?いいところだろう、ここは。」


学長は腕を組み、自信満々に続けてそう言う。


「この学校は風呂トイレが個別、大浴場も完備、さらにはちょーうまいご飯を作ってくれる最高の料理人佐藤由味がいる超贅沢な寮が隣接してある、ここが福岡魔術高等学園だ!!!どうだ、凄いだろ!」


「いや、凄いだろと言われましても…」


「ちなみにこの設備整えたの私だからな」


褒められなかったのが不満だったのか、学長は真顔でそう訴えてきた。


「…それは普通にすげぇな」


この規模の設備を整えるとなると結構お金がかかっているだろう。

それを用意出来るということはこの人どれだけ金があるのだろうか…?

てかどっから金が出てくるんだ?


「ふふん、そうだろうそうだろう!」


褒められて満足そうな学長だった。


「…ま、その話は置いといて…色々あって疲れたろう。今日はもう休め。施設内で困ったことがあればゆみりんに聞いてくれ。」


「なんでも聞いてねぇ〜。」


由味さんはそうほんわかと言い、手を振っている。


「はい、ありがとうございます。」


「じゃ、また明日なー。」


そう言い、背を見せながら手を振り2人は部屋から出ていった。


…その後少し荷解きをして、ご飯を食べ、でけぇ浴槽がある風呂に入り…あの浴槽まじででかすぎ、何人入れるんだろ。

そのあと、疲れたので寝ることにした。


眠たげな体をベッドへ沈ませる。

部屋には荷解きが終わっていないダンボールやら、とりあえず出しただけの荷物やらが転がっている。


…にしても広いなこの部屋。一人暮らしには十分すぎるぐらい設備やスペースが確保されている部屋だ。どんだけ金がかかってるんだ?


「…あー、疲れた。わけがわかんなすぎて疲れた。今日だけで色々起きすぎだ…」



「…眠い。」


気がついたら俺は眠っていた。

何故か俺は眠ったと自覚した。

そして、それが夢であることも、自覚していた。


第3話 あの日の夢


「あっくん」


懐かしい、聞き覚えのある幼子の声が聞こえる。


「…ねぇ、あっくん!」


「…ん…あ、どうした、’よつは’?」


「どうしたじゃないしー!

 …止まないね、雨。」


「…あぁ…」


暗くさびれた倉庫の中に声が響く。


「これもう雨の中突っ走っていったほうが早いんじゃね?

