第11話 放課後デート?
初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。
この物語は前日談です。
本編は漫画でかこうと思ってます。
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「えっ…あの、一般人を置いてったら違反なんじゃ…」
緊張感が漂う中、礼奈がポツリとそう言う。
「置いていっても構わない。私が許可する。とにかくお前達は何があっても逃げろ。」
学長は、そう声色を低くし強く言う。
「いいな。」
「「…はい。」」
そう学長は妙な威圧感を放ちながら鋭く睨みつけるので、圧彦達は「はい」と答えるしかなかったのであった。
第11話 放課後デート?
「…なんかさっきの学長怖かったね。」
走る車の中、車窓の外を見ながら礼奈はそう言った。
「あー…確かに。なんかめっちゃ睨んで来てなかった?」
「そうそう、睨まれた睨まれた。まじ怖かったわー。」
礼奈はこちらを見てアハハと笑う。
「…ま、でも学長にあそこまで言わせるぐらい危ないやつだって事だよね。」
「…学長のことだから、それだけじゃないと思いますけどねー。」
前で運転をしていた南さんがそう言う。
「…どういうことです?」
礼奈は、少し考えるように間を開けそう言った。
「昔、学長がまだ魔術高校の学生だった頃にね。あんまり詳しくは話せないけど、学長の同級生だった人が亡くなってね。」
「えっ…?そんなことが…?」
それを聞いた礼奈は、とても驚いていた。
「…聞いたことなかったの?」
圧彦は今日一日だけだったが礼奈と学長の関係性を見て、そういう事は知っているもんだと勝手に決めつけてしまっていた。
「いや、今まで何も…。そんな素振り見せたことすら…。」
「まぁ学長自身の問題ですからね…。そんな姿生徒達には見せないですよ。学長は、ああ見えても真面目な人ですからね。」
「そうなのか?」
「…そう…なのかな?」
礼奈は少し考えるように、間を開けながらそう言う。
「…まぁ、あの人なりに心配してるんですよ。私、その時にまだ学長と会っていなかったのでよくわからないんですけど、あの時の事が二度と起きないようにってみんなのことを一番に考えていると思うんです。長い付き合いなのでなんとなくそうなのかなーと。だから…」
南さんは、ルームミラー越しにこちらを見る。
「学長との約束、守ってあげてね。」
そう言った南さんはにこやかに微笑んでいた。
「…さてと。さ、街案内をしようか。行くよー、圧彦!」
礼奈はそう元気よく言う。
南さんが学校まで送ってくれた後、言っていた通り礼奈が行くと言っていたお買い物に付き合わされていた。
今は福岡の市街地の山奥にぽつんと建っている学校を後にし、山の麓の街まで降りてきていた。
「はい、ここ行きつけの公園ね。」
そう言うと、礼奈は両手を広げて公園を指す。
学校から歩いて15分ほどの場所に広くもなく狭くもない公園があった。
ここが街の外れにあるからなのか、少し錆びれているブランコや滑り台などがあり、どこか少し哀愁を漂わせる雰囲気を醸し出していた。
「…この公園が行きつけ?」
圧彦は周りをキョロキョロと見渡しながら言う。
「あー、それはね。学校から一番近いバス停がこの公園の近くなんだよね。…あ、ほらあれ。」
そう言って礼奈が指を指した方を見ると、公園からも見えるすぐ近くにバス停があった。
「え、近っ。」
「でしょー。だから街へ出かけるときは、ここでバスが来るの待ってるんだ。比較的トイレもきれいだし。」
「…確かに。言われてみれば、あのトイレの建物だけ新設された感あるわ。」
「確か2、3年前に新設されたんだよね。なんか前のトイレに怨霊がいただとかなんとかで、なんやかんやあって学長がぶっ壊して建て直したとか。」
「なんだそれ…。」
(やっぱ学長やべーわ。)
「まま、それはいいとして。そろそろバスが来る頃だから早く行こう!…あ、ほら言ってるそばから来た!早く早く!…この公園はまた今度みんなで来ようね。」
「ん、ああ。そうだな…。」
そうした後、バスに乗り街のショッピングモールへ向かった。
バスの中では礼奈が「前の学校はどうだったの?」とか「好きな食べ物あるー?」などといった他愛もない会話をしていた。
「…どうよ、広くないここ?」
そう何故か礼奈は自慢げに、この大型ショッピングモールの広さを誇ってくる。
