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「……ぇぇぇえええええええええ!?」
「うわー、早いですねー」
クーガの叫びと山田の呑気な言葉がほぼ同時に響いた。金魚のように口をパクパクさせているクーガの代わりに、山田さんが冷静に説明を始めた。
「やれやれ、流石あの人の造る物だ。休暇モードで力が弱かったのは認めるけど、僕の力にまで耐性を付けているとは……本当に何がしたいんだろうあの人、中身を守るために完全防御陣でも敷いて在るんだろうか?」
あの人あの人と言っているのはウィクトリア姫のことである、なんで山田さんが姫様の事を知っているか、それには深い訳があるのだがどうにも言えないので話さない!
「いや、オレはそんな事よりあの異様なスピードにつっこみたい!」
地の分が変な解説をしている間に正気を取り戻したのか、やっとまともにツッコミを始めたクーガ君、山田さんは親切に答えてくれた。
「あの人に創れないモノなんて無いんですよ。あの位のスピードなら未だマシですよ、いつだったか『光の速度を超えるスクーターを造ってやる』とか言って本当に造りましたからね。ちなみにそのスクーターは『正に危険な乗物の極み、資源の無駄使いだ愚か者』と言われ姉殿下に廃棄されていました」
「姫様の姉上って……確か邪竜にさらわれたんじゃなかったっけ?」
「その姉上様とは違う方ですよ」
説明をちゃんと入れてくれたこと事態は親切だが、内容はいまいち親切ではなかった、解りづらいんだよコノヤロー。どうやらクーガが知らない人物がいるらしい、なんで山田さんがそんな事を知っているのか、それは聞いてはいけない。そして気にしてはいけない。
「居たーッ、いい加減に逃げんのやめろドバカクーガ!」
何て事を言っていたら神がクーガを追ってきた、懲りない人だね。神の声が聞こえているのかいないのか、またはシカトしているだけなのか、クーガは山田さんに言った。
「オレはプレゼントを追うから、じゃあな!」
そして、クーガはプレゼントの走り去った方向へと走って行った。やっぱり神は置いていかれている。
「だーかーらー、いい加減にしろこの糞馬鹿野郎がーッ!」
――二度あることは、三度ある。
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