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オレの名前は久我 朱彦、クーガ・グリムゾンと呼んでくれ。
オレはとある世界で勇者をやっていた。
あの金色のピアスをつけた瞬間にオレの運命は決まった。神の声を聞くことの出来るオレは勇者となり、ウィクトリア姫を助けるため旅立ち、とうとう邪竜ファヴニルを倒した。この前もこんな話してたな。
……そのあと、オレは姫様に殺された。そう、邪竜に殺されたわけじゃない、何の弾みか解らないが、邪竜はその場の勢いに任せて殺してしまったあとだ。何でこんな事になったのか、オレが教えて欲しいよ。
そして、死んだオレはあの世に来た。
そこには黒くて怪しいガキにしか見えない閻魔様がいて、閻魔様によるとオレはまだ死んでいないらしい。心配停止状態らしいが。色々と事情があるそうだ。閻魔様としばらく話していると、突然肩を叩かれた。
なんと邪竜だよ。
あの世で邪竜とあっちまったよ、わぁ吃驚。……そんな程度で片付く吃驚ではないが、邪竜とも呑気に会話始めちゃったんだよな、オレ。ところで会話しやすくする為に姿を小さくするのはいいが何で擬人化しちゃうんだよ、おかしいだろ、やっぱりあんなやつ邪竜じゃねぇ!
……取り乱して悪かった、邪竜と閻魔様と呑気にお茶を飲んで、閻魔様から天国か地獄か好きな方を選べと言われた。選べちゃう事にまた吃驚なんだが、常識的に天国へ行くに決まってるだろうと言う事で、オレは天国へと向かった。
いつも言ってる事だけど、オレは人とは違うところがある。
勇者だとかそう言うのは関係なしに、決定的に違うところがあるんだ。あのピアスをつけた瞬間に知った、いや勝手に教えられた。
オレは、
自分が小説の主人公だと知っている。