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戦闘士クーガ  作者: 狂狗
勇者クーガ
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 と言うわけで前説明終わり、オレは邪竜が住んでいると言われている洞窟の前にいる。どんな洞窟かと言うと、どう考えてもあり得ないサイズの洞窟だ、天然でこんなサイズの洞窟出来るわけないだろ。でもよく考えたら邪竜の住処なんだよな、邪竜が住みやすいように壁を崩して洞窟を大きくしたのかもしれない。

 妙に地面が綺麗に均してあるし、密林の中にあるのに雑草も生えていない、どう考えても人の手が入ってる。と言ってもこんな洞窟の手入れをするのは邪竜しかいないわけで、つまり邪竜が地面を綺麗に均して雑草を抜いたことになる。

 (いやまてよ、竜に草むしりができるのか?)

 よくよく考えてみれば明らかにおかしい、竜がすごく小さいというなら別だけど普通に考えたらサイズ的にできない、草が摘まめるのか、無理だろう。ひょっとしたら火のブレスとかで雑草をことごとく燃やしているのかもしれない。そう思った矢先に、オレは洞窟の端に積んである物に気づいた。

 丁寧に根っこまで抜いてある雑草が、これまた丁寧に、根っこの方向までそろえて積んであった。

 (……あれだ、きっと人間の召使とかがいるに違いない。地面均したのもきっと人間だ、そこらへんの田舎道より綺麗に均してあるし、竜がこんな事するわけないよな?)

 そんな事を考えていても仕方ないので、オレは邪竜のいる洞窟へ入っていった。入り口では何ともなかったのだが、洞窟に入ると強風がオレを襲った、すごく強い、しかも花粉が混ざっているらしく花粉症のオレにはつらい事この上ない、目がすごくかゆいし鼻水も出てきた。今は花粉の季節じゃないのに、なんでこんなに花粉が。あれか、まさか邪竜の策略か、邪竜がオレは花粉症だと知って、洞窟の中を花粉まみれに……

 (……それは嫌だ、何かが終わってしまう、話が破綻する)

 そんな事を考えながら、洞窟の中をひたすら進んでいくのだが、この洞窟本当に何もない。モンスターぐらい出るだろうと思い、剣を構えてこの強風の中を進んでいるのにもかかわらず、ネズミ一匹すらいない。こんな強風の中でわざわざ剣を構えているのだから。モンスターの一匹や二匹ぐらい出てきてくれ、この辛さを解ってくれよ、なんか空しいじゃないか。

 「……誰かがサボってるんじゃないよな?」

 やっと出てきた初台詞、なんと独り言。そりゃ相手がいないからな、さっきから人っ子一人出てきやしない。

 そして、いつものように頭の中で響く声。

 “うん、サボってるよ”

 オレの声と少し似ている、ろくでもない事しか言わない声。

 神の声。

 「サボってるのはお前か!」

 思わず立ちどまり、声に出して突っ込みを入れる。しかし神は聞いちゃいない。

 “神様について説明します”

 「自分に様つけんな」

 “えーっとぉ、私は「」と『』と()以外の台詞でしゃべります、多分。あとクーガの内心の台詞も、バリバリに聞いてる設定です、多分”

 「多分ってなんだよ、あとさっきからオレの台詞スルーし過ぎだから!」

 “スルー、それは世界の神秘”

 いつもの事だ、いつもの事だ、いつもこんな感じなんだチクショー! まともな会話にならねぇ! 一人旅だから話し相手は専らこいつだと言うのに、なんでこんな性格してんだこいつ。マイペースで唯我独尊でオタク!

 “マイペースとオタクは否定しない、でも唯我独尊は否定させてもらうぞクーガ!”

 「マイペースとオタクは否定しないんだな」

 “私はナンバー・ワンではなくオンリー・ワンだからだ!”

 ほんと何時でも偉そうだなこいつ……。オレは鼻水をすすってから、足を前に進めた。

 「はいはい勝手に言ってろ。で、俺は後どれだけこの花粉の中を歩けばいいんだ、正直もう耐えがたい」

 “あとねぇ、一分ぐらい”

 「もう目前なのかよ!」

 “もうちょっとしたら眩いとこに出るよ、ほ〜ら、もう目前”

 神と呑気に会話をしていたら、神の言った通り、目の前から光がさしてきた、たいして歩いてもいないのに。暗闇に少し慣れた目には少々きつい明るさだ、目に痛い。オレはその光に向かって歩いていった。

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