第18話 呪玉と魔術校と圧彦と零
初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。
この物語は前日談です。
本編は漫画でかこうと思ってます。
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「えっと…実は…」
圧彦は、昨日フードコートで3人に話したことを学長にも話した。
「…なるほど。その”よつは”とやらの死因に六道零の呪玉が関わってるんじゃないかってことか…。」
「ですね…。」
そんな話をしていると、こちらの席に向かって配膳ロボットが料理を運んでくる。
「…あ、届いた届いた。まー先に食べようや。早く食べたい。」
そう学長が言うので、配膳ロボが運んできてくれた料理を受け取る。
「飯は出来立てが一番いいからな。ささ、二人も食べな。いただきま~す。」
そう言い、学長は届いた新作だと言うパフェを頬張る。
遠慮せずにと言うので、圧彦とこーたもできたてのうちに頂いた。
第18話 呪玉と魔術校と圧彦と零
「…話戻すけど、まーさっき圧彦が言った通り見た目の特徴は呪玉に似てるな。」
学長はパフェを食べながら、そう言う。
「けど…それ数年前の話だろ?何年も前になると頭の中で自分の都合の良いように記憶してたり、なにかが欠落してたりで正確な情報かって言われると…不確かなんだよなぁ。」
「まぁ…確かにそうですね。」
そう言っていた学長はバツが悪そうな表情であった。
「いや、あれだよ。別に圧彦のことを否定してるわけじゃないんだよ。ただ…人の記憶だからな。それを簡単に鵜呑みにして、さぁ協議しましょうっつってもそう簡単に上のじじいどもとかは納得してくれないわけよ。だから、こう…なんかそう、もっと具体的な確証がほしいかな。」
「…そうなんですね。」
意外と堅実的な答えを返されたので、圧彦は尻込みしてしまう。
「まーでも、身辺調査をして探ってみるってことはできるぞ。後で南に頼んどくわ。」
学長はパフェを頬張りながら、そう言ってくれる。
「ありがとうございます…!」
「呪玉が関連してる事故ってのなら何かしらの資料が連盟の方に残ってそうだからな。今度探してみるわ。」
そう言うと、少し間を開けてそう続ける。
「…あー…一応呪玉の閲覧の申請しとくわ。あれの申請時間かかるんだよなぁ。」
「えっ、見れるんですか?…てか、そんな手元にあったんですか、呪玉?」
突拍子もない発言に、圧彦は驚く。
「え、あれっ?そっかそっか。言ってなかったか。」
学長はそうあっけらかんと言う。
「呪玉はな…あー、その前に。高校の話しないとか。」
「まだしてなかったのかよ…。」
こーたが隣で、そうボソっと言う。
「こーたうるさい。」
「理不尽。」
「まーとりあえず、日本国内の話をするか。…この日本には魔術校が5つあってな。」
「え、5つもあったんですか…!?」
「あぁ。北から順に言うと…北海道校、東京校、大阪校、で、私達がいる福岡校、そして沖縄校の5つだ。」
学長は、そう指を折り数えながら言う。
「…結構散らばってるんですね。」
日本地図をイメージして見ると、今言ったところはある程度の間隔を開けて置かれている。
「あぁ、そうだな。こうして散らばって点在しているのは理由があってな。…昨日戦ったあの蛾、いただろ。」
「あぁ…昨日の。」
「あー、あとあの蜘蛛の方もだな。ちょっと話は変わるが…なんか他の人には見えないのに自分にだけ見えるなーみたいな経験、今までになかったか?」
学長がそう問いかけてくる。
「…まぁ。もうそういうもんだと思って気にしてませんでしたけど…。」
そう言われた通り、圧彦は幼い頃からそういうものが見えていた。
「なるほどな。それが当たり前に見えているものではないって気付いてからは、あまりそれを気にしなくなったって感じかな。」
「えっ、…そ、そうです。」
