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ちいさな

作者: も

(あれ?電車遅れてる?)


私は仕事帰りの駅で、電光掲示板を見てため息をついた。

ただでさえ長い時間をかけて帰宅するのに、電車が遅れているからだ。そう思いながら駅のホームに降りると、間隔調整のために停止している電車が見えた。

(ラッキー!)

そう思い電車に駆け込む。なにかにつまづいた感覚があったが乗れたことに安堵していると、車内放送が聞こえる。まだすぐ発車するわけじゃなさそうだ。


『ごめんよ』


どこからか声が聞こえた。周りを見渡しても、遅延によって苛立っている人達の顔しか見えない。

ふと目線を下げると、そこには小学校低学年くらいに見える少年がこちらを見つめていた。

そこでもう一度少年は

『ごめんよ』

そう言って、目線を私からホームの方へ移した。私は慌てて返事をした。

「大丈夫」

少年は日本人離れした外見をしており、片手には赤いコーラの缶を持っていた。周りを見渡しても、保護者らしき人物はおらず

(小さい子が1人で電車に乗っているのか)と感心した。

暫くすると、少年は突然電車を降り、キョロキョロとホームを見渡した。(誰かと待ち合わせているんだな)と重いっていると、車内放送で間も無く発車の放送があった。

少年は放送を聞いてか、電車に乗りこみ2分ほど大人しくしていたあと、反対側のドアに向かって歩き出した。

『すみません、すみません…』

周りの大人に声をかけながら歩いていき、反対側についたかと思えば、またこちらに戻ってくる。

『すみません、すみません…』

.

.

『どいてよ!』

私の隣に着いた途端、突然そう言われ驚いた。

「あ、う、うん」

そう返事をすると少年は、また満足気に進み出した。

『すみません、すみません…』

さっきつまずいた事に対して怒っているのか、私にだけ強気だな。

また声が近づいてくる。戻ってきたんだな。

『どいてよ!』

私は無言で、どうぞとジェスチャーをして自分の前を譲る。

少年はそのまま戻って来ること無く、進んでいってしまった。

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