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そんな感じでしばらく歩いていただろうか、オレが今歩いている校舎から校門へと向かう大通りで、下校する学生たちが帰路についている。オレとすれ違う学生たちは、友人たちと楽しそうに談笑し、時折たわむれのような喧嘩をしていた。横目でオレの姿を見るものもいるが、さして気に止めた様子もない、おそらく忘れ物を取りに戻っているように見えたのだろう。
周囲の流れにただ一人逆らいつつ、オレは昔の事を思い出していた。
オレにも、こうして学校に通っていた事があった。最も、この学校のように高度な教育を施す所ではなかったが、それでも学校なんてどこも似たり寄ったりだ。
友達とどうでもいい話をして、それなりに授業を受けて、ふざけて喧嘩したり、たまにマジになって喧嘩したり、仲直りできる時もあれば出来ない時もある。その中でたくさんの友達に囲まれている奴もいれば、少ない友達とすごく仲よくしてる奴もいる。そして今のオレのように一人の奴も珍しくない。
一人の奴……そう言えばあいつはいつも一人だった。友達とは言えないと思う、多分あいつに「オレたち友達」とか言ったら顔を真っ赤にし、銃剣を振り回して襲ってくるに違いない。まぁ一応オレのライバルを自称し命を狙って来てたはずなんだからな、あれでも。
あいつ、死んじまったんだよな。あいつだけじゃないか、もうみんな居ないんだ。オレのせいで。
……やべぇ、思い出したら泣きたくなってきた。
ぼんやりとした記憶が走馬灯のように脳裏をよぎる、過去をなぞるだけの虚しい行為。いい加減過ぎる王様、ずいぶん明るい吸血鬼、カッコつけてカッコ悪かったあいつ。いつの記憶かも解らない、赤い目の少女が花畑で笑顔を浮かべている光景が脳裏に浮かんだ時、背後から声が聞こえた。