第10話 六道零と呪玉②
初めての作品なので至らぬ点があると思いますがご了承ください。
この物語は前日談です。
本編は漫画でかこうと思ってます。
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第10話 六道零と呪玉②
「…とまぁ、そんな言い伝えが残っている。」
そう学長が言う。
「…?なんかただのヤバい奴にしか聞こえなかったんですけど…なんでそんなやつが恐れられてるんですか?」
「まぁねー。なんかそこだけ聞くとそう見えちゃうよねー。」
そう言う礼奈は呆れ気味だった。
「まあまあまあ。話はまだ終わってないぞ。重要なのはこっからだ。…その後、殿がやつの首を切り落とした時…やつの遺体は残らず塵となって消えた。」
「??」
「遺体の変わりにその場に残ったのはやつが言っていた”24個の呪玉”が残った。そして、その殿が呪玉を一つ手にとってみると、その呪玉以外の23個は瞬く間にどこかに消えていったと言われている。」
すると学長は何かを睨みつけるようにそう言い出す。
「で、だ。重要なのはこっからだ。やつが恐れられている理由はその”呪玉”にあるんだよ。」
「呪玉…。」
「それは名の通り呪いの玉。今の今まで1つたりとも欠けることなく残り続けている。そんな呪玉に関して言い伝えられているのは2つ…。」
そう言うと少し間を開けてからこう言った。
「破壊しようとしないこと。魔力を制御出来ない者が持たないことだ。」
「…?」
その時圧彦は少し引っかかりを覚える。
「…何か?」
何か感づいたのか学長がそう聞いてくる。
「?…?」
礼奈は完全に蚊帳の外である。
「…いや、なんでもないです。ほんと関係ないことなんで。続けて大丈夫です。」
「…そうか。ならいいや。深くは詮索しないでおこう。」
学長はなぜかそれ以上は聞いてこなかった。
(学長の事だから聞いてくるかと思ったけど…まぁいっか)
「…でだな。なんでそう言われているのかだが、考えてみればわかるだろ。こうして今の今までその言い伝えが残っているのだ。そこまでして残さなければならないほど恐れられていたってことだよ。」
確かに、昔から現代まで語り継がれている物なんてそうそうない。
あるとすると何か1つの教訓じみた言い伝えがほとんどだ。
「…しっかり話すと、1つ目の破壊しようとしないこと。まぁこれは君が想像する通りだと思う。」
そう言うと、学長は腕を組み遠くを眺めるような目をしながらそう言い始める。
「その昔六道零の呪玉を見つけた僧がいた。見るからに禍々しい雰囲気を醸し出すその呪玉を見て破壊しなければとでも思ったのだろう。破壊しようとするとその僧は異形へと豹変してしまったと言われている。そうして豹変してしまった僧はその時代の魔術師らによって封印されているという。今でも現在の岡山県の山奥に封印されているよ。」
学長はなぜかその場所を知っているかの様に言う。
「…そんな封印するほどのものだったんですね。」
「あぁ。しかもそれはその僧一人ではない。現在までの500年間呪玉を破壊しようとする人間が一人だけなわけないだろう。これまでも何人もの人が犠牲になった。数十人、いや数百人という人が何年もかけて試行錯誤してきたが、誰一人として一つも破壊できていなかった。破壊しようとした者は皆全て異形へと成り果ててしまった…。」
すると学長はこちらを見てニヤリと笑う。
「皆、異形へと姿を変えたよ…私以外な!」
そう言いつけるように自信満々に言う。
「…え?」
「私も少し前に試してみたんだよ、本当に壊れないのかな〜って。」
「えっ…。」
自分で危険危険と言っておきながら学長の口から出てきた衝撃の事実に引いてしまう。
「えっ、そんなことしてたんですか…?」
礼奈もその事は知らなかったようだ。
「まぁ、本当に壊れなかったんだけどな。結構頑張ったんだけどねー…。」
「「壊れなかったんだ…」」
「…学長が頑張っても壊せないってやっぱやばいですね。」
学長の強さがわかっているから礼奈はそのやばさを口にする。
圧彦にはできないことだ。
「あぁ…やつがいると相当まずいことにはなりそうだが…ま、大丈夫だ。私は負けないよ。」
自信満々に、しかしそれは強がている訳でもなく、本当に強いことを自覚しているからこそ出てくる自信を持ってそう言う。
「…ま、それは置いといて。ではもう一つ、魔力を制御出来ない者が持たないことだが。理由は簡単。体を乗っ取られるからだよ。」
「乗っ取られる…?」
「そう、乗っ取られる。ま、もっとも六道零の魔力に耐えきれなかったりすると肉体のほうが崩壊してしまうがな。例えば…爆発したり燃えたりなんかしたってのは聞いたことがあるな。」
その瞬間、ある光景がフラッシュバックする。
「…?」
「ま、そんな感じで六道零の呪玉っていう危険物がこの現代まで残ってるってわけ。」
「…なんか聞いた感じだとその呪玉に触れなければいいんですよね?別にそこまで恐れることでもないような…。」
そう言うと学長はチッチッチッと言わんばかりに人差し指を横にふる。
「ま、それだけだったらな。ところがな、驚くことに六道零の呪玉ってのは魔術界の歴史上の大事件のほぼ全てに関わっているんだよ。直近で言うと約30年前。私が産まれる少し前の話だ。その時の日本を揺るがした魔術界の大事件の時にも六道零の呪玉は現れていたらしい。」
「日本を揺るがす?」
「ニュースなど各種メディアでは取り上げられていないが、過去にそういうことがあったらしい。まぁ、大体魔術が関わってくるようなことは国にもみ消してもらってるからな。基本的にそう言う話は現代社会には降りてこないようにしているからな。知らなくても当然だ。ま、詳しい話はまた今度するよ。」
「…学長、それ絶対忘れますよ。」
礼奈は呆れたようにそう言う。
「まあまあまあ。忘れんよ。」
学長は礼奈の言葉をうざったいと言わんばかりに適当に返答する。
「ま、言ってた通り六道零ってのは魔術界にとっては切っても切り離せない存在なんだよ。それがやつ、六道零だ。
ま、今話せるのはそんなもんかな!」
いきなり、空気を変えるようにあっけらかんと言う。
「あ、そうそう最後に一つ。一応礼奈にも言っておきたいが…」
「はい!」
礼奈は元気よく返事する。
すると学長は、少し考えるような仕草をした後に間を十分取った後こう言った。
「もしも、六道零に出会うような事があったら…誰かを置いてきてでもいい。
とにかく、逃げろ。いいな、逃げるんだ。」
学長はそう強く、何かを訴えるように睨みつけるような眼差しでそう告げた。
”死ぬなよ”と。