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…………ハロー
それは、あいさつをするかのように手を上げていた。
プレゼントをあけると、そこにはプレゼントがいた。死にかけていたそと身と違い、とても元気そうだ。足しか生えていなかったそと身と違い、中身には手も生えている、やっぱり気持ち悪いぐらいリアルな手だ。やっぱり挿絵はないので脳内補完計画。
もうどうする事も出来ないクーガは、ただひたすらに固まっていた。予想出来たかもしれないが実際に起こるとシュールすぎる光景に、神も固まっていた。
そして、プレゼント中身はクーガの顔をけり飛ばしどこかへと走り去って行った。足音はピコッ、とかいった。
プレゼントにけり倒され、仰向けに倒れているクーガ。プレゼントの動きを、茫然と眺めている神。もう何から突っ込めばいいのか解らない、ツッコミ担当が倒れているのだから、こう言う時はボケでも突っ込むのが定石、しかしどこから突っ込めばいいのか解らない。全部にツッコミを入れようとしたら、何ページか前にクーガが行っていた肺活量の限界を用いないと無理だろう。
なんの言葉もないまま、クーガは立ち上がった。そしてプレゼントの走り去った方向へ歩いていく。つっこめない時は何もつっこまないのが得策だ。立ち去ろうとするクーガに、神は声をかけた。
「オイ……どうする気だ?」
「捕まるまで追う、こうなったらとことん追い詰めてやるよ」
それだけ言って去ろうとするクーガに、神はなおも言った。
「またプレゼントの中はプレゼントってオチかもしれないぞ!」
「別に、知ったことか」
そう言ったクーガは、一度振り向いて神に尋ねた。
「……お前はさ、最初からこの展開を知っていたのか?」
「いいや、ここまで酷くなるとは……だれも予想してなかったよ、プレゼントを追いかけるエンドレスになるとは……ね」
「そうか」
クーガはプレゼントを追いかけ、走り始めた。神はまた置き去り、何度でも繰り返す、物語の外側は語られないのだから。
走りながら、クーガはつぶやいた。
「どおりでオチがない」
それを言われちゃあ終わりなんだよね。
おわり