 おれちょっと走って傘取りに行ってくるわ。」


「そんなことしたら風邪ひくよ〜、けんくん」


そういったよつははけんの腕を掴み雨の中に飛び込もうとしているところを止めた。


「…それはそうか…。」


そう言うとけんは座った。

冷たいコンクリートの感触が伝わってくる。

目の前にある公園で遊んでいた僕らだったが急な雨に見舞われ、近くにあった空き地の倉庫に雨宿りをしていた。


「…じゃあどうすんだよ。暇だよー。なんかないのー圧彦ー?」


「こんな空き地の倉庫に面白そうな物はないよ、普通。あるのは草をきるやつの刃となんか怪しげな箱と人形…なんなんだこれ?」


僕はここに入ったときに倉庫の奥の方に何やら物が散乱していたのでなにか面白いものがないか探していた。


すると、よつはが僕の横にひょこっと現れる


「前にここにいた人がこういうのが好きだったのかな?」


「こんな怪しいもの集める人がいるのかな…」


「わかんないよぉ〜、世の中には変なものが好きな人がいるってママがいってたよ〜」


暇だったのか、けんがこちらにやってくる。


「どうせ暇なんだし〜、その箱開けてみようぜ!」


そう言ってけんは僕の手から怪しげな箱を奪い取ろうとしてくる。

僕はとっさに体をひねる


「え、やだよ…なんか変なもん出てきたらどうすんだよ…呪われたりして…。」


「えー、つまんねーな。いいじゃん、開けようぜ!多分大丈夫でしょ!」


「やだ!」


「…よつははどうよ、この箱開けてみたくない?」


そうけんが聞くとよつはは食い気味にそう言ってきた。


「いいじゃん!開けてみようよ!」


「よつはまで…」


「開けようよー」

「開けようぜ〜」


「「ね〜。」」


「…そんな言われても開けないよ!なんか怖いじゃん!」


「あっくんびびりー」

「びびりめ!」


「びびりじゃないし!」


二人は僕から箱を取ろうとしてきた。

思わず後ろにのけぞった。


ガンッ


その時、後ろのラックに腕が当たってしまう。

すると、ある’’きれいな丸い石のような物’’が落ちてきた。


「…いったー…」


「大丈夫あっくん?」


「うわぁ、いたそー」


「…大丈夫…でも、なにあれ…?」


みんなの視線がその石に集まる。


「…なにあれ…?」


「なんだこれ?きれいな石だなー」


僕はその落ちた石を拾い上げに行く。


「なにこれ、きれいだなー。…ビー玉?」


「こんなビー玉見たことないぞ。あとビー玉よりちょっとおっきくない?」


その石はとてもきれいな球形をしていて、ガラス玉のように透明な球体の中で絵の具がきれいに混ざり合い、広がってとても美しい模様のようだ。

ビー玉にも似ているその石からは何やら異様なオーラを出していた。


「ねぇねぇあっくん、それ貸してー。」


「うん、はい。」


よつはに言われたので、その石を手渡しする。


渡したその時、よつはの手にその石が渡った瞬間よつはの手が燃え上がる。


「あつっ…わ!まってまって!!燃えてる!!よつは!!」


「熱い、熱い、あつ、い!!痛い痛い痛い!!助けて!!!」


その燃え上がった炎は瞬く間によつはの全身を包んでいく。

その炎はいつも見ている赤い火の色ではなく、すこしピンク色をしていた。

よつはは腕の力が抜けるようにだらんと腕を落とす。

その手からはあの石が落ちる。


「あつい、あちい、腕が、腕に火が!!!」


となりを見るとけんの腕にも炎が燃え移っていた。


「よつは、けん!!」


瞬く間にけんも全身を炎で包まれる。


「なんで、僕は…なんで!」


僕が持っていたときにはこんなことにならなかったのに…なんでよつはに渡したら…なんで…


「あ゛あ゛あ゛あ゛…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」


けんは燃えながらふらふらとした足取りで外に出ていく。


そうだ、外は雨が降ってるから火も消えるはず…!


けんは外に出るとけんの体に雨水があたり、少しづつだが火が収まっていく。

そしてけんは外を二、三歩歩いたあとそのまま倒れ込んで動かなくなってしまった。


けん、死んでないよね…


「ア゛ア゛ア゛ア゛…」


そうだ、よつはは!


よつはの体はもう原型を留めるのがやっとなほど、焼け焦げている。

そのふらふらとした足取りで倉庫の中にあったものに触れていっている。

そうして、どんどん倉庫の中に炎が燃え広がっていくのであった。


「あづい゛…あ゛づい゛!!」


「よつは…」


涙で目の前が霞む。

そうしている間にも炎はどんどん燃え広がり、とうとう倉庫全体を包みこんでしまった。


「よつは…!!」


彼がよつはと叫んだそれはもう助からないほどに黒く焼け焦げ、かろうじて人間だとわかるシルエットを保っているだけだった。


「なになに、家事!?」

「おい、子供が入口のところで倒れてるぞ!!大丈夫か!!」

「早く救急車を!!!」


そんな頃にはもう倉庫の周りには大人たちが集まってきていた。


「おい、今中に子供が見えたぞ!!大丈夫かー!!早くこっちに来い!!逃げろ!!」


その声は彼には届かなかった。


燃え盛る炎の中、彼はそのヒトに近づいていく。


「よつ‥は…」


涙をぽろぽろと流しながら、それに近づいていく。


それに反応するかのようにまたカノジョも近寄っていく。


「よつは…よつは!!」


「あ゛っ゛ぐん!…」


カノジョは彼に燃えて痛みも何もかも分からなくなってしまった体で抱きつき、こう言う。


「あっくん、大好き」


そう言うと、力尽きたように僕の体から崩れ落ちた。


「に゛げ‥で……」


カノジョはもうそこから動くことはなかった。


「よつは…よつは…!!よつはぁ!!!」


彼はその彼女の名前を叫ぶことしかできなかった。


「死なないで‥死んじゃやだ!!!生きて、生きてよ!!!!」


彼の中には後悔か、罪悪感か、執着心か、なんなのかよくわからない悍ましく気味の悪い感情がうごめいていた。


「生きて…よつは…」


そう言うと彼はその場に倒れ気絶した。






……



「…ハッ!!」


圧彦は目を覚まし、体を起こした。


「……夢か…」


ふと窓の方をみると朝日がカーテンの隙間から光が差し込んでいた。


「…最悪の目覚めだ。」

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