圧彦がそう考えていたことを当てられ驚いていると、学長は笑みを少し浮かべていた。
「あいつらは”怨霊”って言ってな。人間が持つ感情で生み出された”負のイメージ”やその怨霊になる対象…昨日ので言ったら蛾とか蜘蛛だな。そいつらの死体やら死骸が増えることによって、その負のイメージやら死体やらから出た魔力が具現化しあんな感じになる。」
学長はそう言いながら、机上でそのシュミレーションをするように魔法を造形する。
「怨霊…。」
「昨日の一件で言うと、あの蛾だな。あれはあの周辺に住んでいた人々や、そこを訪れていた人が想像した蛾への恐怖心。それが具現化し、あんな形で現れたのだ。多分あそこにキャンプやらに来ていた人が放った恐怖心、それがトリガーとなってあの怨霊を呼び覚ましたってところだろう。いつ、どこで、だれがトリガーとなって怨霊が現れるかは予測がつきにくい。その負のエネルギーが蓄積されていき、キャパオーバーしたのがあの人達の時だったって話だ。ま、幸いにも死者が出なかったのが不幸中の幸いといったところか。」
そう言っていると、その魔法が学長が言っていることを説明するように蛾の形を作ったりしている。
「…ですね。」
「で、極稀にだ。そのエネルギーが何年、何十年にも蓄積し、放出されずにいる怨霊ってのがいるんだよ。その状況を想像したらわかると思うが…もしそいつらが放出されたら。一般の魔術師では対応できなくなるほどまでに強力になり、奴らが我々の手に負えない脅威となってしまう。」
学長が机の上に作ったそれは、一箇所にそのエネルギーとやらが集まっていき巨大に膨れ上がっていく。
「そうなる前に!」
そう言うと、学長はそのエネルギーを軽く叩き潰した。
「我々魔術師が手がつけられなくなる前に倒そう!ってのが今の魔術師界だ。人間ドックみたいな感じだな。早期発見、早期治療が病気にしろ怨霊にしろ大事ってことだな。」
「そんな簡単に見つかるもんなんですか…?そこまで身を潜めていたら、そう簡単に現れないような…。」
「あぁ、そうだな。だからさっき言っただろう、きっかけがあれば現れるんだ。」
「…?」
「我々できっかけを作ればいいんだよ。そいつらを目覚めさせるきっかけを。」
「…なるほど。」
「ま、また今度説明するよ。で、そこで大事になってくるのがこの魔術校よ。我々が今いるこの日本はね、世界全体で見ても特殊な国でね。怨霊の発生件数が世界一多い国と言っても過言ではない。」
その言葉に、圧彦は驚愕する。
「世界一!?…あんなやつがそこら中にいるのか。」
そうしていると、それを遮るように学長が続ける。
「ま、そう思うのも無理ないか。君がここ数日で会ってきた怨霊が、そんなやつらばっかだったもんな。」
「…え?」
「あれはそうそう起こるものではない。日常的に発生している怨霊は、そこまで脅威と呼べるものは発生しない。その中でも人的被害を及ぼすものは半分ほどだ。…まぁその半分が、現日本魔術界の人手より多いからこう逼迫した状況になってるんだけどな。後進育成だとか言って死にかけるような任務を押し付けるか普通…」
「最後らへんただの愚痴だろ。」
隣に座っていたこーたが、そうぼそっと言った。
「まぁそんなわけで、そういった脅威となりうる怨霊を効率よく退治するためにこうして広がって置かれているってわけだな。魔術連は高校を起点として、魔術支部を置いてるからな。」
「そうなんだ…。」
「なんだが…もう一つ理由があってな。」
そう言うと、学長は机の上に広げていたシュミレーションの幻影を見せていた魔法を消す。
「さっきの話に戻るんだが…。」
そう言って、学長は机に肘を立て神妙な面持ちになる。
「さっきの話?…あっ。もしかして、六道零…?」
正解だと言わんばかりに、学長は圧彦を見つめながら口角を上げる。
「そう。もう一つの理由は六道零の呪玉にある。…やつの呪玉には、怨霊が集まりやすいんだ。」
「集まりやすい…?」