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戦闘士クーガ  作者: 狂狗
デリバークーガ
44/49

 (次は……三男飛ばして四男の胡豆だな、胡豆って……)

 “孤島”

 (オレもそう思ったんだよ、名前付けた奴の顔が見たい)

 などと与太話をしながら校内を進んで行く。胡豆とやらは小等部にいるらしい、先程までいた高等部からは結構距離がある、とは言ってもせいぜい徒歩三十分も掛ければ間違いなく着くような距離だ。

 ……着くはずだった。

 ぴんぽんぱーん、と神が口頭で効果音を言っているのが聞こえた。

 “神ちゃんがー60分経過をーお知らせします”

 (うっせぇ、ここどこだよ?)

 “高等部の体育館の裏”

 (戻ってる!?)

 “いいや、むしろ遠ざかった”

 神の言葉に脱力し、オレは体育館にもたれ掛かり座り込んだ。改めて地図を開いてみると、確かに遠ざかっている。

 (なぁ、神様よ)

 “なんだいクーガ君”

 (オレはひょっとして方向音痴なのか?)

 “えっ……今更?”

 (今更何だ、何なんだ、はっきり言え!)

 答えはすでに出ている、神のその態度が何よりの証明だ。そしてそれが何より悲しい。別に答えが帰ってこなくとも良いと思っていたのだが、思いのほか律義に神は答えを返してきた。

 “クーガ、旅してた頃の事は覚えてるか?”

 (覚えてるよ)

 “何回迷った?”

 (…………。ほら、慣れない土地って事もあるじゃないか、地図無い時も多かったし)

 “生まれ故郷でも迷ってたよな、現在進行形で地図持ってるし”

 「…………うがあああああああ!」

 “叫んでどうする”

 珍しく冷静に突っ込んでくる神が憎い。確かに迷うな、よく迷ってるな、十八年の人生の中で何回迷ったか覚えていない位には。ははは、凹んできたよ。

 “さて、彷徨える子羊を見てるのにも飽きたし。神ナビを起動してあげよう!”

 (そのセリフ、何回か聞いた覚えがあるぞ)

 “十回は起動した事あるからな”

 オレはますます凹んでしまいましたとさ。

 “ハイ、とりあえず右にまっすぐ”

 スルーかよ、人に散々スルーするなって言っておきながら。ずいぶん脱力してしまったが、目的地へ向かわない訳にもいかない。オレは神の言う通りに、右へまっすぐ歩いて行った。


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