「…まあ、そうだな。」
(俺の地元にあったのより若干広いかなって感じがするけど…若干…そんな誇るほどかな…)
「あ、そういえば圧彦って寮ぐらしで必要なものとか揃ってる?ほらあれ、うちって由味さんとかいう超万能家事職人いるけど、基本的にあの寮は自由に暮らしていいとこだからさ。自分の部屋でなんでもできるように、一人暮らし用の部屋になってるんだよね。見たでしょ?」
「そういえばー…そうだったね。」
「だから念の為、色々と備品買ってたほうがいいんじゃない?私ちょっと色々と欲しいものあるからさ、圧彦も自分が欲しいものを見てきなよ。」
「あー、はいはい。りょうかーい。」
「じゃ、終わったら連絡してね。じゃぁねー。」
そう言って、礼奈はふらふらとどこか人混みの中へ消えていく。
数分後…
「…こんなもんか。」
圧彦は必要なものを買い揃え、会計を済ませていたところだった。
ブブッ
するとスマホが通知音と共に振動する。
「ん?…礼奈からだ。」
【こっちは一通り終わったけどそっちはどう?そろそろ合流しよっか】
ちょうど、あちらも買い物が終わったようだった。
【こっちも終わったところ。合流するか】
と返信を送り、礼奈から指定された合流場所へ向かう。
集合場所近くまで来た時に事態は動いた。
「…あれは?」
それに気づいた圧彦は、相手から見えないように物陰に隠れてチラ見をする。
そこで見えたのは、魔術校の制服と思われるものを着た金髪の男性と礼奈らしき女性二人が仲睦まじく話している様子だった。
「あれって朝に会った…」
すると制服を着た一人の女性が、圧彦の横までやって来て、並んで物陰に隠れるようにする。
「げ。こーたと利奈じゃん…。」
「…礼奈か。」
「なーに隠れてんだろって思ったらそういうことね。」
「ん、あぁ。そういうこと。…ちなみにあの二人はだれだっけ?」
「あー…金髪のやつが獣雷光太郎。で、私と瓜二つなのは私達双子の姉、花崎利奈よ。…利奈との違いわかる?」
ちらりと圧彦を見ながら、礼奈はそう言う。
「…」
そう言われたので隣の礼奈と、光太郎の隣にいる利奈の方を交互にみる。
礼奈の髪型は黒色のミディアム。
利奈の髪型も黒色のミディアム。
背丈もほぼ同じである。
「…わからん。」
「ま、そりゃそうだ。」
そう言うと礼奈はニヤニヤとしながらこちらを見てくる。
「…なんだよ。」
「いや、別に。…あ、そうそう。あの二人付き合ってるんだよね。」
すると礼奈はいきなりそんなことをポロリと言う。
「…えっ、そうなの!?」
「しっ!声が大きい!…いやーなんかね、あの二人いつの間にか付き合ってたんだよね。ほんと、気がついたら。…私がいるってのにね!三人しかいないのに!」
「どうしたどうした。落ち着けよ。そっちも声でけぇぞ。」
「…ま、いいんだけど。」
「いいんかい。」
「別に、私が邪魔になってるとかはないって言ってたし。あっちがあっちで自由にやるなら、こっちはこっちで自由にやりますよってスタンスでいるから。」
「…強いな。」
「まぁね〜。」
「!」
そんなことを話していると、奥にいる利奈がこちらを一瞬ちらりと見る。
「…!」
すると礼奈が一瞬ピクリと動く。
「…」
「…どうかしたか?」
そう聞くと礼奈は、少し黙る。
「………バレたなこれ。」
「え、何が?」
「ほら、あれ見てみなよ。」
そう言われたので、その利奈たちの方を見る。
すると何故か礼奈は、その二人の真似を始める。
「”ねぇねぇこーた、あそこ見て!私あそこに礼奈がいる気がするんだけど。”」
利奈は光太郎の肩をポンポンと叩き、俺らの方を指差す。
「”…あ、ほんとだ。隣りにいるのは今朝いた澤圧彦じゃね?何してんだあいつら…?”」
「”ねー。何してんだろ。行ってみるか。”」
二人は顔を合わせるとこちらを見てクスクスと笑っていた。
「…ほんとにバレてんのか?あとそのモノマネなんだよ、ほんとにそんなこと言ってんのか?」
「何ー、双子の絆疑ってんの〜?…モノマネは、勘よ勘。クオリティは保証しないけど。…あ、ほら。来てる来てる。」
そう礼奈が言っていると、本当に二人はこちらに向かってきた。
「れ~な、何してんの?」
そう利奈は、こちらに声をかけてきた。
「ほら、やっぱりバレてた!」
礼奈はこちらを振り向きそう言ってくる。
(…そうっすね。)
そんなことを心のなかで思っていると礼奈は二人の方へ出ていくのであった。