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【試合終了、シロ君の勝利】
「……ガッハァ、げほっげほっ、あー、あ〜……生きてる?」
「イェーイ、オレの勝ちー!」
息を吹き返すと、楽しそうな声が聞こえてきた。首を持ち上げて声のした方を見ると、シロ君が踊っていた、勝利の踊りだろうか。自分の腹に触ってみると、ちゃんと腹があった。穴は空いてないし服も破れてない。それどころか、特に痛くもなかった。
「どうなってんだ……? 普通に死んだと思ったのに」
“ギャハハハハハハハ、あっはっはっはっはっはっは、ひーぁ死ぬ、笑い死ぬ! あははははははは、ク、クーガって……おバカ、おばぁか! あはっひゃっひゃっひゃっひゃははは! けひゃひゃひゃひゃひゃっ”
何の脈絡もなく神が笑い死にそうになっていた、いっそそのまま死ねばいい。
“なんだよ酷いな”
(酷いじゃねぇよ、何でそんなに笑うんだよ、訳も解らずに笑い死ねるほどの笑い種にされるのはむかつくんだよ)
オレがそう言うと、神はまたアホみたいに笑い出した。何でそんなに笑うのかが解らない、オレの負け方がそんなにおかしかったのか? 何とか笑いを抑えたらしい神はいつものように遠回しに質問してくるのではなく、答えをあっさり言った。
“あの世で死ぬ訳ねぇだろ! ぶぁーか!”
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……………………あぁ、そう言うオチ。
なるほど、神が笑うわけだ。むしろ今まで笑わなかった方が偉いのかもしれない、笑い過ぎだけど。つまりあれだ、オレは死ぬ訳もないのに「死ぬ!」って思い込んで必至になってた訳か。確かに笑える話だな、他人事だったならば!
「穴があったら入りてぇ……」
あー恥ずかし、オレ思いっきりアホじゃねぇか。そう思った矢先、オレの目の前に手が差し出された、シロ君の手だ。その手を掴むと、シロ君はオレを立たせて。にっこりと笑いながら言った。
「楽しかったよ、ありがとう!」
「え……あ、ああ、うん」
全く邪気の感じられない笑みに困り、いまいち歯切れの悪い返事をしてしまった。先ほどのボールの投げ合いの何が楽しかったのか、釈然としない。しかしシロ君はそんな事気にも留めず、オレの手をぐいぐい引っ張っり酒場へと引きずりながら言った。
「運動したからきのみジュース飲もう!」
「またきのみジュース飲むのかよ!」
いつもとだいぶ違うになりました、すみません。