第17話 圧彦の話
初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。
この物語は前日談です。
本編は漫画でかこうと思ってます。
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「…学長?」
「…。」
こーたと南さんは、そう学長を呆れるように見つめる。
「あっれれ〜?ごめん、完全に説明したと思ってたわ。すまんすまん。」
学長はその視線を無視するように、あっけらかんとそう言った。
「圧彦ー。昨日も言ってたよな、魔族って単語は。」
「あぁ〜、はい。あの蜘蛛が言ってましたね…」
昨日礼奈とやった任務で出会ったあの蜘蛛が、その単語を口にしていたのを思い出す。
(確かに、あの蜘蛛もその”魔族の血?”を飲んで強くなっていたとか言ってたような…。)
「まー、簡単に言うと…とりあえず基本的に魔族は敵だ!と思ってもらって良い。」
学長はうーんと言わんばかりに、眉間にシワを寄せながらそう言う。
「あと、これだけは覚えててほしいって言うのがあるんだ。魔族ってのは外見的特徴があってだな。…その特徴は、”左頬に黒い痣があり、瞳が漆黒とも言えるほど真っ黒に染まった人間のような者”…と言われている。」
「それって…六道零のことですか?」
その黒い痣という単語からそれが連想される。
「う〜ん…ある意味あってはいるんだが…違うといえば違うな。」
「…どういう?」
「我々は、左頬に黒い痣がある者たちのことを魔族と呼んでいるが…六道零のことを指しているわけではない。」
「えっ、でも六道零も…」
そう言うと、学長は被せるようにそう続ける。
「あぁ、六道零もそうだな。やつも左頬に黒い痣がある。だが今現在実際に魔族だ、と断言できる証拠がないんだよ。やつはね。まー、やつは魔族じゃないかとはほとんどの人が思ってるけどね。」
そう言うと、学長はチラリとこーたと南さんの方を見ながらこう続ける。
「ね、ふたりとも?」
そう急に振られて南さんはえっと驚いた表情をするが、こーたがその間を埋めるように続ける。
「まぁ…確かに。みんな六道零は魔族だろうっていう漠然としたイメージが、あるにはありますね。」
「…た、確かにそうですね!」
「そう、なんだ…。」
二人とも、そう当たり前のように言う。
(本当に当たり前かのように言ったのかは置いといて。だって、南さんすっげぇあたふたしてたし。)
「ま、よーするに六道零は魔族という確証はないが、ほぼほぼ魔族で間違いないだろうってみんな思ってるよ。…話し戻すと、魔族ってのは外見的特徴で一発でわかる。が、それを見る前に、これは魔族だ!って気づけてしまうぞ。」
「え?」
「魔族っていうたいそれた名前ついてんだ。その強さも伊達じゃない。魔族を見る前に、その威圧感と魔力で気づけるさ。」
「そこまで…。」
「あぁ。それほどまでに魔族の魔力量は桁違いだ、と言われているな。」
「…え、学長は見たことがないんですか?」
「え?あ〜…まぁな。」
そう聞くと、学長は曖昧な答えを返した。
「ま、魔族ってのはそんなもんだって思っとけばいいさ。…さ、それより私は圧彦の話が聞きたいんだけどな〜。ね、圧彦くん?」
「あ。」
「覚えてたのかよ。」
圧彦とこーたはそうすっとぼけた返答をする。
「逃がすと思ったか、この私が。逃がしませんよ〜と。…じゃ、私が奢るからファミレスでじっくりと話聞きましょうかね〜。」
そういうと、学長は逃がすかといった感じで圧彦とこーたの肩に手を回す。
「じゃ、南あとはよろしく〜。」
そう言うと、学長は全員をそれぞれの場所へ転送した。
一人を除いて。
第17話 圧彦の話
学長だけはその場に残り、ある一点を見つめていた。
「…なんだこれ。…小型カメラ?」
見つめていた先に固定されてあった小型カメラを発見し、すぐさまそれを破壊した。
「…データも消してっと。誰がこんなことを…。六道教?だが魔力は感じられない…。」
そう一人で呟いて、手のひらにある壊したカメラの破片を見つめる。
「…まさかな。」
そう言うと、学長はその破片を消し去り圧彦達の下へ向かった。
「好きなもの頼んでいいぞ。」
学長はソファに座ると、ふんぞり返ったような態度でそう言った。
「え、奢りっすか?」
「あぁ、奢りだ奢り。好きなもん食え、圧彦もな。」
「あ、ありがとうございます。」
そう言うと、学長はニヤつきそう言う。
「その変わり、教えてもらおうか。なんだい、さっき六道零という単語に反応したのは?そういうことを隠していたらろくな事にならないぞ。早め早めに大人に相談した方が身のためだ。」
学長は、そう脅すかのような口調でこちらを見つめてくる。
「ま、その前に〜…なんか頼もうや。私はこの期間限定のパフェで!まだ今月の新作食べてなかったんだよね〜。」
学長は、上機嫌でメニュー表を開きながらそう言った。
(ここに来たの絶対これが食べたかったからだろ…。)
ちらりと隣を見るとこーたも同じことを思ったのか、苦笑いをしていた。
「…じゃあ俺はこのオムレツで。圧彦はどうする?」
「…このハンバーグにしようかな。お腹すいたし。」
「いいな、食え食え!今の時期は食べてこそだからな!」
そう言い、学長はこちらを見て微笑む。
そうして、一通り注文を終えると学長は先程とは変わった風貌でそう言う。
「じゃ、話してくれ。…先程のあれは何だったのか。」
学長がそう強く言う姿は、閻滝九愚未ではなく、魔術界の頂点、最強の魔術師という肩書きを背負った学長としての姿だと改めて実感させられた。