表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

エピローグ

「それで……結局私の『力』ってなんなの?」


 夕暮れの道を歩きながら、紗良は気になっていたことを問いかけた。開花した、などと言われたが、自分としては特別に変わったことは感じられない。

 だが、問われたコハクは一瞬ぱちぱちと目を瞬かせると、小さくため息をついた。


「自覚がないのか……? その『目』だ。俺たちあやかしや、神は——人に認識されると力を増す。おまえの『目』は特にその力が強いんだ」

「ああ……それで……、なんかじんじんすると思った」

「えっ」


 紗良が「なるほど」と頷くと、コハクは慌てた様子を見せた。


「な、なにか妙なものが見えたりするか?」

「え……? ああ、今じゃないよ」

「そうか……」


 事情を説明すると、コハクがあからさまに安堵した様子を見せる。どうしたのか、と目を瞬かせると、彼は何でも無いことのように呟いた。


「中学からずいぶん力が増してきて、俺もかなり封じるのに苦労したからな……今はもう、そばにいられるから大丈夫だが……」

「え……?」


 聞き捨てならないことを聞いたような気がする。

 マンションのエントランスをくぐり抜けながら、紗良は「中学?」と低く呟いた。するとコハクが大きく頷く。

 どうやら、彼の言によれば、紗良の力が開花し始めたのは中学生頃だという。それを、白狐であるコハクが封じていたのだとも。

 そのせいで、あやかしが見えなくなっていたものらしい。

 つまり——彼は中学から紗良をずっと見ていた——いい言い方をすれば、見守っていた、ということになる。

 なるほど、危ないところを助けてくれたのは、つまりずっと見ていたから、ということだ。


 良かったのか悪かったのか、わからない。けれど、今が幸せだから良いか——。

 紗良は部屋の扉を開くと、コハクと共にその中へと消えていった。


お読みいただきありがとうございました。

もし気に入っていただけましたら、ブクマや★評価どうぞよろしくお願いいたします。励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